番外編6 宮城旅行のその後
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成実さんがそのことを後悔のように抱えていないとは思わなかったから、この告白はある意味では想定内だ
でも兄様たちだって、記憶があることを私に告げなかったから、私が誰も頼れなかった原因はそこにある
だから成実さん一人が背負うべき後悔ではないのだと、私はそう思う
「兄様たちも同じように後悔してるんだと思います」
「そうかもなぁ
だってお前を守れなかったのは梵たちも同じだ
だからなおのこと、お前に対して過保護になっちまうんだろうな
もう誰もお前を失いたくないから」
「……」
「前世でお前を呆気なく失った時は、悔しかったし悲しかった
だけどそれについてはもう、後悔じゃなくなってる
ただ俺たちはお前のことが大好きで大切だからさ、今度こそはお前のことを守りたいし、ずっと一緒に暮らしていきたいって思ってんだ
……でもそう思うのも、俺たちが前世の記憶を持ってるからなんだろうな」
「……そうですね
乱世の頃を思い出さないままだったら、私たちの道は一生交わることもなかったんだと思います
私は海夜と仲良くなることもなくて、竹中半兵衛の策略通りに、石田三成と……」
「そこに関しては腸が煮えくり返る思いなんだけどよ
海夜のことをお前が裏切るわけにもいかねぇって話だし
なんだってお前と石田三成なんだよ、ぜってぇ合わねぇだろ!」
「合うわけないじゃないですか!
あのお見合いで何度テーブルをひっくり返しそうになったことか!
むしろあの石田三成と恋人になれる海夜が不思議でならないですよ!」
「相性……なんだろうなぁ……」
しんみりとした空気から一転して、会話は「海夜ってすごいな」に着地した
本当にすごいよ海夜、あの石田先輩と結婚まで秒読みなんだもん
相性ってあるんだなぁ、やっぱり……
「それでいくと、私と成実さんはものすごく相性が良いですよね」
「不思議と考えてることが何となく伝わるんだよなぁ
相性がいいのは間違いないな」
そりゃあ私と成実さんは戦場で背中を預け合った仲だ
相性が良くないなんて有り得ない
互いの癖や間合い、呼吸すらも意識せずに合わせられるのだから
「いつの間にか私も一番槍みたいな扱いになっちゃいましたけど」
「俺たちもまさか、梵がお前を先鋒に組み込むなんて思わなかったんだよ
まあ結果的にはそれで上手く行ったけど」
「そもそも兄様の性格的に、あの人が真っ先に先陣を切りそうですけど」
「梵があんまりにも先陣を切りすぎて、俺らのカバーが追いつかなくなった時があってな……
どうせ中軍で出陣したって先鋒の俺たちに追い付くんだからって説き伏せて、やっとこさあの形に落ち着いたんだよ
……ま、いざとなりゃあ俺が梵を名乗って、囮になりゃいいだけなんだけど
そういや、夕華が来てからは梵も無茶苦茶は減った気がするな
お前から俺を取り上げるわけにはいかねぇって思ったのかもな」
そう語る成実さんの口元には、穏やかな微笑が残っていた
多少の無茶ならやってのけてしまう兄様が、私のために無茶を減らしてくれたのだとしたら、私も嬉しい
結果的には成実さんが兄様の代わりになって命を懸けることも、兄様が無茶をしすぎて危険な目にあうことも、どちらとも防げたわけだ
成実さんを失うことなんて、考えたくもない
ううん、本当は誰一人として欠けてほしくない
でも戦をする以上、必ず誰かが命を落とすことになる
力のない一兵卒の損害を如何にして減らし、兄様が討ち取られることなく、攻め勝つか──
そう考えた結果が、私の先鋒入りだったのだろうか
真相は兄様だけが知ることなのだけれども
「まあ理由はなんでもいいや
梵にとっちゃあ、お前の存在が、もうひとつの光だったのかもしれねぇな」
「そうですね……兄様の支えになれていたなら、妹冥利に尽きます」
過ぎ去っていく景色を眺めながら、私も微笑んでそう呟いた
Bluetoothで繋いだカーナビからは、成実さんの好きなロックバンドの曲が流れている
紅白にも出たことのあるバンドだから、私もプレイリストのうちの数曲は聞き覚えがあった
「石田三成で思い出しましたけど、やっぱりどう考えてもおかしいですよね
交差点で思いっきり車に撥ねられたのに、大した怪我もなかったって」
「肋骨と左腕の骨折は割と大怪我だからな?
でもまあ、現場検証でも似たようなことは言われてたっぽいぜ
前世の名残か、上手いこと受け身も取れてたらしいし、そのおかげなんじゃねぇか?」
「うーん……というより、成島八幡の加護がまだ残ってたのかなって」
「あ〜そっちか、そうだな、お前の場合はそれがあったな……」
父様の私を思う気持ちに共鳴して、命の危機に瀕した私へ加護を授けてくださった成島八幡
あの時代での生を終えた時、その加護も役目を終えたと思っていたけど
ひょっとしたら、まだちょっと効力が残っていたのかもしれない
「それかもしくは、当世の大殿の願いに、成島八幡がまた共鳴してくれたのかもな」
「これこそ真相は闇の中ですね」
「無理に解明しなくてもいいんじゃねーの?
そうだったらいいなで終わるほうが、ロマンがあっていいだろ」
「あはは、それもそうですね」
暴く必要はないのだから、これは迷宮入りさせておこう
迷惑を被ったならまだしも、私は助けられたわけだし
成実さんの言う通り、分からないままのほうがいい気がする
でも兄様たちだって、記憶があることを私に告げなかったから、私が誰も頼れなかった原因はそこにある
だから成実さん一人が背負うべき後悔ではないのだと、私はそう思う
「兄様たちも同じように後悔してるんだと思います」
「そうかもなぁ
だってお前を守れなかったのは梵たちも同じだ
だからなおのこと、お前に対して過保護になっちまうんだろうな
もう誰もお前を失いたくないから」
「……」
「前世でお前を呆気なく失った時は、悔しかったし悲しかった
だけどそれについてはもう、後悔じゃなくなってる
ただ俺たちはお前のことが大好きで大切だからさ、今度こそはお前のことを守りたいし、ずっと一緒に暮らしていきたいって思ってんだ
……でもそう思うのも、俺たちが前世の記憶を持ってるからなんだろうな」
「……そうですね
乱世の頃を思い出さないままだったら、私たちの道は一生交わることもなかったんだと思います
私は海夜と仲良くなることもなくて、竹中半兵衛の策略通りに、石田三成と……」
「そこに関しては腸が煮えくり返る思いなんだけどよ
海夜のことをお前が裏切るわけにもいかねぇって話だし
なんだってお前と石田三成なんだよ、ぜってぇ合わねぇだろ!」
「合うわけないじゃないですか!
あのお見合いで何度テーブルをひっくり返しそうになったことか!
むしろあの石田三成と恋人になれる海夜が不思議でならないですよ!」
「相性……なんだろうなぁ……」
しんみりとした空気から一転して、会話は「海夜ってすごいな」に着地した
本当にすごいよ海夜、あの石田先輩と結婚まで秒読みなんだもん
相性ってあるんだなぁ、やっぱり……
「それでいくと、私と成実さんはものすごく相性が良いですよね」
「不思議と考えてることが何となく伝わるんだよなぁ
相性がいいのは間違いないな」
そりゃあ私と成実さんは戦場で背中を預け合った仲だ
相性が良くないなんて有り得ない
互いの癖や間合い、呼吸すらも意識せずに合わせられるのだから
「いつの間にか私も一番槍みたいな扱いになっちゃいましたけど」
「俺たちもまさか、梵がお前を先鋒に組み込むなんて思わなかったんだよ
まあ結果的にはそれで上手く行ったけど」
「そもそも兄様の性格的に、あの人が真っ先に先陣を切りそうですけど」
「梵があんまりにも先陣を切りすぎて、俺らのカバーが追いつかなくなった時があってな……
どうせ中軍で出陣したって先鋒の俺たちに追い付くんだからって説き伏せて、やっとこさあの形に落ち着いたんだよ
……ま、いざとなりゃあ俺が梵を名乗って、囮になりゃいいだけなんだけど
そういや、夕華が来てからは梵も無茶苦茶は減った気がするな
お前から俺を取り上げるわけにはいかねぇって思ったのかもな」
そう語る成実さんの口元には、穏やかな微笑が残っていた
多少の無茶ならやってのけてしまう兄様が、私のために無茶を減らしてくれたのだとしたら、私も嬉しい
結果的には成実さんが兄様の代わりになって命を懸けることも、兄様が無茶をしすぎて危険な目にあうことも、どちらとも防げたわけだ
成実さんを失うことなんて、考えたくもない
ううん、本当は誰一人として欠けてほしくない
でも戦をする以上、必ず誰かが命を落とすことになる
力のない一兵卒の損害を如何にして減らし、兄様が討ち取られることなく、攻め勝つか──
そう考えた結果が、私の先鋒入りだったのだろうか
真相は兄様だけが知ることなのだけれども
「まあ理由はなんでもいいや
梵にとっちゃあ、お前の存在が、もうひとつの光だったのかもしれねぇな」
「そうですね……兄様の支えになれていたなら、妹冥利に尽きます」
過ぎ去っていく景色を眺めながら、私も微笑んでそう呟いた
Bluetoothで繋いだカーナビからは、成実さんの好きなロックバンドの曲が流れている
紅白にも出たことのあるバンドだから、私もプレイリストのうちの数曲は聞き覚えがあった
「石田三成で思い出しましたけど、やっぱりどう考えてもおかしいですよね
交差点で思いっきり車に撥ねられたのに、大した怪我もなかったって」
「肋骨と左腕の骨折は割と大怪我だからな?
でもまあ、現場検証でも似たようなことは言われてたっぽいぜ
前世の名残か、上手いこと受け身も取れてたらしいし、そのおかげなんじゃねぇか?」
「うーん……というより、成島八幡の加護がまだ残ってたのかなって」
「あ〜そっちか、そうだな、お前の場合はそれがあったな……」
父様の私を思う気持ちに共鳴して、命の危機に瀕した私へ加護を授けてくださった成島八幡
あの時代での生を終えた時、その加護も役目を終えたと思っていたけど
ひょっとしたら、まだちょっと効力が残っていたのかもしれない
「それかもしくは、当世の大殿の願いに、成島八幡がまた共鳴してくれたのかもな」
「これこそ真相は闇の中ですね」
「無理に解明しなくてもいいんじゃねーの?
そうだったらいいなで終わるほうが、ロマンがあっていいだろ」
「あはは、それもそうですね」
暴く必要はないのだから、これは迷宮入りさせておこう
迷惑を被ったならまだしも、私は助けられたわけだし
成実さんの言う通り、分からないままのほうがいい気がする
