番外編
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「そういやぁよ、マスタングの大佐とクライスラーの大佐じゃどっちがモテるんだ?」
全ては名もない兵士の何てことない一言から始まった。
「そりゃー焔の錬金術師だろ。
あいつに女取られた野郎の数は三桁だって噂もあるくらいだ」
「おい、クライスラー大佐の噂だろ、それ。」
「そうだっけ?」
「それによ、」
「お?何の話してんだー?」
そうして段々と広まった何てことのない疑問。
それは思いの外広まってゆき、遂には本人の耳に届いた。
『馬鹿な話だなー』
ハッと笑い飛ばすショスナト。
所違えど時を同じくして、ロイも部下から聞かされたその話に溜め息をついた。
「全く…よっぽど暇なのだろうな」
フッと口元に笑みを浮かべるロイ。
『大体、』
「そもそも。」
『あいつが』
「ショスナトが」
『この俺より』
「私より」
『モテる訳ないだろうが』
「モテる筈がないだろう」
『「(俺が/私が)一番だ』」
――かくして、2人の戦いの火蓋は切っておとされた。
「レッディース!アーン!ジェントルマン!!
親愛なる飽くなき探究心をもつ野郎共!
今日今この場所でアメストリスのナンバーワンが!
決っまるぞぉぉおおおおお!!!!」
『「……』」
キーンッという反響音が響く中、高見に立つヒューズの言葉に観衆は鼓膜が震える程の雄叫びで応える。
その中で2人の男――ロイとショスナトはやつれた顔で呆然と立ち尽くしていた。
「まぁ要はどっちがアメストリス一モテる男か白黒ハッキリさせよーって話だ。
司会進行は毎度お馴染みこの俺マース・ヒューズでいくぜ!」
『「……』」
再び歓声が湧く。
頭を抱えながら向き合う2人。
「…馬鹿馬鹿しい…」
『全くだよ。んなアホな企画で闘技場貸切とか…大総統はご乱心か?』
「かもな。娯楽のつもりだろうが私は道化になるのは御免だ」
『俺だって。
つーか…おいヒューズ!どう白黒つけるつもりだ?』
「あ?」
『投票か?』と続けるショスナトの言葉に少し唸り、途端頭を掻いて笑いだすヒューズ。
「わりぃ。考えてなかったわ!お前らで決めてくれや」
「ハハハ」と、固まる人々の頭上にヒューズの空笑いが響いた。
唖然としていたショスナトは一つ息をついて顔をしかめた。
『…っとに…しょうもねぇ。解散か?』
『なあロイ』そうロイを振り向くショスナト。
しかしそこにはロイはおらず、ショスナトの視界には何故かどこまでも続くような青空が広がっていた。
『うおおおおおっ!?』
ドガッと音を立て地に倒れるショスナト。
辺りには土煙と爆発によって生じる硝煙が巻き起こっていた。