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Poupée chantante

荒廃していくプリパラで独り踊り続けるミミ。
アイドルという文化は廃れデビューする女の子も居なくなった。
めがねぇ達は真っ先に電源を落とされた。今日まで辛うじて作動していたシステムも遂にぶつりと電源が落ち、プリパラTV、ドリームシアター、果ては現実のプリズムストーンショップまでその活動を止める。まるで妖精の魔法で100年の眠りに掛かった様に。
指先がヒリヒリと焼き付く様な痛みを訴え、手が動かなくなった。次は足。先刻までは優雅にステップを決めていた足が言うことを聞いてくれない。関節が可笑しくなったのか立つことすらままならなくなり盛大に転んだ。曲を聴くのに大事な耳、ファンを見つめる為の目ももう機能しない。アイドルの生命と言われている喉ももう掠れた声にならな歌声を出すのが精一杯だった。躰が内部から冷えていくことを感じる。皆が死と呼ぶものがこれなのだろうか。
プリズムボイスを持ちながらも誰に届く事無く朽ちる。
其れが煌めきを無くしたこの楽園の結末。1000年前の楽園が恋しい。
独りでアイドルのトップに立ったけれど心の喪失感は埋まらなかった。
けれどアイドルが沢山いて、マスコットもまだ活動していて、沢山の夢が満ち溢れていた。それだけでぽかぽかしたのだ。なにか欠けているハートが。
ひりついた痛みを放つ指先が今度は急激に冷たくなっていく。内部から、爪先から蝕むように。キラキラのアイドル、ずっとアイドルがいい。ひとりぼっちでも、明日はだれか、と、あそべるかも。ううん、遊べなくても。ミミは、ミミと踊る。おどって、いたい、よ
このステージで。、
氷に覆われた姫人形、虚ろい目も春を呼ぶ様な髪色も、呪われた薔薇も氷細工の様な姿へと変貌してしまった。
あそぼう、あそぼう、きょうもあしたもあさっても。楽園はとこしえの氷の城へ代わり堅牢な門に閉ざされた。ひとり遊びを続けましょう、この世が終わるまで。
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