歪む迷路
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『プリーストが連れてきた被験者は30人?』
「そうだ」
階段を上がりながらショスナトが先を歩くプリーストに聞く。
プリーストは振り返ることもなく答え、上の階から聞こえてくる足音や悲鳴に楽しそうに唇を舐めていた。
『じゃあGIRL POWERで31人か。とんでもない記録ね』
「死体での回収も少なくない」
暗に先程の行動を言われていると分かり、ショスナトは肩を竦めた。
『腹部を殴っただけじゃ人間は死なない』
「何か訊ねる気なら捕獲した後にしてくれよ」
『私が野蛮な人間みたいな言い方やめてよね』
少し不機嫌な声を背中に浴びながらプリーストが3階の病棟へと出る扉を開けた。
ショスナトは数段下にいた為遅れて病棟へと出る。
右の廊下の突き当たりを見れば老人の死体が転がり、イカロスの姿は無かった。
「誰なの?」
『うわ、凄い』
声にショスナトが振り向くとそこには額から血を流し、先程外で見た時よりもボロボロになった女が驚いた顔でプリーストを見ていた。
「教えてやろう」
プリーストがそう言うと女が叫ぶ。
それと共に杖が輝きを増し、プリーストは引き金を引いた。
止まぬ銃声とプリーストの笑い声。
そしてGIRL POWERに次々と増えていく風穴。
ショスナトは一瞬身を固めたが、女が後退していきそして窓から落ちていく光景に呆れ銃を下ろした。
「異様な事態になった」
女に大量の銃弾を浴びせ落下させた事で落ち着いたのか、プリーストが普段と変わらぬ声で通信に応じる。
死体を確認する為割れた窓へと近付く2人。
見下ろす地面。
そこにはガラスの破片が散らばるだけで、人間と思われるものは欠片の1つも転がっていない。
『本当に異様ね』
ショスナトが笑いそうになりながら唇を震わせる横で、プリーストが冷静な声でフリードキンとケンに報告をする。
そして通信を終えたプリーストは憤りを抱え唇を噛みながら廊下の先を睨んだ。
耐え切れず吹き出すショスナト。
鋭いプリーストの視線がショスナトに向いた。
『ごめん、怒らないで。ほら、いっぱい出して気持ち良かったでしょ?』
「……」
降参とばかりに両手を上げるショスナト。
暫く気まずい空気が流れ、その内プリーストが階下への階段へと歩きだした。
「下品だな、ショスナト」
『あら。嫌いになった?』
「今すぐ君を抱きたい」
わざとらしく眉を下げ残念そうな顔をするショスナトはプリーストの返答にそのまま固まった。
それを横目に見るとプリーストは笑い、立ち止まったショスナトを置いて階段を下りた。
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20231026添削
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