その愛の名前
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その日ソーが目覚めると腕の中でショスナトがスヤスヤと寝息をたてていた。
「……。」
一体、何が起きた?
ソーはまだ働かない頭をフル回転させ、昨夜ベッドに入るまでの自分の行動を必死に思い出した。
…いや、いつも通りだ。
ソーはそう考えながらも押し寄せる不安から冷や汗を流した。
昨夜はショスナトやロキ、シフ達といったいつもの面子で遅くまで飲んではいた。
しかし一人また一人と帰っていき、自分も確かに部屋に戻ってベッドに転がった。
その時、姉上は隣にいただろうか?
「……姉上、」
『んん……』
軽く身体を揺するが唸っただけで起きる様子は無い。
ソーは少し迷って、今度は先程よりも強くショスナトの身体を揺すった。
『…ん、…ソー…?』
「おはよう、姉上」
眩しいのか眠たいのか、重そうな瞼をゆっくりと上下させながら少し険しい表情でソーを見つめる。
崩れた髪をかき上げ、口元を隠し欠伸した。
それだけの、なんということの無いこの瞬間ですらショスナトは本当に美しかった。
ソーはそれを感じながら、より一層不安を強くした。
そしてそんなソーの心境を知ってか知らずかふわりと微笑むショスナト。
『ソーったら、いたずらっ子なんだから』
およそ子供に言うかのようなその台詞も、この状況ではどれだけの意味を含んでいるのか。
ソーは暑くもないのに背中を冷たい汗が伝うのを感じた。
『……あれ?』
にこにこと微笑むショスナトはソーの身体越しに見える部屋の内装に一瞬目を見開いた。
と、一気に顔を赤くし両手で顔を覆う。
『…私、またやっちゃった…?』
「えっ?」
やった?
その言葉がソーの心臓に突き刺さる。
ショスナトは両手で顔を隠しており表情は窺えない。
バクバクと鳴り出す心臓にソーは耐えきれず、ショスナトの顔に手を伸ばした。
「あ、あああね、姉上、こ、ここれは、」
『ごめんなさいソー、私…貴方の部屋で眠っちゃってたみたい…』
「…………………眠っちゃった?」
ショスナトの手に触れる寸前、ショスナトが顔を出して恥ずかしそうに謝罪する。
ソーは固まり、申し訳なさそうに眉を下げるショスナトを見つめた。
『うん…酔ってて部屋を間違えたみたい…』
頷き、視線に耐えかねるように毛布に潜るショスナト。
ソーはその毛布の塊を見ながらついには吹き出した。
「いや、…大丈夫。少し驚いたけど、他の部屋じゃなくて良かった」
『本当よね…オーディンの娘が酔って部屋を間違えるなんて、とんだ笑い者だわ』
「そういう意味じゃないんだが、まぁいいか」
ソーは安堵もあり機嫌良く笑うと、苦々しい表情のショスナトの顔にかかる髪を避けてやる。
そしてふと窓の外を見た。
「…まだ時間も早い。もう一眠りしようと思ってるけど…姉上ももう少し寝ていく?」
『え?良いの?』
断られることを前提とした質問に、ぱぁっと表情を明るくするショスナト。
ソーはそれを見て胸が少し熱くなるのを感じた。
姉というよりも、幼い妹のようだ
そんなことを考えながら、ソーは妙に愛おしいショスナトに掛かる毛布を整えた。
「もちろん。…なんだか子供の頃を思い出すな」
『懐かしいわね。ロキも呼ぶ?』
「…大の大人が3人同じベッドで寝るの?」
『私は今でも3人で毎日一緒に眠りたいわ』
幸せそうに優しく微笑むショスナトを見てソーは釣られて微笑んだ。
ロキが聞いたらきっと喜ぶだろう。
だけどこの状況、ロキに見られたら命は無いな。
ソーは頭の隅でそんなことを考えながら、ゆっくり瞼を閉じた。
▽▽▽more..▽▽▽
「姉上っ!」
「あ」
『あら?ロキ。どうしたの?こんな朝早く』
「昨夜は酔っていたし、もしやと思って訪ねたら居ないから…ここで何やってるんです?」
「や、ロキっ?あのな、これは「兄上は黙っていろ!」…おう」