番外編6 宮城旅行のその後
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家の前に横付けしてくれた兄様にお礼とおやすみを言って、車を降りる
そのタイミングで玄関のドアが開いて、成実さんが出てきた
「おう、おかえり」
「ただいま帰りました
成実さんもお疲れ様です」
「Good sleep.」
「気を付けて帰れよー」
運転席の兄様に手を振って、車が走り去るのを見送る
冷える冬の屋外から家の中に入ると、ほんのりとした温かさで体が震えた
「美味いもん食わせてもらえたか?」
「イタリアンのコース料理食べてきちゃいました」
「あーあー、梵なら絶対そういうことすると思ったよ
来週の金曜は成実さんとディナーだからな、お前」
「えっ聞いてないです」
「今決めたもん」
「今!?」
「そ、今
何食いたい?」
するりと荷物を取られながら、私はうーんと悩むふり
強いて言うならイタリアンは今日食べたから、それ以外でお願いしたいところだ
でも成実さんのおすすめなら絶対に外さないからなぁ
「成実さんに任せます」
「だーめ、お前が決めろ
すぐそうやって俺に選択権を渡してくるが、俺はお前を甘やかしたくて聞いてんだよ」
「既に充分、甘やかしてもらってる気がします」
「えっ、どの辺で?」
「どの辺で!?」
予想だにしない疑問がぶつけられてしまった
どの辺でって言われても、その辺でとしか言いようがない
成実さんって私を常に甘やかしてるような人だから、もうそれがデフォルトになっちゃってて、自分が今、私を甘やかしているのかそうじゃないのか、判断がつかないんだ……
怪訝な顔をする成実さんに乾いた笑いを返して、着たままだったコートを脱ぐ──それもすぐさま成実さんの手に渡された
お風呂の用意はできていると教えてもらったから、そのままお風呂に入ることにした
ポイポイと服を脱いで脱衣カゴに突っ込み、浴室のドアを開けると、室内は浴室暖房で暖められていたようでポカポカだ
私は貧乏性が直らないから、浴室暖房も勿体なくて使えないけど、成実さんは私にめちゃくちゃ甘いから、浴室暖房でも何でも贅沢に使ってくれる
ほらもうこういう所で私を甘やかしてくるじゃないですか、と言ったところで、本人はこれを甘やかしにはカウントしないんだろうな
湯船には入浴剤も入っていて、私の好きな香りが浴室に広がっている
……これが甘やかしじゃなければ何なんだ
私の髪質に合わせたシャンプーとコンディショナー
肌の突っ張りや乾燥を抑え、しっとりとした仕上がりになるボディソープ
なによりお風呂を上がれば──
「顔パックしてる間に髪のケアするから、寝るなよー」
「はぁい」
私はただ椅子に座っていればいい時間の始まりだ
成実さんはそのうち美容部員か美容師にでもなるつもりなんだろうか
いつかそう聞いたら、心底不思議な顔をされた
「なんで俺がお前以外の知らねぇ奴の世話しなきゃならねーんだ?」とは本人の言葉だ
世の美容家顔負けの知識と技術を身につけながら(これは喜多さんのお陰でもあるけど)それが発揮される相手が私だけなのは勿体ない気がする
そう言ったら誰の同意も得られなかった
うちの男共は本当にこれだから
「気は早いけど、来年のシルバーウィークは亘理に行くか」
「はらこ飯!」
「ぜってー気に入るから安心しろ」
くすくすと笑って、成実さんはドライヤーのスイッチを入れた
ちなみにドライヤーもめっちゃ高級で高性能なやつだ
成実さんがうちで暮らすようになって数日後にはドライヤーが変わっていたのを思い出した
マイナスイオンが出ていれば良かろうと思っていたのに
「……あふ」
ついつい欠伸が出てしまうのは許してほしい
成実さんの手つきが優しくて安心しきってしまうのは性分だ
五分経ったなとパックを剥がして、ゴミ箱にポイッと落とす
成実さんが教えてくれた乳液を手の甲に取って、顔に塗り広げていると、髪もようやく乾いてくれた
あとは成実さんに任せて、「はい終わり」と言われる頃には、夜の十時も半分回る頃だ
「明日が土曜でよかった……」
「梵もそのつもりでお前をコースに連れてったんだと思うぜ」
「流石に次の日も仕事なのにフルコース食べてるのはしんどいですよね
商社とはいえ朝は普通に支度とかでバタバタですし」
そうだなぁ、と洗面所に消えながら成実さんが返事をする
すぐに帰ってきた成実さんは、ソファに座って、隣をポンポンと示してきた
隣に座れということだろうと察して、成実さんの横に腰を下ろす
瞬間、成実さんの腕がにゅっと伸びてきて、私をこれでもかと抱き締めた
「あーもう忙しかったせいで夕華が足りてねぇや」
「今日はびっくりするくらい、社内ですれ違わなかったですもんね」
「いつもなら朝礼とか夕方とかなら、顔合わせるのにな
朝から会議だ何だで、俺も小十郎もバッタバタでよぉ
教育係の綱元はお前といなきゃならねぇってんで、やたら朝からテンション高いし」
「いつもと変わんないように見え……あ、いや、確かにいつもより笑顔が輝いてたな」
伊達の魔王様のご機嫌がいいのは良いことだから、わざわざ指摘することはしなかったけど
たしかにいつもの五割増で笑顔が明るかった……
そっか……綱元さんだけが私のそばにいられる優越感だったのか……
日中はほとんど一緒にいる気がするけどな……
それはそれ、これはこれってことなんだろう
綱元さんと行動を共にするのは、社会人になってからが初めてだもんね
私といるのがそんなに嬉しいことなのか、という素朴な疑問は尽きないけど、綱元さんにとってはそうなんだろう
それにあの時代では、綱元さんから直接何かを教えてもらうことも、そうあることではなかった
だからまあ、綱元さんが楽しいなら、それでいいんだと思う
そのタイミングで玄関のドアが開いて、成実さんが出てきた
「おう、おかえり」
「ただいま帰りました
成実さんもお疲れ様です」
「Good sleep.」
「気を付けて帰れよー」
運転席の兄様に手を振って、車が走り去るのを見送る
冷える冬の屋外から家の中に入ると、ほんのりとした温かさで体が震えた
「美味いもん食わせてもらえたか?」
「イタリアンのコース料理食べてきちゃいました」
「あーあー、梵なら絶対そういうことすると思ったよ
来週の金曜は成実さんとディナーだからな、お前」
「えっ聞いてないです」
「今決めたもん」
「今!?」
「そ、今
何食いたい?」
するりと荷物を取られながら、私はうーんと悩むふり
強いて言うならイタリアンは今日食べたから、それ以外でお願いしたいところだ
でも成実さんのおすすめなら絶対に外さないからなぁ
「成実さんに任せます」
「だーめ、お前が決めろ
すぐそうやって俺に選択権を渡してくるが、俺はお前を甘やかしたくて聞いてんだよ」
「既に充分、甘やかしてもらってる気がします」
「えっ、どの辺で?」
「どの辺で!?」
予想だにしない疑問がぶつけられてしまった
どの辺でって言われても、その辺でとしか言いようがない
成実さんって私を常に甘やかしてるような人だから、もうそれがデフォルトになっちゃってて、自分が今、私を甘やかしているのかそうじゃないのか、判断がつかないんだ……
怪訝な顔をする成実さんに乾いた笑いを返して、着たままだったコートを脱ぐ──それもすぐさま成実さんの手に渡された
お風呂の用意はできていると教えてもらったから、そのままお風呂に入ることにした
ポイポイと服を脱いで脱衣カゴに突っ込み、浴室のドアを開けると、室内は浴室暖房で暖められていたようでポカポカだ
私は貧乏性が直らないから、浴室暖房も勿体なくて使えないけど、成実さんは私にめちゃくちゃ甘いから、浴室暖房でも何でも贅沢に使ってくれる
ほらもうこういう所で私を甘やかしてくるじゃないですか、と言ったところで、本人はこれを甘やかしにはカウントしないんだろうな
湯船には入浴剤も入っていて、私の好きな香りが浴室に広がっている
……これが甘やかしじゃなければ何なんだ
私の髪質に合わせたシャンプーとコンディショナー
肌の突っ張りや乾燥を抑え、しっとりとした仕上がりになるボディソープ
なによりお風呂を上がれば──
「顔パックしてる間に髪のケアするから、寝るなよー」
「はぁい」
私はただ椅子に座っていればいい時間の始まりだ
成実さんはそのうち美容部員か美容師にでもなるつもりなんだろうか
いつかそう聞いたら、心底不思議な顔をされた
「なんで俺がお前以外の知らねぇ奴の世話しなきゃならねーんだ?」とは本人の言葉だ
世の美容家顔負けの知識と技術を身につけながら(これは喜多さんのお陰でもあるけど)それが発揮される相手が私だけなのは勿体ない気がする
そう言ったら誰の同意も得られなかった
うちの男共は本当にこれだから
「気は早いけど、来年のシルバーウィークは亘理に行くか」
「はらこ飯!」
「ぜってー気に入るから安心しろ」
くすくすと笑って、成実さんはドライヤーのスイッチを入れた
ちなみにドライヤーもめっちゃ高級で高性能なやつだ
成実さんがうちで暮らすようになって数日後にはドライヤーが変わっていたのを思い出した
マイナスイオンが出ていれば良かろうと思っていたのに
「……あふ」
ついつい欠伸が出てしまうのは許してほしい
成実さんの手つきが優しくて安心しきってしまうのは性分だ
五分経ったなとパックを剥がして、ゴミ箱にポイッと落とす
成実さんが教えてくれた乳液を手の甲に取って、顔に塗り広げていると、髪もようやく乾いてくれた
あとは成実さんに任せて、「はい終わり」と言われる頃には、夜の十時も半分回る頃だ
「明日が土曜でよかった……」
「梵もそのつもりでお前をコースに連れてったんだと思うぜ」
「流石に次の日も仕事なのにフルコース食べてるのはしんどいですよね
商社とはいえ朝は普通に支度とかでバタバタですし」
そうだなぁ、と洗面所に消えながら成実さんが返事をする
すぐに帰ってきた成実さんは、ソファに座って、隣をポンポンと示してきた
隣に座れということだろうと察して、成実さんの横に腰を下ろす
瞬間、成実さんの腕がにゅっと伸びてきて、私をこれでもかと抱き締めた
「あーもう忙しかったせいで夕華が足りてねぇや」
「今日はびっくりするくらい、社内ですれ違わなかったですもんね」
「いつもなら朝礼とか夕方とかなら、顔合わせるのにな
朝から会議だ何だで、俺も小十郎もバッタバタでよぉ
教育係の綱元はお前といなきゃならねぇってんで、やたら朝からテンション高いし」
「いつもと変わんないように見え……あ、いや、確かにいつもより笑顔が輝いてたな」
伊達の魔王様のご機嫌がいいのは良いことだから、わざわざ指摘することはしなかったけど
たしかにいつもの五割増で笑顔が明るかった……
そっか……綱元さんだけが私のそばにいられる優越感だったのか……
日中はほとんど一緒にいる気がするけどな……
それはそれ、これはこれってことなんだろう
綱元さんと行動を共にするのは、社会人になってからが初めてだもんね
私といるのがそんなに嬉しいことなのか、という素朴な疑問は尽きないけど、綱元さんにとってはそうなんだろう
それにあの時代では、綱元さんから直接何かを教えてもらうことも、そうあることではなかった
だからまあ、綱元さんが楽しいなら、それでいいんだと思う
