裏方とヒーロー
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『ロマノフもメンバーなんですね』
「呼ばれちゃ仕方ないわ。情報収集の最中だとしてもね。」
何かあったらしい含みのあるナターシャの言い方にショスナトは苦笑しながら、先の廊下を進んだ。
「私は貴方が事務員なんてやってる事に驚いた」
『私の夢でしたから』
「下手な冗談だと思ってた。本気だとしても、長官が許可すると思えなかったし」
『まぁ、確かに。結局条件付きだった。』
ふとナターシャの顔を見るショスナト。
ナターシャは首を傾げ挑発的な笑みを浮かべた。
「何?…私がここに推薦したとでも?」
『いや。それなら、どこかの弓の方がしそう。』
「バートン?」
『私とロマノフがいる。どうせいるんでしょう?』
『もしかして先に任務中?』と続けるショスナト。
ナターシャは一瞬口を開き、視線を外し言い淀んだ。
「バートンはいないわ」
『…いない?スーツマンの私が駆り出されるのに?』
「バートンは敵に洗脳されてる。」
『洗脳?彼を洗脳出来るとしたらそれはロマノフくらいですよ。』
「…詳しくは長官に聞くのね」
そう言うと話は終わりとばかりに歩く速度を上げるナターシャ。
ショスナトは慌てて駆け寄りナターシャを見つめるが視線は合わない。
すると扉の前で立ち止まり、ナターシャは手にしていた書類をショスナトの胸に押し付けた。
『いった、これ何です?』
「それをしっかり読んで。外に貴方のオフィスを用意してるからその中で」
『どこに?』
「乗っていれば着くわ。着くまでにそれ、頭に入れるのよ」
『…人使い荒すぎません?引退したがった罰?』
手にした分厚い書類を掲げ苦笑するショスナト。
勢いよく扉を開けられ、ショスナトはしばらく動かなかったが急かされ渋々外に出た。
ヘリポートであるこの場には一台の戦闘機があり、すでに離陸体勢に入っている。
『…もしかしてスーツで戦場に放り出されるんですか?』
「引退したがった罰があるとしたらそうかもね」
ショスナトは書類とスーツを風ではためかせながらナターシャを見るが、セットされてない髪は視界を遮り、目が合わない。
諦めて戦闘機へと歩み始めると背後からナターシャが叫んだ。
「戻ってくる頃にはその気持ち悪い口調を治しとくのよ」
プロペラの起こす風の音と混ざりながら聞こえるナターシャの声。
ショスナトは苦虫を噛みしめたような表情で振り向き、ゆっくりとした動作で戦闘機に乗り込んだ。
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20230906添削
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