番外編6 宮城旅行のその後
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亘理を堪能した私たちは、翌日の夕方に仙台へ入った
そうして最終日の三日目はやっぱり、仙台観光だ
ここへ来た以上、瑞鳳殿を無視する選択肢など存在しない
ご先祖様に手を合わせて、そのまま青葉城へ
山頂から見下ろす仙台の街並みは、今日も今日とて平和だ
私たちも社会人としてそれなりに忙しい身だから、頻繁には来られないけど、定期的に足を運びたいなという思いは変わらない
ただまあ、社会人だから、ここへ来るとしたら土日祝のお休みでしか来られないわけで、つまり何が言いたいかというと……
「ほお!
此度は姫様と成実のお二人でお越しになられたか!」
「げぇ、遠藤のジジイ……」
「今の儂向かってジジイとはなんという言い草か」
伊達武将隊の面々がお目見えである
今日は政宗公、景綱公、そして成実公とくノ一のみの出陣であるようだ
重綱公と支倉殿はおられないようで残念
「そうなんだよな……今のお前、全然ジジイじゃねぇもんな……」
「ご無沙汰しております、遠藤様、亘理様……父様」
「うむうむ、姫様はやはり礼儀正しくお美しい!
それに比べてこの小童ときたら」
「勘弁してくれよ!
ジジイの説教ほど長ったらしいモンはねぇんだぞ!」
「小十郎さんのお説教とどっちが長いんでしょうね?」
「どっちもどっちだろ」
せっかくだからとくノ一がみんなで写真を撮ってくれた
彼らには観光客をおもてなしするという仕事があるため、立ち話はここまで
とはいえ私と成実さんがいるってよく分かったな……
「あのジジイは長生きするぜ」
「成実さんって揶揄われやすいから……」
「不本意なんだけどな!?」
遠くで観光客との談笑に応じる御三方を見ながら、成実さんが呆れたように笑った
彼らはもう伊達家に仕える者たちではなくなったけれど、それでもこうして縁を結べたのは喜ばしい事だ
「さあて、ぼちぼち仙台駅に行くかぁ」
「牛タンに並ばないといけませんもんね」
「ずんだシェイクも忘れずに、だろ?」
「やった!」
仙台の街を見下ろす政宗公を見上げて、それから私たちは彼らに背を向けた
私たちも帰るべき場所があって、それはここ仙台ではない
それでも……やはりここは、私たちのもうひとつの故郷なんだと思う
いつか『ただいま』と言える日が来る
その日まで……またしばらくの間、お別れだ
* * *
夕方頃に自宅に戻って、洗濯物を全部回して干し終えて
簡単なもので晩ご飯を済ませたあとは、お風呂に入ってまったりする時間だ
「二度目の帰省はどうだった?」
「すっごく楽しかったです
亘理はいい町ですね」
「はらこ飯そんなに気に入ったのかよ」
「む、それだけじゃないです」
もちろんあれも気に入ったんだけど……
あんな美味しい郷土料理が食べられるなんて、亘理の人たちが羨ましい……
「やっぱり帰らなきゃならない時は寂しいですね」
「どっちが故郷かっつったら、向こうだもんなぁ、気持ち的には」
「そうなんですよね
私たちやっぱり、奥州で生まれ育ったって感覚のほうが強いですし」
コンクリートジャングルの都会も便利ではあるのだけれど、やっぱり田畑の広がる風景が一番『見慣れて』いるのも事実
近くの畑で農民と一緒になって野菜を育てる小十郎さんとか、それの手伝いに駆り出される若い衆とか
時々は兄様もそちらに足を運んでいたっけ
私と成実さんは城下で遊ぶことのほうが多かった気がする
「どれだけ時代が移り変わって、便利な世の中になっても、俺たちが恋しいのは、戦国の世にあった奥州仙台なんだろうな」
「携帯も電気もない時代ですけど、どうしようもなくそれが恋しいんですよね
雲のない月夜は、兄様の部屋の近くから、笛の音が聞こえてくることもあって」
「大森城じゃあ日中、琴の音色が聞こえてきてたなぁ」
「成実さんと兄様は太鼓が叩けましたよね」
「能をやるときは梵が叩いてたこともあったな」
「つくづく思うんですけど」
「うん」
「なんでそんなに教養があって、あのチンピラ具合なんです?」
「おいチンピラって言うなよ、ド三流みてぇじゃねぇか」
だっておかしいじゃん
文武に秀でて教養も備えていて、どうして言動があんなにオラつくんだ
私は不思議でならないよ
「しょうがねぇだろ、それが伊達の血筋だ」
「本当かなぁ……」
何となく違う気がするけどな……と思いつつ、欠伸を噛み殺す
まだ十時を越えたくらいだけど、疲れているのか、すごく眠い
成実さんもそれは気付いてくれたようで、早いけれど今日はもう寝ようということになった
「それじゃあおやすみなさい、成実さん」
「おう
……なあ、夕華」
「はい?」
「またそのうち、奥州に帰ろうな」
仙台へ行こう、ではなくて、奥州へ帰ろうと成実さんは言ってくれた
そのなんでもない言葉選びが、嬉しくて仕方ない
だって私たちは奥州で生まれて、奥州のために戦って、奥州で死んだ
だから私たちの故郷は──やっぱり、奥州のままだ
「はい、また一緒に帰りましょう」
笑顔で頷いて、お互いの部屋へ入る
更けていく今日におやすみを告げて、私もそっと目を閉じた
次の帰省はいつにしようか、今度は綱元さんや原田さんも一緒がいいな……
うとうとと深くなっていく眠りに抗わず、思考が散らばっていく
おやすみなさい、私たちの奥州
いつか、また帰る日まで──
そうして最終日の三日目はやっぱり、仙台観光だ
ここへ来た以上、瑞鳳殿を無視する選択肢など存在しない
ご先祖様に手を合わせて、そのまま青葉城へ
山頂から見下ろす仙台の街並みは、今日も今日とて平和だ
私たちも社会人としてそれなりに忙しい身だから、頻繁には来られないけど、定期的に足を運びたいなという思いは変わらない
ただまあ、社会人だから、ここへ来るとしたら土日祝のお休みでしか来られないわけで、つまり何が言いたいかというと……
「ほお!
此度は姫様と成実のお二人でお越しになられたか!」
「げぇ、遠藤のジジイ……」
「今の儂向かってジジイとはなんという言い草か」
伊達武将隊の面々がお目見えである
今日は政宗公、景綱公、そして成実公とくノ一のみの出陣であるようだ
重綱公と支倉殿はおられないようで残念
「そうなんだよな……今のお前、全然ジジイじゃねぇもんな……」
「ご無沙汰しております、遠藤様、亘理様……父様」
「うむうむ、姫様はやはり礼儀正しくお美しい!
それに比べてこの小童ときたら」
「勘弁してくれよ!
ジジイの説教ほど長ったらしいモンはねぇんだぞ!」
「小十郎さんのお説教とどっちが長いんでしょうね?」
「どっちもどっちだろ」
せっかくだからとくノ一がみんなで写真を撮ってくれた
彼らには観光客をおもてなしするという仕事があるため、立ち話はここまで
とはいえ私と成実さんがいるってよく分かったな……
「あのジジイは長生きするぜ」
「成実さんって揶揄われやすいから……」
「不本意なんだけどな!?」
遠くで観光客との談笑に応じる御三方を見ながら、成実さんが呆れたように笑った
彼らはもう伊達家に仕える者たちではなくなったけれど、それでもこうして縁を結べたのは喜ばしい事だ
「さあて、ぼちぼち仙台駅に行くかぁ」
「牛タンに並ばないといけませんもんね」
「ずんだシェイクも忘れずに、だろ?」
「やった!」
仙台の街を見下ろす政宗公を見上げて、それから私たちは彼らに背を向けた
私たちも帰るべき場所があって、それはここ仙台ではない
それでも……やはりここは、私たちのもうひとつの故郷なんだと思う
いつか『ただいま』と言える日が来る
その日まで……またしばらくの間、お別れだ
* * *
夕方頃に自宅に戻って、洗濯物を全部回して干し終えて
簡単なもので晩ご飯を済ませたあとは、お風呂に入ってまったりする時間だ
「二度目の帰省はどうだった?」
「すっごく楽しかったです
亘理はいい町ですね」
「はらこ飯そんなに気に入ったのかよ」
「む、それだけじゃないです」
もちろんあれも気に入ったんだけど……
あんな美味しい郷土料理が食べられるなんて、亘理の人たちが羨ましい……
「やっぱり帰らなきゃならない時は寂しいですね」
「どっちが故郷かっつったら、向こうだもんなぁ、気持ち的には」
「そうなんですよね
私たちやっぱり、奥州で生まれ育ったって感覚のほうが強いですし」
コンクリートジャングルの都会も便利ではあるのだけれど、やっぱり田畑の広がる風景が一番『見慣れて』いるのも事実
近くの畑で農民と一緒になって野菜を育てる小十郎さんとか、それの手伝いに駆り出される若い衆とか
時々は兄様もそちらに足を運んでいたっけ
私と成実さんは城下で遊ぶことのほうが多かった気がする
「どれだけ時代が移り変わって、便利な世の中になっても、俺たちが恋しいのは、戦国の世にあった奥州仙台なんだろうな」
「携帯も電気もない時代ですけど、どうしようもなくそれが恋しいんですよね
雲のない月夜は、兄様の部屋の近くから、笛の音が聞こえてくることもあって」
「大森城じゃあ日中、琴の音色が聞こえてきてたなぁ」
「成実さんと兄様は太鼓が叩けましたよね」
「能をやるときは梵が叩いてたこともあったな」
「つくづく思うんですけど」
「うん」
「なんでそんなに教養があって、あのチンピラ具合なんです?」
「おいチンピラって言うなよ、ド三流みてぇじゃねぇか」
だっておかしいじゃん
文武に秀でて教養も備えていて、どうして言動があんなにオラつくんだ
私は不思議でならないよ
「しょうがねぇだろ、それが伊達の血筋だ」
「本当かなぁ……」
何となく違う気がするけどな……と思いつつ、欠伸を噛み殺す
まだ十時を越えたくらいだけど、疲れているのか、すごく眠い
成実さんもそれは気付いてくれたようで、早いけれど今日はもう寝ようということになった
「それじゃあおやすみなさい、成実さん」
「おう
……なあ、夕華」
「はい?」
「またそのうち、奥州に帰ろうな」
仙台へ行こう、ではなくて、奥州へ帰ろうと成実さんは言ってくれた
そのなんでもない言葉選びが、嬉しくて仕方ない
だって私たちは奥州で生まれて、奥州のために戦って、奥州で死んだ
だから私たちの故郷は──やっぱり、奥州のままだ
「はい、また一緒に帰りましょう」
笑顔で頷いて、お互いの部屋へ入る
更けていく今日におやすみを告げて、私もそっと目を閉じた
次の帰省はいつにしようか、今度は綱元さんや原田さんも一緒がいいな……
うとうとと深くなっていく眠りに抗わず、思考が散らばっていく
おやすみなさい、私たちの奥州
いつか、また帰る日まで──
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