疾走STARロマンス
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私がこの世で最も憎んだ男の、なんと情けないことか。
――どこに行けば良いかも分からず彷徨っていた時、目の前の部屋に逃げ込む彼の姿を見た。
奇跡だ。神様ありがとう、なんて思わず祈った。
深呼吸して自分を落ち着かせ、部屋に踏み込めば彼は至極怯えた表情で私にこう懇願した。
「か金のっ、金の在処を教えてやる!だから、な!?たのむよ、クライスラー!」
腰を抜かし必死で私にへつらう男の、右の眼帯の下にある傷は私が付けたものだ。
人違いなんて絶対に有り得ない。
ショックじゃないと言えば嘘になる。
ショックだった。
いやショックでしかない。
私達仲間を裏切り、組織に情報を流し罠にはめた極悪人。そして元上官。
そんな男の、こんな弱く醜い姿。
『金なんて興味ない』
「そんな事言わないで…俺、金庫番なんだよ!俺、昔から人望あったろ?
信頼されてんだ!だから、俺ならあの宝も全部好きに…」
媚びる様に吐き気がして、さっさと殺してしまいたかった。
だけど、私には恩を返すべき相手がいる。
『…宝まで案内してもらおうか?』
「も、もちろん…!!」