「私は犬が好きです」
「イッヌ」
「走っている時によく散歩中の犬を見かけます。とってもかわいいです。撫で回したくなります」
「撫で回さないの?」
「わんこの脅威になることをしてはいけません。見守るだけです」
「いい心掛け、わね」
「……どう? ですか?」
「そんな英語の教科書みたいな話し方じゃないと思うわ。もっと自然な感じで」
「分かりました。――じゃあ私からも。語尾には"だわよ"、"だわね"をよく使います」
「珍しい語尾だわね。何かきっかけがあったり?」
「きっかけがあるわけではないけれど、なんか言ってしまいます。癖ですね。――私のターンは終わりました。どうぞ」
「私は狭いところが無性に好き。壁に囲まれていると落ち着くのよね。許されるならずっと箱に入っていたいわ」
「さっきまでテーブルの下にいましたものね。あれはびっくりしました。避難訓練? と思いました」
「ふふふ。そういう習性なのよ」
「今は普通に座ってますけど、もういいんですか?」
「ずっとしゃがんでいると――足が痺れるのよ」
「そりゃそうでしょうね」
「以前、家で机の下にいた時、足が痺れてしばらく動けなかったことがあってね。死にそうになったわ」
「そんなことで死にそうにならないでください」
「それ以来、痺れが来る前に体勢を変えるようにしているのよ」
「当たり前のことを堂々と言うじゃないですか」



「そろそろ終わりにするわよ。お疲れ〜」
「お疲れ様でした。…………つっかれた〜。人の喋り方を真似するのって難しいわね」
「そうですねぇ。私も表情筋がピクピクしてきました」
「あはは。とれもさん、いつもはあまり表情変わらないものね」
「ええ。――丁寧語の妥木は新鮮でした。世にも珍しい」
「そこまでじゃないわよ。わよ口調のとれもさんのほうがへんてこだったわ」
「ふふふ。――でも面白かったですよ。単なる思いつきでしたけど盛り上がりましたね」
「私も楽しかったわ。また、やれたらやりましょう」
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