愛憎パンチ!
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家族の事を思い出そうとすると、どうしたって最初に真っ赤な景色がフラッシュバックする。
その後に母様と父様の笑顔。
抱きしめてくれた時の温もりと香り。
悪戯しては困った顔をして笑ってくれた執事や使用人。
いつだって、皆の笑顔が集まっていた。
だがそこにある日突然現れた複数の男達によって、全て奪われた。
圧倒的な暴力。想像を絶する残虐性。神経を爪で弾く様な絶対的な恐怖。
失われていった私の全て。
思い出す度赤く染まっていく両親の顔が、ただただ、私に伝えてくれていた。
彼等に罰を、と。
『これがトシマ……』
案外簡単に忍び込めたからといって、ここは随分と気が抜けない所らしい。
走ったせいで震える足を押さえ、その場に腰を下ろす。
先程まで追ってきていたあれが恐らくゲームの参加者。
ドッグタグのジャラジャラという音がまだ耳に張り付いている。
『何が楽しいんだか』
ジャラジャラと音を立てながら追い掛けてくる男の下品な笑みが脳裏に浮かんでゾッとする。
彼等は狂っていた。
きっと、私とは流れる血液から全てが違う生物なんだろう。
…だがそうでないと気付いたのは、返り血を顔に浴び、心が満ち足りていくのを感じた時だった。
「や、ゃめてくれっ、!おおれ達は命令されてしかたなくっ…!」
『それでも、手を下したのはお前等だろ』
それはあっという間に駆け抜けて、その後は永遠に時が止まったみたいだった。
彼等が私の大切な人達に犯した残虐の限り。それを彼等にそっくりそのまま返した。
これでもう家族と同じ所へ行く事は叶わない。
『……こ…んな筈じゃ…』
では、どんな筈だった?
血の匂いに吐き気がする。心臓が痛い。
全てを終えてやっと冴えた頭は見たくない現実を見せてきた。
周囲の光景はあまりにおぞましく、手が震える。
彼等に罰を、だなんて。
そんな事両親が望む訳無かったのに。
「えー?派手にやってんじゃん、イイねぇー」
「1人か?」
背後から聞こえる2人の男の声。
振り向くと、赤いフードを深く被った鉤爪の男と、鉄パイプを持った男が立っていた。
『……』
「参加者じゃあ無ェようだが…随分楽しんだみたいだな」
『…参加しない。もう用は済んだ』
飛び掛ってはこない。殺意も感じない。
もしかしたら運営側の人間かもしれないが、それにしては血生臭い男達。
「女か?」
『それが何か』
「女がたった1人で、殺しに慣れた男達を殺ったと?」
『……』
赤いフードの男がニヤつきながら鉤爪を研いでいる。
肯定も否定も、結局は意味は無さそうだ。
いずれもこの爪の餌食になるのだろう。
そう思っていると前髪を強く引っ張られた。
「まぁ良いや。とりあえず、回収だな」
ニヤリと笑う男。
そう言って、鉄パイプが私の頭を鳴らした。
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添削20251011
