疾走STARロマンス
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元上官が怯えながらも私を案内した先には、先程の命の恩人とその仲間たちがいた。
「あ、お姫サマ?」
『あ、ダガーナイフ。』
私を見てフレンチのベレー帽を被った恩人が口角を上げた。
しかし周囲の仲間にジロリと睨まれる。
負けてなるかと睨み返すと、奥の方から大きな音が聞こえた。
「くそっ、開きやがらねぇ!!」
「やっぱランチャーでぶっ飛ばそうぜ。それしかねぇよ」
「馬鹿野郎。中身も吹っ飛ぶだろうが」
「じゃあ、手榴弾は」
「良いからお前は黙ってろガンナー」
随分物騒で脳筋な会話に不安になる。
が、横に連れたチワワ(元上官だ。プルプル震える様がソックリ。…チワワに失礼?)の襟を掴みダガーナイフの方に差し出す。
驚いたチワワが「ひゃあ!」なんて悲鳴をあげた。
「…なんだこれ」
『鍵。』
「鍵?」
『金庫番なんだってさ。さっき助けてもらったし、あげるよ』
「……」
顔を見合わせるダガーナイフと先程から睨んでくるヒゲ。
何か会話をした風ではなかったけど、どうするかは決まったみたいだ。
『さて。早く開けないと苦しんで死ぬことになりますよ、隊長。』
「ち、ちゃんと開けたら逃がしてくれるんだろうな!?」
『まずは言われた事を遂行しませんか?左目がある内に。』
「…っ…!!!」
震えながらも言った通り金庫を開けるチワワ。
中には組織の資金が至る形で保管されていた。
宝石、絵画、彫刻、様々な装飾品。
入口際に置かれたスター○ォーズのフィギュアはちょっとよく分からないけど。
「ど、どうだクライスラー!?最高だろ!望み通りこれ全部お前にやるよ、だから!」
『私の望み…ですか?』
「え?あ、あぁ!そうだろ!?」
『私、そして私達E中隊の唯一の望みは、貴方の永遠の眠りですよ』
パンッと軽い音がして、うるさかったチワワの声は聞こえなくなった。
少しの硝煙の匂いも、爆発で壁の至る所に空いた大きな穴から飛んで行った。
「…やるな、お姫様」
『ここに来た目的を果たしただけ』
ヒュウ、なんて口笛を鳴らされてわざとらしく得意気に胸を張ってみた。
「お前、何者だ?」
『元オーストラリア陸軍特殊部隊、第2コマンドー連隊E中隊の副隊長。今は…復讐を終えた只の人間。』
「第2コマンドー連隊…復讐は終わりか」
『お陰で無事に。』
「そうか」
元所属を聞いて数名が私を睨んだ所を見ると、出会うタイミングが違えば銃を突きつけあっていたんだろう。
まるでバラバラな帽子に装備。
傭兵集団である事と、腕が立つ事は分かる。
こんな奴ら、誰が雇ってこんな所に来させたのか。
なんて考えながらジロジロ見ていたら先程のガンナーとか呼ばれていた大馬鹿…じゃなくて大男が私の方に歩いてきた。
『…ハアイ。』
「はあい。」
『っひゃあっ!?』
目の前で立ち止まるガンナー。
大きいな、と眺めていたら急にひょいと軽々肩に背負われた。
ダガーナイフの笑い声が聞こえる。
「おいおいガンナー。手荒に扱ったら姫さま死ぬぞ」
「ちゃんと丁寧に抱えてるだろ。そう言うならお前が持てよ」
「悪ィな。両手塞がっちまった」
「だったら黙ってろ。この女暴れるし装備のせいで持ちづらいんだ」
『いや抱えなきゃ良いじゃん!?離してよ!!』
いくら暴れても叫んでも、ガンナーはビクともせずに呑気に他の奴らと笑っている。
もしかして売られるの?
まさか命の恩人に恩を返したら売られるの?
それか身体?身体目的?
『こっ、このヘンタイ共ぉぉ!!!!!!』
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20230825添削