呪いについて

妥木だぼく「みぺりさんっていつもツインテールだけど、違う髪型にはしないの?」
みぺり「それね。事情があってツインテにしかできないんだ」
「どんな事情よ……」
「カラスの群れに襲われたり、車に轢かれそうになったり、床が抜けたり、レンジが爆発したり」
「えええ……? 偶然じゃないの?」
「そんなひどい偶然に遭いまくってたまるかっ。全部違う髪型にした日だったよ」
「そうなの? 呪いって言ってたけど、きっかけはあるの?」
「うん。あれは遠い昔、わたしがまだ未熟者だった頃――」
「え、なんか始まった……。未熟者だった頃って何?」
「やっぱめんどいから簡単に言うよ。子供の頃、人形の髪を毟って遊んでたら、ある日夢で天の声が聞こえたんだ。"オマエに髪の重みを教えてやろう。これから二つ結び以外の髪型を禁ず。破れば罰を下す"って」
「うん(ツッコミを放棄)」
「それ以来、二つ結びじゃないとさっき言ったような天罰が下るようになったんだ。ちなみにおさげでもいいみたい。しないけど」
「そうなのね(ツッコミを放棄)」
「……ほんとだからね?」
「分かってるわよ。お風呂の時と寝る時はどうしてるの?」
「その時だけは大丈夫。髪の重みを知れって言ってたし、結んでると痛みそうな場面では免除されてるみたい」
「へー。でもなんで二つ結びなの? 髪を切るな、とかではなく」
「さあ? 天の存在、ツインテマニアなんじゃない?」
「ふーん……」
「この話するとみんなそういう反応するんだよね。そう、その顔。こいつ頭やばいんじゃね? って顔」
「そりゃあねぇ。ぶっ飛びすぎてるもの」
「あーあ。いつか信じてくれる人、現れないかなぁ」
「信じてくれる人より、呪いを解く方法じゃないの?」
「まあそれはそう。でももう何年も経ってるのに解けないし、分からないのよさ」
「大変ねぇ」
「ぐっ、他人事だからって……あ」
「ん、どうし……ヘアゴム切れたのね」
「ずっと使ってるから寿命だったか……やばっ」
「替えのやつないの?」
「…………切らしてる。やばい」
「……。私は持ってないわよ」
「その長さならそうだろーね。買ってくる!」
「行ってらっしゃい。急ぐと危ないわよ〜」

 ――十分後。
「急に雨降ってきたわね。雷も鳴ってる……」

 ――更に十分後。
「ただいま……」
「おかー、雨だわね……ってみぺりさん!? 血まみれじゃないの!?」
「通りすがりの犬が雷に驚いて噛みついてきた……」
「手当しないと!」
 
 ※本当
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