疾走STARロマンス
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時間も経ち、それぞれが勝手に酒を煽ったり潰れたり方程式を語り出し始めた頃。
ショスナトは立ち上がるとカウンターの席に1人で移動した。
それをガンナーに弄られながらも眺めていたヤン。
ショスナトがビールを一気に煽るのを見て立ち上がった。
「飲みっぷりは悪くないな」
『美味しい酒は久しぶりで。一緒に飲む?』
「1人で飲みたくて離れたんだろ?」
既に真っ赤な顔のショスナトはだらしない笑みを浮かべ、隣に立つヤンが椅子に座るようその肩を引いた。
驚きつつも引かれるままに腰掛けると、その目の前にビールが置かれた。
『仲間に乾杯してたんだ。あと報告』
「話は聞いた。仇を果たした報告か?」
『そう。で、これからは新しい仲間と生きるよって』
『かんぱーい』と笑いながらビール瓶を掲げるショスナト。
ヤンはそれを無視して何も言わずにいるとショスナトは寂しそうに笑った。
『…分かるよ気持ちは。けど、私が不機嫌じゃバーニーや彼らに失礼でしょ?』
「バーニーの悪い癖だ。見捨てられなかっただけで深くは考えてないのさ」
『だとしても恩がある。それに報いる為にも、私はここに居なくちゃ。』
「報いる?何言ってる。お前が居たいだけだろ」
そう言って睨むヤンにショスナトは動きを止め目を見開いた。
背後でガンナーの笑い声がして、ショスナトはハッとして思い出したようにまた笑顔を作った。
『その通りだよ。流石1号。2号は敵わないなぁ』
「1号?なんだそれ」
『ガンナーが言ってる。チビザル2号が来た、蟻の軍隊だ、2号2号、って。』
「……。」
トール達と飲んでいるガンナーを静かに睨むヤン。
ガンナーは全く気付かず、ショスナトはそれを見ながらビールを飲んだ。
「…まぁ良い。今はそんな事よりもお前の報酬の話をしよう」
『報酬?…これがそんなに気になるのか』
「今持ってるのか?」
ごそごそ、とポケットから1つの袋を取り出すショスナト。
カウンターに置かれたそれは見るからに軽く小さく、ヤンは好奇心からすぐに手を伸ばした。
そしてバシッという軽快な音。
叩かれた手の甲を撫でながらヤンがショスナトを睨む。
ショスナトが何か言おうと口を開きかけたその時、バーニーが2人の背後から現れた。
「おいショスナト、ちょっと来い。」
『え?デート?』
「説明してなかった事がある」
『何?年齢?見た感じで大体分かるから良いよ』
「良いから来い。」
中々動き出さないショスナトに面倒だとばかりに背を向け歩き出すバーニー。
ショスナトはだるそうに肩を回すとその背について行った。
ヤンの前にはショスナトと自分のビール。
そして報酬の袋。
「…気前の良い奴だな」
離れた席でバーニーと話すショスナトの横顔を眺めながら、ヤンは袋を胸に仕舞った。
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20230829添削