1章
あなたの名前
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どうもしばらく。ショスナトです。
今は正に勤務中。
働く男はカッコいい、なんて世の中言いますが、元々カッコいい俺が働いているのだから今世の中で一番カッコいいのは俺でしょう。
…えぇ。えぇ。ははは。
分かっています。分かっていますとも。
ナルシスト、と仰りたいのですね?
あっはっは。
違いますよ。違います。
ストレスで色んな事が限界爆発寸前なのです。
「ショスナト、一服しないか?」
『…パス』
一服。
魅力的な言葉だが、唾を飲み断る。
誘ってくれた男は驚いた顔をしたが、特に何も言わず去っていった。
禁煙、6時間経過。
先日キンブリーにある種の死刑宣告をされ、今回ばかりは仕様がないなと腹を括って今に至る。
しかし意志とは反対にポケットに伸びる手。
普段ならある筈の物は、今日は入っておらず落胆しつつも安堵する。
『…出しといて良かった…』
今日の朝、持っていては確実に吸ってしまうから、とポケットに入れた煙草をテーブルに置いて来たのだ。
「クライスラー」
『はい』
キンブリーに呼ばれ顔を向ける。
勤務中とはいえ、以前のことが思い出され少しだけ肩に力が入ってしまう。
「少し話がありますので、今日は終業後残っていて下さい。」
『は …はい。』
はあ!?と言いかけて堪える。
驚いてキンブリーを見つめるが、本人はもう用件は終わったとばかりに書類から顔を上げない。
『…』
静かに頭を抱え、少し考える。
終業まで、あと4時間程度。
それまで煙草を我慢するのだけでも死ぬ程辛いのに、その上居残りだと?
耐えられない。
熱くなる目頭を押さえた。
だが。と思いつく。
だが、家に帰ればいくらでも吸える、と。
生憎だがいくらキンブリーに脅されたからといって、全く禁煙なぞする気はない。
ただ家以外では吸わないと決めただけ。
だから、家に帰れば死ぬ程吸えるのだ。
そう考えると、残りの時間も全然苦しく感じなくなった。