番外編6 宮城旅行のその後
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時刻は午後七時を前にした頃
「ただいま帰りましたー!」
宮城旅行組、別邸へ帰宅
もちろん綱元さんが出迎えてくれた
原田さんはご自宅へ帰っているらしい
「お帰りなさいませ、政宗様、夕華様
小十郎様、成実、お二人の護衛ご苦労様でした」
「I'm home.
別邸に変わりはなかったか」
「久々に羽を伸ばさせて頂きました
政宗様も良いリフレッシュとなったようで」
「土産が今週中には届くはずだ、受け取っておけよ」
「かしこまりました
風呂の用意はできておりますので、すぐにでもご入浴いただけますが」
「先にメシにする
この奥州筆頭と一の姫が直々に振る舞ってやるんだ、期待しておけよ?」
「腕によりをかけて作ります!」
「それは楽しみです」
ゾロゾロとリビングへ入り、私と兄様はキッチンで手を洗って料理に取り掛かった
冷蔵庫を開けた兄様が、んー、と迷いながら食材を取り出していく
何を作るんだろう
「夕華、そこの鍋で出汁を取っておいてくれ」
「何で取ります?
鰹か昆布か……」
「お前の好きなようにやりゃいいさ
鰹だしなら綱元に削ってもらえ」
「そのくらいならば、この綱元でもお手伝いできましょう
ご遠慮なくお申し付けを」
「じゃあお願いします」
綱元さんがかんなと鰹節を手に、リビングに戻っていく
ほどなくして、鰹節を削る音が聞こえてきた
「何作るんですか?」
「芹が中途半端に残ってやがるからな、そっちは吸物行きだ
あとは冷蔵庫の中にあるモンで適当に……だな」
「あ、鰤がある……大根もある
鰤大根にしちゃっていいですか?」
「その手があったな
なら、鰤大根はお前に任せたぜ
先にまな板使うぞ」
「どうぞどうぞ」
兄様はしめじを手に持っている
何に使うんだろう
と思ったら、石づきを取って小房に分けて、それは一旦ザルの中へ
そして次にやってきたのは人参──これは二センチ程度の細切りに
そして次は鶏もも肉がやってきた
「……しめじと人参と鶏肉……?」
「こいつは炊き込みご飯にするかと思ってな」
「美味しいやつですね」
米を四合研いで、炊飯器にセットすると、水を張って調味料を加えていく
目分量で入れられていくあたり、よく作るんだろうな
最後に具材を投入して、蓋を閉めて炊飯をセット
その間に綱元さんが鰹節を削り終えたので、私も出汁を取ることにした
「梵、悪い
先に俺と小十郎で風呂もらうぜ」
「おう」
「……一緒に入るんですか?」
「恐ろしいこと言うなよ!
何が悲しくて野郎と一緒に風呂なんざ入らなきゃいけねーんだ!」
「ですよね、すみません!
どうぞごゆっくり!」
お風呂場へ去っていく成実さんを見送って、手元の鍋へと視線を落とす
鰹だしはひと煮立ちで上げないと美味しくなくなっちゃうから、あまり目を離すのはよくないのだ
私が出汁を取り終わらないうちに、成実さんがお風呂から戻ってきた
相変わらずの行水っぷりだ……
「小十郎ー、風呂ー」
「わかった
政宗様、お先に風呂をいただきます」
「おう
ゆっくりしてこい、どっかの行水野郎みてぇな真似すんなよ」
「俺はちゃんと温まって来たつもりなんだけどよ」
「成実さん、昔からお風呂の時間が短いですもんね」
「そうかぁ?」
キッチンに入ってきてコップに水を注いだ成実さんが首を傾げる
自覚がないのがなおのこと心配にはなるけど、
大丈夫なんだろうな、なんか成実さんだし
「ところで成実、水族館で夕華様を泣かせたという話は本当か?」
「ゲホッ」
成実さんが盛大に噎せた
「ちが」「ゲホッ」を繰り返して、成実さんが崩れ落ちる
綱元さんめ、わざと成実さんが水を飲むタイミングを見計らったな……
「言い訳があるなら聞いてやろう
俺が納得できる言い訳ならな」
「こ、小十郎が戻ってきたらってことで……」
「巻き込みにいったな」
「そうですね……」
お風呂から上がったら義理の弟に激詰めされる小十郎さんも、まあまあ可哀想だな……
別に誰が悪いという話でもないのに
強いて言えば上に立つ者としての振る舞いが出来ない私が悪いのでは?
「政宗様が言い出しっぺだそうで」
「……誰から聞いた?」
「この綱元の情報網を甘く見ないでいただきたい」
おかしいな……その話になった時、片倉号の中だったから、私たち以外にはいなかったはずなのに……
水族館に綱元さんの息がかかった人間がいたとしか思えない……
兄様は押し黙って料理を再開した
被害者であるはずの私もなんだか居た堪れなくて、手を動かさないと落ち着かない
そうして十数分後
何も知らない小十郎さんが風呂上がりの姿で戻ってきた
「政宗様、夕華様、ありがとうございました」
「ああ景綱か、ちょうど良かった
そこへ座れ」
「は?」
ああ、綱元さんが義兄モードだ……
有無を言わせぬ笑顔の圧に小十郎さんの口元が一瞬だけひくついたのを、私は見た
どんな理不尽で詰めてくるんだろうという、恐々とした心情は、察してあまりある
「景綱……政宗様と成実の無茶振りをお止めするどころか、便乗して夕華様を困らせるとは、いったいどういう了見だ?」
「は!?」
「我々のようなお仕えする者にも礼を尽くされる夕華様こそ美しいとなぜ分からない?
そのような鈍で政宗様の右目を名乗るとは笑止千万
目薬でも差してやろうか、とびきり清涼感のあるやつがよさそうだな」
「何言ってやがる、おい!」
「小十郎、諦めたほうが早ぇぜ、これ……」
小十郎さんの隣で大人しく正座をしている成実さんは、そう言って遠い目をした
言い出しっぺの兄様がこれに巻き込まれていないのは、一応まだ料理中だからなんだと思う
「これを作り終わったら俺も正座か?」
「骨は拾いますよ……」
「……Thanks.」
兄様は死んだような声で一言告げ、おひたしにするほうれん草を湯掻き始めた
ごま油で味をつけて、小鉢に盛り付けたら炒りごまをささっとふりかけて完成
そうして兄様はシンクに手をついて大きなため息を吐き出すと、「……後は任せた」と呟いてキッチンを出ていった
兄様、私には背中が大きく見えてますよ……!
「おやおや言い出しっぺは自首ですか、良い心掛けですな」
「梵……お前は偉い奴だよ……」
「耐えましょう、政宗様……
この小十郎、最後までお供致しまする……」
「こうなっちまったら綱元の野郎は止められねぇからな……」
伊達の大男共が、小柄な綱元さんの前に揃って正座して項垂れる姿、若い衆には見せられないな
よかった、ここにいるのが私たちだけで
私では助けられないから、私が鰤大根を作り終わるまでには終わるといいなぁ
「ただいま帰りましたー!」
宮城旅行組、別邸へ帰宅
もちろん綱元さんが出迎えてくれた
原田さんはご自宅へ帰っているらしい
「お帰りなさいませ、政宗様、夕華様
小十郎様、成実、お二人の護衛ご苦労様でした」
「I'm home.
別邸に変わりはなかったか」
「久々に羽を伸ばさせて頂きました
政宗様も良いリフレッシュとなったようで」
「土産が今週中には届くはずだ、受け取っておけよ」
「かしこまりました
風呂の用意はできておりますので、すぐにでもご入浴いただけますが」
「先にメシにする
この奥州筆頭と一の姫が直々に振る舞ってやるんだ、期待しておけよ?」
「腕によりをかけて作ります!」
「それは楽しみです」
ゾロゾロとリビングへ入り、私と兄様はキッチンで手を洗って料理に取り掛かった
冷蔵庫を開けた兄様が、んー、と迷いながら食材を取り出していく
何を作るんだろう
「夕華、そこの鍋で出汁を取っておいてくれ」
「何で取ります?
鰹か昆布か……」
「お前の好きなようにやりゃいいさ
鰹だしなら綱元に削ってもらえ」
「そのくらいならば、この綱元でもお手伝いできましょう
ご遠慮なくお申し付けを」
「じゃあお願いします」
綱元さんがかんなと鰹節を手に、リビングに戻っていく
ほどなくして、鰹節を削る音が聞こえてきた
「何作るんですか?」
「芹が中途半端に残ってやがるからな、そっちは吸物行きだ
あとは冷蔵庫の中にあるモンで適当に……だな」
「あ、鰤がある……大根もある
鰤大根にしちゃっていいですか?」
「その手があったな
なら、鰤大根はお前に任せたぜ
先にまな板使うぞ」
「どうぞどうぞ」
兄様はしめじを手に持っている
何に使うんだろう
と思ったら、石づきを取って小房に分けて、それは一旦ザルの中へ
そして次にやってきたのは人参──これは二センチ程度の細切りに
そして次は鶏もも肉がやってきた
「……しめじと人参と鶏肉……?」
「こいつは炊き込みご飯にするかと思ってな」
「美味しいやつですね」
米を四合研いで、炊飯器にセットすると、水を張って調味料を加えていく
目分量で入れられていくあたり、よく作るんだろうな
最後に具材を投入して、蓋を閉めて炊飯をセット
その間に綱元さんが鰹節を削り終えたので、私も出汁を取ることにした
「梵、悪い
先に俺と小十郎で風呂もらうぜ」
「おう」
「……一緒に入るんですか?」
「恐ろしいこと言うなよ!
何が悲しくて野郎と一緒に風呂なんざ入らなきゃいけねーんだ!」
「ですよね、すみません!
どうぞごゆっくり!」
お風呂場へ去っていく成実さんを見送って、手元の鍋へと視線を落とす
鰹だしはひと煮立ちで上げないと美味しくなくなっちゃうから、あまり目を離すのはよくないのだ
私が出汁を取り終わらないうちに、成実さんがお風呂から戻ってきた
相変わらずの行水っぷりだ……
「小十郎ー、風呂ー」
「わかった
政宗様、お先に風呂をいただきます」
「おう
ゆっくりしてこい、どっかの行水野郎みてぇな真似すんなよ」
「俺はちゃんと温まって来たつもりなんだけどよ」
「成実さん、昔からお風呂の時間が短いですもんね」
「そうかぁ?」
キッチンに入ってきてコップに水を注いだ成実さんが首を傾げる
自覚がないのがなおのこと心配にはなるけど、
大丈夫なんだろうな、なんか成実さんだし
「ところで成実、水族館で夕華様を泣かせたという話は本当か?」
「ゲホッ」
成実さんが盛大に噎せた
「ちが」「ゲホッ」を繰り返して、成実さんが崩れ落ちる
綱元さんめ、わざと成実さんが水を飲むタイミングを見計らったな……
「言い訳があるなら聞いてやろう
俺が納得できる言い訳ならな」
「こ、小十郎が戻ってきたらってことで……」
「巻き込みにいったな」
「そうですね……」
お風呂から上がったら義理の弟に激詰めされる小十郎さんも、まあまあ可哀想だな……
別に誰が悪いという話でもないのに
強いて言えば上に立つ者としての振る舞いが出来ない私が悪いのでは?
「政宗様が言い出しっぺだそうで」
「……誰から聞いた?」
「この綱元の情報網を甘く見ないでいただきたい」
おかしいな……その話になった時、片倉号の中だったから、私たち以外にはいなかったはずなのに……
水族館に綱元さんの息がかかった人間がいたとしか思えない……
兄様は押し黙って料理を再開した
被害者であるはずの私もなんだか居た堪れなくて、手を動かさないと落ち着かない
そうして十数分後
何も知らない小十郎さんが風呂上がりの姿で戻ってきた
「政宗様、夕華様、ありがとうございました」
「ああ景綱か、ちょうど良かった
そこへ座れ」
「は?」
ああ、綱元さんが義兄モードだ……
有無を言わせぬ笑顔の圧に小十郎さんの口元が一瞬だけひくついたのを、私は見た
どんな理不尽で詰めてくるんだろうという、恐々とした心情は、察してあまりある
「景綱……政宗様と成実の無茶振りをお止めするどころか、便乗して夕華様を困らせるとは、いったいどういう了見だ?」
「は!?」
「我々のようなお仕えする者にも礼を尽くされる夕華様こそ美しいとなぜ分からない?
そのような鈍で政宗様の右目を名乗るとは笑止千万
目薬でも差してやろうか、とびきり清涼感のあるやつがよさそうだな」
「何言ってやがる、おい!」
「小十郎、諦めたほうが早ぇぜ、これ……」
小十郎さんの隣で大人しく正座をしている成実さんは、そう言って遠い目をした
言い出しっぺの兄様がこれに巻き込まれていないのは、一応まだ料理中だからなんだと思う
「これを作り終わったら俺も正座か?」
「骨は拾いますよ……」
「……Thanks.」
兄様は死んだような声で一言告げ、おひたしにするほうれん草を湯掻き始めた
ごま油で味をつけて、小鉢に盛り付けたら炒りごまをささっとふりかけて完成
そうして兄様はシンクに手をついて大きなため息を吐き出すと、「……後は任せた」と呟いてキッチンを出ていった
兄様、私には背中が大きく見えてますよ……!
「おやおや言い出しっぺは自首ですか、良い心掛けですな」
「梵……お前は偉い奴だよ……」
「耐えましょう、政宗様……
この小十郎、最後までお供致しまする……」
「こうなっちまったら綱元の野郎は止められねぇからな……」
伊達の大男共が、小柄な綱元さんの前に揃って正座して項垂れる姿、若い衆には見せられないな
よかった、ここにいるのが私たちだけで
私では助けられないから、私が鰤大根を作り終わるまでには終わるといいなぁ
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