グミ

みぺり「――うわ、こんなところで何してるのさ」
べきせ「……ああ、みの字。何してるように見える?」
「家の鍵を失くして途方に暮れてる?」
「全然違う。――ていうか、高校生がこんな時間に出歩いていいのか」
「近所だしセーフでしょ。それに、目撃した人は全員倒すから大丈夫!」
「倒すな」
「よいしょっと。ここって眺めがいい……わけでもないね」
「だけど夜なら人通りもほとんどないし、ぼーっとするにはぴったりだ」
「ぼーっとしてるところにわたしが通りがかったんだね」
「そうだ」
「でもかなり怪しかったよ。通報とかされない?」
「善良な市民を通報するようなやつはいない」
「夜半に道端で座り込むのって善良な市民なの?」
「今はきみも同類だろ」
「まことかっ」
「時代劇?」
「――ぼーっとしながら何考えてたの? 悩み事? 相談なら乗らないよ?」
「乗らないのかよ。人の話を聞くだけ聞いてあざ笑うタイプか?」
「悩み事は自分で解決せよって思想を持ってるだけなのよさ」
「手厳しいな。もっと相手に寄り添う姿勢を見せたらどうだ」
「困難にぶつかってもいずれ解決できるのが人間の力だよ。そうやって人は強くなっていくんさ」
「えらく達観してるな。本当に高校生か? 人生2周目のやつみたいだ」
「あ、"生き物にエサを与えないでください"って書いてある。この辺ってなんか出るのかな」
「話聞け」
「さっき買ってきたんだけど、グミ食べる? これおいしいよ。最近ハマってるんだ」
「話を……もういい。もらおう」
「自分の好きなものをシェアするのって、なんか嬉しいな」
「それは同感だ。幸せは分け与えたほうがいい」
「…………」
「何をニマニマしてるんだ」
「生き物にエサを与えちゃったなーって」
「!!!」
 
「高校生は帰る時間だぞ。ねんねしろ」
「ほんとだ。せっかくだし送ってってよ」
「しょうがないな。……行くぞ」
「そっちじゃないよ」
「…………こっちか?」
「残念。あっちだよ」
「…………………………」
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