マルハナバチ
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「ショスナト?何してるの?」
『え?あ、ティナ!』
大きな紙袋を持って歩く見覚えのある背中を叩いたポーペンティナ・ゴールドスタウィンは、驚くショスナト・クライスラーの顔を見て笑った。
その2人の間に次々と落ちていくショスナトの紙袋の中身。
ため息をつきながらショスナトが拾い出し、それをティナが手伝う。
「どうしたの?こんなに沢山のお菓子。」
『え?…あー、誰かが家を訪ねてくれた時に何も無いのは失礼だろう?』
「…随分甘い物の好きな恋人が出来たのね」
吹き出すショスナト。ティナは不思議そうに拾いきったお菓子を紙袋に入れてやった。
『ありがとう』「どういたしまして。」と微笑みあう2人。
そんな笑顔のショスナトを見て、ティナが少し悩みながら照れたように口を開く。
「もし、良かったらお昼…」
とそこまで言ったところで、ショスナトの向こうに上司の姿を見つけ固まった。
『え?何?…おっと、その顔じゃろくでもない奴を見つけたな?』
「久しぶりだな、ショスナト。」
『、グレイブスさん!』
慌てて挨拶するティナをよそに驚いて笑い出すショスナト。
パーシヴァル・グレイブスはなんの事か分からずティナを見るが、ティナは肩を竦めるだけ。
と、散々笑ったあとショスナトが思い出した様にポケットからハンカチを取り出し、それを広げた。
『いや、丁度良かった。いつものやつ今日持ってきてるんです』
「あぁ、また行っていたのか」
「いつものやつ?」
ハンカチの中を覗くティナに『これだよ』と中から出てきた掌と同じ程の大きさの紙袋を見せる。
あまりにも堂々と魔法道具を使うショスナトに、グレイブスの顔をチラリと見るがグレイブスは気にした様子にない。
『今回は違う地方だったけど、グレイブスさんの為に寄ったんですからね。』
「それはすまない。君のお陰でまた仕事に張りが出る。」
『その言葉で僕も疲れが吹き飛びます』
袋を抱え微笑むグレイブスとその姿に満足そうなショスナト。
訳が分からないティナの鼻孔に香ばしい香が届いた。
「…珈琲豆?」
「この辺りでは入手できない物だ。ショスナトは度々帰国後に届けてくれる。」
『前に珈琲の話で盛り上がって、僕が世界一と思ってる珈琲を飲んで貰ったんだ。
そしたらグレイブスさんも気に入ってくれて、それから。』
ショスナトがそんなにしょっちゅう国を離れていることも、グレイブスと交流があったことも知らなかったティナは、そのまま雑談を始める2人を不思議な組み合わせだと眺めた。
「あの本に載っていた土地を訪れたのか?」
『そうです!どうしても気になって。本当に美しいものでした…。
あんな素晴らしい場所、書籍をお借りしなければ知る事も出来なかったなんて冒険家を名乗る身として恥ずかしい限りです』
「君にと選んだ本だ。君の目にかなったなら何よりだよ。
…もし君が構わなければ、昼食を共にしないか?旅の話を聞かせてほしい」
『勿論!久しぶりですね。この前言ってた店に行きません?』
「そうだな」と頷くグレイブス。
自分が取り付けようとした約束をいとも簡単に成立させるグレイブスを眺めながら、中々に空気となったティナは一つ咳払いをして2人の注目を得た。
「私にお土産は?」と内心どうでも良い…いや決してどうでも良くはない質問を投げかけると、キョトンとした後焦ったようにショスナトは笑い出した。
ティナがショスナトの脇腹を小突く。
『グっ…ま、またどこか行ったら買ってくるからさ』
「いるなんて言ってないのよ」
『ええ…?』
脇腹を押さえながら困惑した表情でティナを見るショスナト。
グレイブスはその隣で微笑んでおり、ティナはどうにも見抜かれている気がして挨拶もそこそこにその場から離れた。
残されるショスナトとグレイブス。
『…僕、なんか怒らせる事言ったかな…』
「ショスナト…君を見てると飽きがこない、と言うのは失礼かい?」
『へ?』
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グレイブスさんと仲良し。
20161215
20250720添削
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