番外編
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朝は軽かった風邪が昼頃には酷くなり、早退することになった俺にとってクライスラー大佐の
『お、んじゃ俺が送ってってやるよ』
この一言は涙が出る程嬉しかった。
「申し訳ないっす…」
『気にすんな。風邪は誰だってつらい』
ベッドで休む俺にいつもの様な笑顔を向けてくる、俺の長年の憧れであるクライスラー大佐。
彼は大佐に用があって中央から東方司令部に来たのに、大佐と話す間もなく病人の俺に付き添ってくれていた。
「もう、後は大丈夫ですから」
仕事も出来て眉目秀麗、その上若くして大佐の座に就きながらも仲間達から慕われているショスナト・クライスラー大佐は士官生の頃からの憧れで、そんな人間に俺の看病なんて申し訳なかった。
『ハボック飯まだだろ?』
「食欲ないんで…」
『ばかやろう。栄養摂らないで風邪が治るか』
『大人しく寝とけよ』
そう言って部屋を出て行く大佐。
…まさか、大佐が俺の為に料理を?
一瞬過ぎったおこがましい考えに首を振った。
言われた通り人しく休んでいると暫くしてトレーを持った大佐が戻ってきた。
トレーの上にはミルク粥。
「…クライスラー大佐が作ってくださったんですか?」
『安心しろ。完璧な俺は料理も完璧だ』
「……」
『あ、待て待て』
ふふん、と自慢げに鼻を鳴らす大佐に何と返すべきか迷いながらスプーンを取ると横から奪われる。
『すんごい熱いぞ』
「…まあ…出来たてですもんね」
『そーなんだよ』
「え、ちょっと、何して…」
『は?』と顔を上げながらふぅふぅ、とミルク粥を冷ましている大佐。
待て。ちょっと待て。
「何やってんですか」
『…冷ましてます?』
「そうですね」
『おう。ほら、』
「あーん」なんてスプーンを突きつけてくるこの馬…じゃなくて大佐。
どうやら食べろということらしい。
『ほら食えって。一気に元気になるぞ、俺の作ったミルク粥は』
「……」
一向に引く様子のない大佐に諦めて口をつける。
…確かに、美味い。残念ながら美味い。
『美味いだろ?』
「…大佐って部下が風邪引いたら毎回こんな風に看病してるんですか?」
『あ?しねぇよ。そんなヒマあるか。』
信じられない、なんて顔を向けられるが信じられないのはこっちの方で。
クライスラー大佐の部下たちは随分おいしい思いをしているな、なんて薄ら浮かんだジェラシーは吹き飛んだ。
『今回はたまたまだ。貴重だぜ?ハボック』
ふっと微笑み慣れた仕草で軽くウインクするクライスラー大佐に、不覚にもときめく。
「…こんなの惚れるに決まってる」
思わずぽろりと零れた言葉に我ながらしまったと口を押さえた。
目の前で驚いた表情のまま固まる大佐に頭を下げる。
すると頭上からクライスラー大佐の笑い声。
『ホント俺ってモテるな』
「あ、いや、大佐が女だったらって意味でっ…あークソっ!違うんです!男のままでモチロン最高なんスけど、いやなんていうか、」
『俺が女だったら今ごろ大総統夫人になってるぜ』
慌てる俺を見ながら笑う大佐。
どうやら機嫌を損ねた様子は無い。
いくら友人の部下とはいえ、今の一連の発言はとんでもない失言だった。大佐の懐の深さには頭が上がらない。
『そうだな…ハボックが女だったら俺けっこー好みかも』
「は!?」
『ばか、冗談だよ。俺らお互い男で良かったな』
「え、あ…」
『あ、でも男のままでモチロン最高なんだっけ俺』
「いやホントすんません!!」
熱で赤い筈の顔も青くなってるであろう俺の前で、ツボに入ったのか笑い続ける大佐。
腹を抱え屈むようにして笑う大佐の顔が一瞬、悲しそうで泣いているようにも見えたが気のせいだろう。
『あー、おかし』
笑いながら目の端にたまった涙をふき取る大佐が顔を上げる。
『病人のくせに、元気なやつめ』
と冗談っぽく睨んでくるクライスラー大佐は雲の上の"憧れの存在"というには身近に感じられて、俺は少しだけ、ほんの少しだけ、胸の奥が熱くなって唇を噛んだ。
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ハボックおっとめー!
ショスナトが笑ってた(泣いてた)のはキンブリーのこと思い出して懐かしさで胸がしめつけられたって感じ…です
20250910添削
