蛾と梟
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「あれ?ショスナトちゃん?」
『うっわ!』
「おっと、」
町中を歩いていたショスナトは背後からの声に慌てて共に歩いていた似蔵を路地へと突き飛ばした。
近付いてくる足音に笑顔で振りかえるショスナト。
『あら~、常連NO.3のオッサンじゃないの。』
「ナンバリングされてたの初めて知ったよ。1人かい?」
『もちろんのろん。孤独を愛する看板娘だからね。』
「看板娘と孤独ってのはちょっと合わないと思うよ俺は。あとそのポーズも。」
腰に手を当て曇り空を眩しそうに見上げてみせるショスナトに苦笑する常連の男。
「まぁいいけど。」と言いながらショスナトをジロジロと見る。
『ん?』
「もしかして今からデート?」
『えっ!?』
「いやほら、化粧とか髪型とか…なんか違うし」
驚いた顔のまま固まるショスナト。
確かに今日のショスナトは服装こそいつもと変わらないが化粧もして髪は編み込みいつもは付けない髪飾りも付けていた。
『…細かい違いに気付くなんて…NO.3は私の事好きなの?』
「ごめんなさい」
『あっれれ?もしかして私フラれた?』
深々と頭を下げる常連の男。
いつものように冗談を言い合い、お互いに笑う。
二人はしばし談笑するとそのまま道で別れた。
「突然突き飛ばすから何事かと思ったよ」
『ごめんごめん。つい。』
常連の男にバイバイと手を振るショスナトの隣に現れる似蔵。
ショスナトが笑いながらその肩を叩くが、似蔵は気にした様子も無く笠を深く被りなおした。
「…さて、今日はこの辺で帰るとしよう。」
『え!なんで!?』
「なんでって…デートなんじゃないのかィ?用は済んだしこれで俺は退散するよ。」
『えぇ?いや…これは、』
似蔵が今来た道へと足を向ける。
ショスナトは口ごもりながらその腕へと手を伸ばしかけて迷う。
「どうした?早く行っといで。何、後を付けたりなんざしねェよ。」
『違、…予定なんてないよ!』
「…ない?」
『似蔵と会う以外、今日は予定…ない』
振り向く似蔵に段々と声を小さくするショスナトの顔は赤い。
少しの沈黙。
ショスナトが何を言おうか頭を働かせているとその顎に似蔵が指を添えた。
『っ』
「…じゃあ何でそんなに着飾ってるのか…。なぁオイ。自惚れて良いかィ?」
ニヤリと口角を上げる似蔵。
ショスナトの顔がカッと真っ赤に染まる。
『聞き方がうざい。大変うざいぞ。BESTうざいアワード獲得です。』
「否定も出来んアンタは可愛いよ。」
『うざ!!!』
「どうとでも言いな」
クックッと喉を鳴らし笑う似蔵の腹をバシバシと叩きながら悪態を付くショスナトは、それでも似蔵の手を振り払うことはしなかった。
『いや何、休みだし?折角だからちょっとお洒落しようかな?って、』
「はいはい。今日のアンタはまた格別に可愛いよ。」
『見えないくせに!!バカ!ありがとう!!!!』