嚆矢濫觴
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五十嵐丸太への説明を終えた玉木が執務室へ戻る為エレベーターに向かうとそこにはショスナトが立っていた。
眠たいのか欠伸をしながら壁に寄りかかるその姿に玉木はため息をつく。
「僕が忙しなく動き回ってるっていうのに僕のセクレタリはどうしてこんなに暇そうなのかなァ?」
『死肉祭はどうだった?』
「君の声が聞けなくてファンが嘆いてたよ」
『私にファンがいたの?』
可笑しそうに笑いながら玉木の隣に並ぶ。
そのまま2人でエレベーターに乗り込むと玉木はショスナトの襟元を引いた。
「で、これは?」
『囚人ごっこ用のアイテム。』
「囚人プレイしたいの?」
『違うとも言いきれない』
少し考える素振りをしながら話すショスナトに玉木が笑う。
その玉木の眼前にショスナトはカードキーとネームタグをかざした。
「囚人のフリして五十嵐丸太の監視役にでもなる気?」
『子供の頃常長と一緒に観た映画でレジスタンスってカッコイイなーって思ってたの』
「?うん」
『でも私達帝国側からしたら凄く鬱陶しいじゃない?』
「…あァ」
玉木がショスナトの襟元を更に引き顔を近づける。
ショスナトの言おうとしている事が分かりニヤリと笑った。
「鎖を引きちぎりたいのか」
『跡形もなくね。』
「ショスナトも知ってると思うけど、手は打ってあるよ」
『他のデッドマンは大人しいとでも?』
「ふふっ」
息がかかる程の距離にあるお互いの顔を見つめ合う、笑みを浮かべたままの2人。
チン、と音が鳴り目的の階に着いたエレベーターの扉が開く。
玉木は掴んでいたショスナトの服を離しエレベーターから降りる。
「色んなのがいるし怖い事されちゃうかもよォ?」
『そしたら常長がそいつにもっと怖い事するでしょ』
「僕はショスナトを心配してるんだよゥ」
ムゥ、とふくれた顔をしてみせる玉木にショスナトは屈託なく笑った。
『ぜったいウソ。』
「えー?心外だなー」
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2020