aipri doll
特別な宝石、人間でいうところの魂。心そのもの。そう呼ぶのが正しいでしょう。
その1つの宝石を二人で分かち合い生まれた特別な双子。特別な少女たち。特別な能力。特別美しい容姿。そんな特別づくしの彼女らの特筆すべき特別は只の少女でなく、かの有名な人形師の手によって生まれ落ちたドールだという事。
人形に魂を吹き込むなんて!そんな魔法のような技術を使えるなんて?そもそも”彼”はニンゲンなのでしょうか。
彼は二体のドールにココロを与えた後暫くして、姿をすっかり消してしまいました。
彼は二体のドールを最も至高な存在に仕立て上げたいと思うと同時に自分の理想と違う姿に失望したのです。
ドール達を愛していましたが、自分の理想を諦める事は出来ませんでした。
二体のドールの名前はミミとメイ。ミミは濃いピンク色の長い髪をドリルカールに束ね、まるでおとぎ話に出てくるお姫様が着るようなドレスを身に纏っていました。
そして対となるドールのメイ。メイは深い群青色のショートヘアにおとぎ話の王子様_またしてもミミと対象的な装いをしています。
二体とも、夜の闇より濃い黒曜石のような色をしたまん丸な瞳を持っています。
ミミとメイ、ふたりはとてもなかよしです。この世界に生まれ落ちた時から瞳に互いを写してきたのですから当たり前なのです。
ショートケーキの上に乗っている苺如きではケンカなんて致しません。なにせ立派なレディですから。
不慣れなナイフを使い苺をいびつな形に切ります。そんな苺を見てニコニコ笑うふたり。主を失った大きなお屋敷にふたりぼっち。
”お父様”と恋い慕う彼の事を考え、互いに眠りに就きます。ミミとメイは分かっておりました。お父様には自分たちが彼の理想の存在にならなければ二度と会えないと。
ふたりぼっちの毎日を過ごしていたミミとメイ、暇さえあればミミが歌い、そのメロディに合わせてメイが踊ります。
舞踏会、どんなものかしら?_きっと凄く楽しいよ。ミミはお歌が上手だから、すぐ人気者になれる。僕がいなくてもね。
メイも一緒じゃなきゃいやだよ。メイの踊りは誰よりもきれいだもの。ミミはメイと一緒におどりたい!_そうだね、僕らは二人でひとつだ。二人一緒じゃないとね。
初夏が過ぎ、冬が訪れ、また春が芽吹く。そうして生まれおちてから百何十年も経ったある日。
奇妙な兎、いや兎の格好をした人間か。その人間がドール達の元を尋ねました。
ミミとメイは人間なんて見たことがありませんでしたので最初は少し怖がりました。しかし、その人間は自分を食べたりしないし、話も分かるし何よりうさ耳がついていましたから大層気に入りました。
二人はこのうさ耳人間にお勉強を教わることにしました。お茶会のマナー、お裁縫、歌と踊りに様々な楽器。
ミミとメイは物覚えが良く、すぐにお勉強を終えました。そして、二人共同じくらいの時期にお父様の事を思い出します。
”お父様”を恋しく思い、泣く事が増えました。しかし、それでも二人は”お父様”を待つのです。
きっと何処かで見て下さっている。そう信じて。
毎日泣き暮らして百年_ミミとメイはとうとう動かなくなってしまいました。お父様が巻いてくださったゼンマイが切れてしまったのです。
そんなドール達をうさぎ人間は別々の鞄。横開きのトランクにも似たそれに、ミミとメイをゼンマイと共にしまいました。
そのトランクは様々な年代、場所を問わず所謂マスターと呼ばれる人間の元に幾度となく運ばれる不思議な鞄。
マスターにゼンマイを巻いてもらい、ゼンマイが切れ眠りに就くまでマスターと過ごす。その繰り返し。
いつもいっしょ、ずうっといっしょ。そんな双子ドールのミミとメイ。目覚めることなく深い眠りに就いたまま長い長い離別が訪れました。
おやすみなさい、しょうじょたち
その1つの宝石を二人で分かち合い生まれた特別な双子。特別な少女たち。特別な能力。特別美しい容姿。そんな特別づくしの彼女らの特筆すべき特別は只の少女でなく、かの有名な人形師の手によって生まれ落ちたドールだという事。
人形に魂を吹き込むなんて!そんな魔法のような技術を使えるなんて?そもそも”彼”はニンゲンなのでしょうか。
彼は二体のドールにココロを与えた後暫くして、姿をすっかり消してしまいました。
彼は二体のドールを最も至高な存在に仕立て上げたいと思うと同時に自分の理想と違う姿に失望したのです。
ドール達を愛していましたが、自分の理想を諦める事は出来ませんでした。
二体のドールの名前はミミとメイ。ミミは濃いピンク色の長い髪をドリルカールに束ね、まるでおとぎ話に出てくるお姫様が着るようなドレスを身に纏っていました。
そして対となるドールのメイ。メイは深い群青色のショートヘアにおとぎ話の王子様_またしてもミミと対象的な装いをしています。
二体とも、夜の闇より濃い黒曜石のような色をしたまん丸な瞳を持っています。
ミミとメイ、ふたりはとてもなかよしです。この世界に生まれ落ちた時から瞳に互いを写してきたのですから当たり前なのです。
ショートケーキの上に乗っている苺如きではケンカなんて致しません。なにせ立派なレディですから。
不慣れなナイフを使い苺をいびつな形に切ります。そんな苺を見てニコニコ笑うふたり。主を失った大きなお屋敷にふたりぼっち。
”お父様”と恋い慕う彼の事を考え、互いに眠りに就きます。ミミとメイは分かっておりました。お父様には自分たちが彼の理想の存在にならなければ二度と会えないと。
ふたりぼっちの毎日を過ごしていたミミとメイ、暇さえあればミミが歌い、そのメロディに合わせてメイが踊ります。
舞踏会、どんなものかしら?_きっと凄く楽しいよ。ミミはお歌が上手だから、すぐ人気者になれる。僕がいなくてもね。
メイも一緒じゃなきゃいやだよ。メイの踊りは誰よりもきれいだもの。ミミはメイと一緒におどりたい!_そうだね、僕らは二人でひとつだ。二人一緒じゃないとね。
初夏が過ぎ、冬が訪れ、また春が芽吹く。そうして生まれおちてから百何十年も経ったある日。
奇妙な兎、いや兎の格好をした人間か。その人間がドール達の元を尋ねました。
ミミとメイは人間なんて見たことがありませんでしたので最初は少し怖がりました。しかし、その人間は自分を食べたりしないし、話も分かるし何よりうさ耳がついていましたから大層気に入りました。
二人はこのうさ耳人間にお勉強を教わることにしました。お茶会のマナー、お裁縫、歌と踊りに様々な楽器。
ミミとメイは物覚えが良く、すぐにお勉強を終えました。そして、二人共同じくらいの時期にお父様の事を思い出します。
”お父様”を恋しく思い、泣く事が増えました。しかし、それでも二人は”お父様”を待つのです。
きっと何処かで見て下さっている。そう信じて。
毎日泣き暮らして百年_ミミとメイはとうとう動かなくなってしまいました。お父様が巻いてくださったゼンマイが切れてしまったのです。
そんなドール達をうさぎ人間は別々の鞄。横開きのトランクにも似たそれに、ミミとメイをゼンマイと共にしまいました。
そのトランクは様々な年代、場所を問わず所謂マスターと呼ばれる人間の元に幾度となく運ばれる不思議な鞄。
マスターにゼンマイを巻いてもらい、ゼンマイが切れ眠りに就くまでマスターと過ごす。その繰り返し。
いつもいっしょ、ずうっといっしょ。そんな双子ドールのミミとメイ。目覚めることなく深い眠りに就いたまま長い長い離別が訪れました。
おやすみなさい、しょうじょたち
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