その他短編
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バカ女との出会いは本当に最悪だった。
助けに来たと言う佐藤さんが目の前で撃たれた時、まだ戦い方も分かってない俺は馬鹿みたいに固まった。
見たら白衣の女が銃を構えていて、「あ、」と声を発した時には復活した佐藤さんが女を組み敷いて首を絞めてた。
『圧巻ね、この光景』
余裕なんてある訳ないのに笑ってる気味の悪ィ女。
ここにいる奴は皆狂ってんだと思った。
じゃなきゃ有り得ない程清々しい笑顔だった。
目を真っ赤にして息絶えた女を見下ろすと佐藤さんは先を急いだ。
俺は後を付いていって、その後ろを女が付いてきて、俺達は振り向いた。
自分がそうなのに何故だかゾッとした。女は笑ってた。
確かこの時佐藤さんが何か女に聞いてたが覚えてない。
とにかく女はこう言った。
『私も亜人なの』
宜しく。と手を差し出されて、持たされていた銃で思わず撃った。
ヘタクソな銃は腹に当たり、女はうずくまった。
佐藤さんが横で様子を伺って。
女は多分、佐藤さんを見ていた。
また気持ち悪い笑顔。その頭を、銃弾が弾いた。
女が持っていた二丁目の銃が床に落ちた。
復活した口が不服そうに尖って、銃を拾いなおすと俺の意識が一瞬無くなった。
『峰打ちは面倒でしょ。バカ田中。』
何度も何度も最低な殺され方をしたこの場所で、一番ストレートで簡潔な死に方。
この時佐藤さんは笑ってた。女ももちろん笑ってた。
まるで俺だけが何も知らないような、そんな気味の悪い空間。
「研究員…へぇ、隠れん坊が上手いんだね」
首から下げた名札を見た佐藤さんが言うと、女は血に染った白衣の襟をなおして笑った。
『バレたら即実験台なんて、ドキドキして燃えちゃった。』
この女は、イカれてる。
俺はその時その笑顔の屈託の無さに鳥肌が立った。
だが隣にいた佐藤さんは楽しそうに頷いている。
いつものように、誰よりもイカれた笑顔を浮かべて。
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20230831添削
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