番外編6 宮城旅行のその後
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──そんなこんなで終わりを告げた、私たちの宮城旅行
夏の終わりに新婚旅行でハワイへ向かった後
九月のシルバーウィークで、私たちは再び、宮城の地を踏んだ
「うーん、残暑ですねぇ」
「東北でも太平洋側は流石にまだちょっと暑いな」
折り畳みの日傘を差して、仙台駅からレンタカーショップへと歩く
なお今回は成実さんとの二人旅だ!
「お宿は今回も秋保の別荘でしたっけ」
「いや、どうしようか迷ったけど、市街地のホテルにした
こんだけ暑いと、温泉って気分にもならねぇ気がして」
「あー……それは……」
否定できない部分が大きい……
苦笑いのようなものを浮かべつつ、西口のデッキから降りていけば、そこは市街地ど真ん中
さりげなく車道側を歩く成実さんは、日傘を差していないから暑そうだ
今日は仙台も雲ひとつない快晴
成実さんの白い肌が焼けてしまう
「とりあえず車借りたら亘理まで飛ばして、飯食いながらどこ行くか決めようぜ」
「成実さんのことですし、もう決まってるのかと」
「……大雄寺と亘理神社くらいなら回れるか」
「ふふ……そうですね」
気まずそうにそっぽを向く成実さんの耳が赤い
自分とは違う、けれど自分と同じように伊達政宗に仕えた、この世界の伊達成実
その足跡を辿るために亘理へ行くのだから、行先なんてほぼ決まっているようなものなのに
「晩メシはどうするよ?」
「それも成実さんが決めてるのかと思ってました」
「お前……」
呆れたようにため息をついた直後、成実さんがどこかに電話を掛け始めた
誰に電話を……と思ったのもつかの間
「ああ俺だ
今日の夜に二人、いつものコースで頼むぜ
本家のお嬢様がお越しだから、諸々宜しくな」
「また無茶苦茶な予約の仕方しましたね……」
「こうなるだろうなとは思ってたんだよ
最近の夕華は俺に全部任せるようになってきたからな」
「そのほうが間違いないかなって思って」
「俺のことを信用してくれてるのは嬉しいが、自分のやりたいこととか行きたい場所があれば、遠慮なく言えよな?」
「それはもちろんです!」
レンタカーショップに着いて、店内へ入ると、一気に冷房で冷やされた空間がお出迎えしてくれた
成実さんがカウンターで手続きを進めていくのを隣で眺めながら、ふとお店の外を振り返ると、そこには前回よりは小型な乗用車が停まっている
「お待たせ、行くか」
「はい」
キャリーバッグをガラガラと引っ張って、つかの間の快適空間から、再び残暑の外へ
ボディに傷がないことなどを確認して、トランクにそれぞれのキャリーバッグを載せた
今回は二泊だから、キャリーバッグも小さめの物だ
トランクにも問題なく収まった
お見送りを受けて成実さんは運転席へ、私は助手席へ乗り込み、カーナビを起動!
「うっし!
そんじゃあ行くか!
まず最初は……」
「はらこ飯!」
「だな!」
成実さんがお店の場所を検索して、ルートを表示させる
それでは張り切って、いざ出発!
「しかしまぁ──」東二番丁通りへ出ながら、成実さんが呆れたように笑った
「なぁんもないとこだぞ、亘理なんて」
「分かってませんね
伊達成実の縁のものが残ってるんですから、何にもないなんて有り得ないんですよ」
「そんなもんかぁ?」
納得のいっていなさそうな顔をしているけど、成実さんだって亘理に行くことに反対はしなかった
なんだかんだでこの世界の亘理のことだって気にかけてるのはモロバレだ
素直じゃないんだから、まったく
「何はともあれ、そこまで奥州のことを好きでいてくれるなら、あの世で先祖も泣いて喜んでるだろ」
「泣くかどうかはさておき、喜んでくれるといいなとは思います
結局のところ私たち、時代や世界が違っても、奥州のことが大好きなんですもん」
生活の拠点を仙台や亘理へ移すことは難しいから、せめてこうして足を運んでおきたい
今の私たちのルーツも奥州にあるし、前世の私たちが治めた土地も奥州だった
伊達の人間として生まれたことも、きっと偶然などではないのだと思う
……そう、きっと何一つとして偶然ではなかった
伊達の名を持って再び生を受けたことも、兄様たちと再会できたことも、兄様の妹だったことも
成実さんとあの日の続きを始められることも……
「……俺さ、実は一個、どうしても後悔を捨てられないことがあって」
「えっ」
「生まれ変わって初めて、お前と出会ったとき、なんで記憶を取り戻せなかったんだろうって
ガキの頃に会ったことがあったとしても、そんなの覚えちゃいなかったし、記憶も思い出せやしなかっただろうとは思うよ
でも、高校生になって……お前の学校の前で再会したとき、お前だって気付いてやれたらよかったのになって」
「成実さん……」
「そうすりゃお前は危険な賭けに出ることも、そのせいで追い詰められて事故に遭うこともなかった
……あの時ほんとに、お前をまた喪うことになるんじゃねぇかって、どうしようもなく怖くなってさ」
成実さんの眼差しは前を向いているけど、どこか哀しそうな色をしていた
……その後悔に関しては、私も否定できなかった
なにより私自身がずっと望んでいたことだったから
私を思い出してほしいって、誰よりも強く願ってきたから、成実さんの後悔に「そんなことない」なんて言えない
事実、成実さんの言う通りだからだ
成実さんが記憶を取り戻していれば、私は竹中半兵衛と自分が不利な賭けをしなくてよかった
そもそも、石田三成とのお見合いすら、する必要もなかっただろう
過去は変えられないから、意味のないタラレバなのかもしれないけれど──同時にそれは、成実さんにしか抱えられない後悔なのだと思う
夏の終わりに新婚旅行でハワイへ向かった後
九月のシルバーウィークで、私たちは再び、宮城の地を踏んだ
「うーん、残暑ですねぇ」
「東北でも太平洋側は流石にまだちょっと暑いな」
折り畳みの日傘を差して、仙台駅からレンタカーショップへと歩く
なお今回は成実さんとの二人旅だ!
「お宿は今回も秋保の別荘でしたっけ」
「いや、どうしようか迷ったけど、市街地のホテルにした
こんだけ暑いと、温泉って気分にもならねぇ気がして」
「あー……それは……」
否定できない部分が大きい……
苦笑いのようなものを浮かべつつ、西口のデッキから降りていけば、そこは市街地ど真ん中
さりげなく車道側を歩く成実さんは、日傘を差していないから暑そうだ
今日は仙台も雲ひとつない快晴
成実さんの白い肌が焼けてしまう
「とりあえず車借りたら亘理まで飛ばして、飯食いながらどこ行くか決めようぜ」
「成実さんのことですし、もう決まってるのかと」
「……大雄寺と亘理神社くらいなら回れるか」
「ふふ……そうですね」
気まずそうにそっぽを向く成実さんの耳が赤い
自分とは違う、けれど自分と同じように伊達政宗に仕えた、この世界の伊達成実
その足跡を辿るために亘理へ行くのだから、行先なんてほぼ決まっているようなものなのに
「晩メシはどうするよ?」
「それも成実さんが決めてるのかと思ってました」
「お前……」
呆れたようにため息をついた直後、成実さんがどこかに電話を掛け始めた
誰に電話を……と思ったのもつかの間
「ああ俺だ
今日の夜に二人、いつものコースで頼むぜ
本家のお嬢様がお越しだから、諸々宜しくな」
「また無茶苦茶な予約の仕方しましたね……」
「こうなるだろうなとは思ってたんだよ
最近の夕華は俺に全部任せるようになってきたからな」
「そのほうが間違いないかなって思って」
「俺のことを信用してくれてるのは嬉しいが、自分のやりたいこととか行きたい場所があれば、遠慮なく言えよな?」
「それはもちろんです!」
レンタカーショップに着いて、店内へ入ると、一気に冷房で冷やされた空間がお出迎えしてくれた
成実さんがカウンターで手続きを進めていくのを隣で眺めながら、ふとお店の外を振り返ると、そこには前回よりは小型な乗用車が停まっている
「お待たせ、行くか」
「はい」
キャリーバッグをガラガラと引っ張って、つかの間の快適空間から、再び残暑の外へ
ボディに傷がないことなどを確認して、トランクにそれぞれのキャリーバッグを載せた
今回は二泊だから、キャリーバッグも小さめの物だ
トランクにも問題なく収まった
お見送りを受けて成実さんは運転席へ、私は助手席へ乗り込み、カーナビを起動!
「うっし!
そんじゃあ行くか!
まず最初は……」
「はらこ飯!」
「だな!」
成実さんがお店の場所を検索して、ルートを表示させる
それでは張り切って、いざ出発!
「しかしまぁ──」東二番丁通りへ出ながら、成実さんが呆れたように笑った
「なぁんもないとこだぞ、亘理なんて」
「分かってませんね
伊達成実の縁のものが残ってるんですから、何にもないなんて有り得ないんですよ」
「そんなもんかぁ?」
納得のいっていなさそうな顔をしているけど、成実さんだって亘理に行くことに反対はしなかった
なんだかんだでこの世界の亘理のことだって気にかけてるのはモロバレだ
素直じゃないんだから、まったく
「何はともあれ、そこまで奥州のことを好きでいてくれるなら、あの世で先祖も泣いて喜んでるだろ」
「泣くかどうかはさておき、喜んでくれるといいなとは思います
結局のところ私たち、時代や世界が違っても、奥州のことが大好きなんですもん」
生活の拠点を仙台や亘理へ移すことは難しいから、せめてこうして足を運んでおきたい
今の私たちのルーツも奥州にあるし、前世の私たちが治めた土地も奥州だった
伊達の人間として生まれたことも、きっと偶然などではないのだと思う
……そう、きっと何一つとして偶然ではなかった
伊達の名を持って再び生を受けたことも、兄様たちと再会できたことも、兄様の妹だったことも
成実さんとあの日の続きを始められることも……
「……俺さ、実は一個、どうしても後悔を捨てられないことがあって」
「えっ」
「生まれ変わって初めて、お前と出会ったとき、なんで記憶を取り戻せなかったんだろうって
ガキの頃に会ったことがあったとしても、そんなの覚えちゃいなかったし、記憶も思い出せやしなかっただろうとは思うよ
でも、高校生になって……お前の学校の前で再会したとき、お前だって気付いてやれたらよかったのになって」
「成実さん……」
「そうすりゃお前は危険な賭けに出ることも、そのせいで追い詰められて事故に遭うこともなかった
……あの時ほんとに、お前をまた喪うことになるんじゃねぇかって、どうしようもなく怖くなってさ」
成実さんの眼差しは前を向いているけど、どこか哀しそうな色をしていた
……その後悔に関しては、私も否定できなかった
なにより私自身がずっと望んでいたことだったから
私を思い出してほしいって、誰よりも強く願ってきたから、成実さんの後悔に「そんなことない」なんて言えない
事実、成実さんの言う通りだからだ
成実さんが記憶を取り戻していれば、私は竹中半兵衛と自分が不利な賭けをしなくてよかった
そもそも、石田三成とのお見合いすら、する必要もなかっただろう
過去は変えられないから、意味のないタラレバなのかもしれないけれど──同時にそれは、成実さんにしか抱えられない後悔なのだと思う
