歪む迷路
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「クライスラー、ミスター・プリーストと一緒に行ってくれ。」
『何ですって?』
ショスナトはフリードキンのその言葉に頭を強く殴られた程の衝撃を受けた。
そして部屋の隅に佇むプリーストを振り向く。
「よろしく」
『…彼を呼んだのは対象の捕獲の為でしょ。私の仕事は警備と管理。職務を放棄し彼と行けと?そもそも副司令なのよ私は』
ショスナトがフリードキンに詰め寄る。
目線を泳がすフリードキンはショスナト越しにプリーストを見て助けを求めるがプリーストは何も答えない。
「き、君はイカルスを逃がしたし、ミスター・プリースト直々の指名だ。昔2人で何人か捕獲したんだろ?彼が言ってた」
『一度しか組んでない。今は副司令だし』
「でもあんなに簡単に逃げられる警備部責任者だ」
『貴方の仕事をどれだけ私がしてると?』
「君に出来るなら僕にだって出来る」
一向に引かぬフリードキンに目を閉じ諦めるショスナト。
ため息をつき、持っていた書類を近くに立っていたアシステントに渡した。
「どうしてそんなに嫌なんだ?現場が嫌なのか?」
『私達が並べば脱走コンビよ』
「脱走コンビ?」
『…プリーストを呼んだくせに資料読んでないの?』
「いや読んだよ、読んだけど、」
「時間が無い。行こう」
ショスナトが『信じられない』と言った顔で見ると慌てた様に口を開くフリードキン。
それを遮ってプリーストが手を叩いた。
ショスナトは心底嫌だとばかりに唇を噛み、そしてプリーストを睨んだ。
『追い出された八つ当たりのつもり?』
「そんな事はしないさ」
『じゃあ私を連れていく理由は?』
嫌がりながらも既に腹は括っているショスナトは部下からタブレットと無線を受け取る。
プリーストは口角を上げ、首を傾げた。
「猛獣を閉じ込めておく必要はないだろ?」
『…猛獣は貴方だけで十分。』
受け取った無線を慣れた手つきで胸に取り付けたショスナトが、プリーストの横を通り過ぎ先に部屋を出る。
それを嬉しそうに見送るプリーストにフリードキンは不安気な声を上げた。
「その、彼女は危ない人なのか?」
「私からすれば命令に忠実な可愛い子犬さ」
「子犬?」
フリードキンは余計分からないといった顔をし、続けて部屋から出ていくプリーストを見送った。
薄暗い室内では兵達が忙しそうに動き回っている。
隣に立っていたアシステントがショスナトから受け取った資料を持ってどこかへと向かうが、フリードキンは一体今から自分が何をすべきかイマイチ分からず所存無さげに近くのイスに座った。
机にはいつ置いたのかプロジェクト・イカルスから回収したゴム人形が置かれており、フリードキンはそれを取って手持ち無沙汰を解消した。
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202011
202308添削