疾走STARロマンス
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『良いなあ、バイク…』
後ろから追ってくるライダー達を羨ましそうに眺めながらショスナトは手にした銃に顎を乗せた。
「買えば良いだろ。良い店知ってるから今度連れてってやろうか?」
『んー、今の私にそんな余裕はないんだよね』
クリスマスはそんなショスナトの頭を押さえつけるとライダー達に発砲する。
銃弾がタイヤやタンクに当たり数台のバイクが横転した。
それを惜しいとばかりに目で追うショスナト。
ーー此処はイングランドのどこか。の工場地帯。
既に標的は殺し任務完了。後は飛行機の発着場へ向かうのみ。
…と、いったところで敵に見つかり現在それらを撒きながら適宜応戦しているという状況。
危機的状況では無いにしろ、このままでは発着場へも行けず銃弾を消費していくだけで良いことはない。
ショスナトはそんな中でただ1人何をするでもなくボゥ、と追っ手を眺めている。
「金に困ってんのか」
『今回の報酬で新しい部屋に移ろうと思ってて。そうするとバイクなんて買えない買えない』
「んじゃ俺が買ってやろうか?」
『は?』
少し眠いのか瞼が重そうな顔のショスナトが怪訝そうにクリスマスを見上げる。
その間も仲間達は後方のバイクや車に銃弾を撃ち込んでいく。
そして車の数を数えだすクリスマス。
「…あの車が邪魔だな。ランチャーのやつと機関銃積んでるやつ。」
『どれ?』
「あれと、あの、3台。」
『あぁ…物騒だなあ』
「あれを5発で仕留めたらバイク買ってやるよ」
「「はあ!?」」
『えー?』
ニヤリと意地悪げに笑うクリスマスの言葉に、話を聞いていたトールとシーザーが驚く。
ショスナトは一瞬悩みながらも、キョロキョロと辺りを見渡し始めた。
「お前…ひどい奴だな」
「バイクくらい買ってやれよ先輩」
「サボってる後輩に喝入れようとしてるのに何だよ」
「お前に喝入れてやろうか?」
「ランチャーならここにもあるんだぞ」
ここ、と後ろを指差すトールの背後に転がるランチャー。
冗談とはいえクリスマスも両手を上げて降参のポーズで渋い顔をして笑った。
と、車の進行方向に目を向けていたショスナトが自身の頭上に向けマグナムを構えた。
『車3台ね』
真剣な眼差しで空を見上げるショスナト。
そして3発の銃声。
全員がそれに視線を向けると、大きく鈍い音を立て幾本の鉄筋がゆっくりと近付いてきた。
「え?」と誰かの声が聞こえる。
重機の関節部が折れ、吊られていた鉄筋が今まさに頭上に降り注がんとしている。
全員が視線を外せずにいると、それは自分達の乗る車のすぐ後ろで大きな音を立てて地面に叩き付けられた。
激しいブレーキ音。そして何かがぶつかる音。叫び声。爆発音。
「「「………」」」
『なんか数は違ったけど大丈夫よね?』
静かになった後方に満足そうにクリスマスを見るショスナト。
クリスマスとトールとシーザーは固まったまま目を瞬かせた。
「……車種は、何が良い…?」
『わかんない。強そうなやつが良いね!』
クリスマスの絞り出したかすれ声にショスナトは嬉しそうにマグナムの柄を撫でた。
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20150701
添削20250320
