疾走STARロマンス

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飛行機から降りた一同は怒声と笑い声で随分と賑やかだった。


「死ぬかと思った」
「二度と御免だ」
『何よ、お陰で早く帰れたでしょ!』
「あぁ、最高にクールだったぜショスナト!!」


がばっとショスナトを抱き上げて振り回すガンナー。
驚きつつも喜ぶショスナトを余所に、トールは心配げにガンナーを止めた。


『で、本当に買ってくれるの?』
「男に二言はねぇよ」
「何の話だ?」


『やったー!』と子供のように飛び跳ねて喜ぶショスナトの後ろから顔を覗かせるヤン。
ショスナトが『お金が絡むとすぐ現れる』とベロを出すとジロリと睨み返した。


「鉄筋の件だ」
『クリスマスが射撃の上手い私にバイク買ってくれるの』
「…あの馬鹿げたやり方、ガンナーじゃなかったのか」


「ああ?」とガンナーが睨むもツンと顔を背けるヤン。
ショスナトは何故か褒められたとでもいう様に照れている。


「…ところで運転出来るんだろうな?」
「そういや見た事ないな」
『馬鹿にしてる?出来るよそのくらい』
「ちょっと運転してみろ」
「ヤンのバイクで」
「待て、なんで俺のバイクだ?」


当然とでもいうような流れでバイクへと誘導されていくショスナトに「やめろ」と止めにかかるヤンだが、ガンナーがそれを阻む。
『ヤンありがと!』とショスナトはガンナーに羽交い締めにされているヤンに礼を言うとエンジンを吹かした。


「いつの間に鍵を!」
「ちょろいもんだぜ」
「やっちまえティンカ一ベル!」
『はっはー!ビックベン時計塔まで行っちゃうぞおお!!』


凄まじいエンジン音と煙を立て走り出すバイク。
そしてすぐに何故か前輪が上がりウィリー状態になる。
一気に不安がよぎる一同。


「…おい、なんかアイツ、」


危なくないか?
そうトールが言い終わるかギリギリのところで、バイクは夕陽をバックに見事な弧を描いた。

数時間前に聞いた、鉄筋が降った後続いた車やバイクの衝突し壊れる音。それとよく似た音が響き渡る。


「「「「「………」」」」」


唖然とする一同。
黒煙を上げるバイク。


「…おい。俺のバイクも買ってくれるんだろうな?」
「…な、一応ショスナトの心配してやれよ」


ゆっくりとクリスマスを睨みあげるヤン。

煙の上がる場所から『ヤンごめーん!やっちゃったー!』とショスナトの能天気な声が聞こえてきた。




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20150907
添削20250320
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