その愛の名前
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「姉上!!」
ショスナトの姿を見つけるなり、勝利に沸く仲間達を置いて駆け出すソー。
勢いを落とし、優しくショスナトを抱きしめるとショスナトもその背に腕を回した。
『ソーおかえりなさい。怪我はない?』
「平気だ。姉上こそお身体は?」
『大丈夫。熱ももう下がったわ』
「良かった…もうずっと姉上のことが心配で…」
『大袈裟ね、ソーったら。』
いつもの笑顔を見せるショスナトにソーは「良かった」と胸を撫で下ろした。
ーショスナトは昨夜から熱に侵され、今日の戦いには同行していなかった。
その為ソーとロキは戦闘への集中力も散漫に、身体中土だらけ、擦り傷だらけの状態でこの地へと戻ってきていた。
『二人共帰ってきてくれて嬉しいけど、怪我は嬉しくないわね』
「こんなもの大した事ないさ」
『私には大した事よ。大切な弟達だもの。』
ぐい、とソーの腕を引くショスナト。
いきなりの事に少し驚きながら、ソーはそのままショスナトに腕を引かれるまま歩き出す。
「……」
その様子を、少し離れた所から眺めているロキ。
少し不機嫌そうに、不服そうに、二人を見届ける。
と、不意にピタリと立ち止まりそんなロキを振り向くショスナト。
『…ロキ?どうしたの?』
「はい?」
『来ないの?』と首を傾げるショスナト。
唐突な問いにキョトンとするロキ。
それを見て、ソーは笑った。
「俺が姉上を独占してるから妬いてるんだ」
「っ兄上!」
「すまなかった。姉上の手はロキに譲ろう。」
「何をっ、」
慌てたように怒るロキを「まぁまぁ」と宥めながら、ショスナトの隣へと背中を押すソー。
ショスナトはそんな二人の様子に微笑んでおり、ロキは少し気まずそうにショスナトをチラリと見た。
『もう、二人して私をからかわないでよね』
怒ったような声でそう言いながらも満面の笑みを浮かべてロキの手を取るショスナト。
優しく包む柔らかなショスナトの手に、ロキは少しほっとした。
「…無事、戻りました、姉上」
『何が無事よ?』
「っ?」
空いた手でロキの肩を叩くショスナト。
見ると今度は本当に怒った表情を浮かべていた。
『この私は幻覚なんかじゃ誤魔化されないわよ』
「何を…幻覚なんて、私は」
『怪我!』
「……気付いてらしたんですか?」
『当たり前でしょう?何年貴方達の姉さんやってると思うの?もうっ!こんなんだから心配で眠れないのよ、もう!』
ぷんぷんと怒るショスナトは微塵も怖くなく、それどころか子供のようで笑ってしまいそうになる。
ロキとソーは必死に笑うのを堪え、自分達と同じように心配していたショスナトに謝った。
「姉上、悪かった。許してほしい。」
「申し訳ありません。姉上」
『…わかれば良いのよ』
うん。と満足げに頷いていつもの笑顔を浮かべるショスナト。
ソーとロキはそんなショスナトに腕を引かれ、治療の為ショスナトの部屋へ向かった。
『おかえりなさい。ロキ。』
「…ただいま、姉上」
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風邪って引くんですかね