素でこれ?

るくら「こんにちはー。とれも、いるよね?」
とれも「あ、るくら。丁度いいところに。助けてください」
「わ、両手を縛られてる。どうしたの? 強盗に襲われた?」
「結束バンドで遊んでたら外せなくなってしまいました」
「ふむ。……今日って特に暑くはないよね?」
「奇行ではありません。素です。意識も明瞭なので、ご心配なく」
「高度に発達した一人遊びは奇行と区別がつかないね〜」
「ふふふ。まるで人質になったようです」
「こいつの命が惜しければ、金を用意しろー」
「た、助けてー」
「……」
「…………」
「もう一人、警察役がいたほうがいいね」
「そうですねぇ。盛り上がりに欠けます」
「――あ、記念に写真撮っていい?」
「いいですよ。しょんぼりした顔しますね」
「ほいっ。――あはは、面白くなったよ」
「どれどれ。……ふふ、変ですね」
「――さてさて。じゃ、外すよ〜。はさみってどこに置いてる?」
「これ最後の一個でして……後で使うので切らないでほしいです」
「最後の一個を使う前に遊んでたらこうなったと。――なるほど。まあ気持ちは分かる、かも……?」
「分かってくれると思ってました。流石です」
「……。まあいいよ、手出して」
「はい」
「…………む。――取れたよ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「久方ぶりの自由を実感しています」
「どれくらい容疑者状態だったの」
「かれこれ2時間ですね」
「わぁすごいね。一人で2時間も粘ってたんだ……」
「るくらが来なければ、一生両手を拘束したまま生きることになっていました。きっと不自由な両手を持て余しながら早世していたことでしょう」
「一生は言い過ぎだし、とんでもないネガティブさにびっくりだよ」
「感謝の気持ちの表現です」
「いつも思うけど独特な表現だよねぇ」
「これが私です」
「そのドヤ顔、鼻につくなぁ……。とれもほど変わった成人男性は見たことないよ」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めてはないよ……。――じゃ、帰るね〜」
「ええ、気をつけて」

「あれ? るくら、何の用事で来たんでしょう」
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