歪む迷路
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プリーストがスピーカーを使い、依然閉じこもるアマンダとヴォーグルに優しく声をかけた。
太陽が沈み、辺りは暗闇に包まれている。
既に兵達は配置につき、最早巣にこもる2人がどこから飛び出してこようと逃げ場はなかった。
『まずはヴォーグルにピザ買ってこさせないと』
「今はタコスの気分だ」
『…それもいいね』
暇そうに髪を弄るショスナトはぼそりと呟いた冗談に乗ってきたプリーストに驚いて顔を見た。
プリーストは眉を上げて見せ、その後後ろにいた兵にマイクを渡すと代わりに硝煙弾を受け取った。
音を立ててオレンジ色の煙が吹き出す。
眩い光と共に吹き出すその煙に風下の兵たちが咳き込み、プリーストは謝った。
『労災通るかも知れないから後で病院行くのよ』
「身体に害は無いさ」
『私に向けないで。』
兵達にわざとらしい神妙な顔を向けるショスナトに笑う。
そしてプリーストは依然2人の立て篭もるモーテルの窓にその硝煙弾を投げ込んだ。
飛び出してくるヴォーグル。
だがやはり挨拶はなく、向かい立つ兵達をなぎ倒しプリーストの方へと向かってくる。
『あのクラブはパターね。ゴルフ知らないけどきっとそう。』
「私も明るくないがあれは絶対にパターじゃない。」
『そう?ね、あれはなんていうの?』
数名の兵士が倒れヴォーグルもすぐ目の前まで来ている。
しかし2人はいつもと変わらず会話し、その上ショスナトに至っては後ろに控えている兵士を振り向いた。
兵士は困惑しながら自身を見つめるショスナトと、その隣でヴォーグルの指を折っているプリーストを交互に見た。
「君には悪いが私のペースでやるよ」
『悪趣味なやつ』
「良い音だろう?」
インカムでフリードキンに吐き捨てるプリースト。
ヴォーグルの悲鳴が響き、ショスナトは顔を顰めた。
その内もう1本ヴォーグルの指が折られ、また悲鳴が響いた。
プリーストは楽しそうに口元に笑みを浮かべている。
と、モーテルの扉開きアマンダが姿を現す。
そして入口付近に置かれた2つのブロックを拾い、大きく振りかぶった。
「あれは…」
『大丈夫?ヴォーグル痛むよね?』
「ショスナト!っぐっ!」
ブロックを振り上げるアマンダに気付いたプリースト。
ショスナトはヴォーグルの顔を覗き込んでおり、全く気付いていない。
プリーストはショスナトの肩を押すと盾になるようその前に立った。
そしてプリーストの額に直撃するブロック。
『プリースト!』
「、下がってろ」
『駄目よそんなの!』
よろめくプリーストをショスナトが支える。
ショスナトがアマンダを見るともう1つのブロックが丁度手から離れた所だった。
咄嗟にプリーストに被さるショスナト。
今度はその頭部にブロックが直撃した。
当たり所が悪く意識を手放し倒れるショスナト。
プリーストはそれを抱き止め、その隙にアマンダはヴォーグルと共にモーテルの部屋へと戻って行った。
「……」
ショスナトを兵士に渡し、プリーストは額に流れる血を撫でた。
「制御不能だ」
〔ダメだ、生きたまま捕獲を〕
「ショスナトがやられた」
〔撃たれたのか!?〕
「奴らを撃つ」
プリーストが銃を取りモーテルへと近づく。
インカムからはその間フリードキンの慌てた声が響いている。
プリーストはそれには返事せず、ただ忌々しそうに「撃ってやる」と呟いた。
そしてガチッと銃を構える音がフリードキンの元にも届いた。
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202011
20230913添削