番外編4 宮城旅行仙台編・2日目
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待つこと十数分
四人分の食事が現れた
「性山御膳でございます」
「それ親父が名付けたのか……?」
「ええ、メニュー名に困るだろうからと」
父様の死について並々ならぬ思いのある兄様は、黙ってこめかみを押さえた
本人が率先してネタにしてるんだから、私たちがあれこれ気を揉んだのが阿呆らしいというか……
分厚くカットされた牛タンが何切れも乗った大皿には、もちろんキャベツの千切りも添えられている
ご飯は麦ご飯にとろろ付きだ
とろろは味付きだから、そのまま食べてよしとのこと
味噌汁は仙台味噌を使って仕上げられている
テールスープじゃないんだ、ちょっと意外
というか、ボリューミーだな……
「皆様よく食べられるそうで、輝宗様にお出しするより多めにしております
牛タンを含めてすべておかわりも可能ですので、遠慮なくどうぞ」
父様、私たちが来るからって……
金のことなんか気にするなと言うんだろうけど、私はちょっとまだ気が引ける
でも美味しそうな牛タンには抗えない!
「うっま」
「わ、柔らかい」
牛タンに塩をつけて一口食べただけで、その柔らかさが伝わった
牛タンの歯ごたえと、ジューシーさが両立している
とろろご飯も美味しい!
さすが伊達家のご当主様、いいものを食べている……
ところでこの白いのは何だろう
「お前って笹かま苦手か?」
「これが笹かまなんですね……
初めて食べるので何か分からなくて」
「えっ、食ったことなかったのか」
「機会がなくて……
もしかしたら盆正月の集まりで出てきたのかもしれないですけど、私は顔だけ出して帰ってましたし
参加するようになってからは、出てきたことがなかったので……」
「そういえばそうかもな……」
竹串に刺さった笹の形をしたかまぼこ
綺麗な焼き色のついたそれをひと口食べると、ほのかな甘みがふわっと口に広がった
「ん、美味しい」
「そら良かった
あ、すいませーん、米おかわり」
成実さんがそう言ってお茶碗を差し出した
よく食べるなぁ
兄様や小十郎さんもご飯はなくなりそうになっているから、私の食べるスピードが遅いだけか
「夕華様、急いで食べる必要はございませぬ
時間に余裕はございまするゆえ
それに、味わっていただくほうが、輝宗様も喜ばれましょう」
「す、すみませ……」
小十郎さんにはお見通しだったか
ならば焦ることもないかと、私はマイペースに食事を進めることにした
うん、牛タンが美味しい
* * *
デザートまで食べて、私たちは店を出た
なお、支払いはご当主様へのツケだ
兄様と成実さんは山ほどあれこれおかわりしていたので、金額もちょっとすごいことになってそうだけど……
「次はどこに向かうんですか?」
「伊達政宗が建てた国宝」
「それ松島でも聞いたセリフですね」
「大崎八幡宮って名前くらいは、聞いたことあるだろ」
「国宝じゃないですか!」
「そう言ったろ、俺が」
言ったけど、たしかに言ったんだけど!
まさかご先祖様が、国宝を二つも手掛けられていたなんて……
片倉号が市内を走ること十数分
「お、おお……!」
神社の前で下ろしてもらった私は、鳥居の前で感嘆の声を上げた
隣には成実さんも一緒だ
「帰り道はこっち通らないから、下ろしてもらって正解だったな」
鳥居の前で一礼して、参道の端を歩く
周囲を木々に彩られて、木漏れ日が差す光景はとても心地が良い
「静かでいいですね」
「そうだな」
「兄様もこういうのは建てたんでしょうか?」
「まあ意外とあいつ、信心あるからな
しかし祀った神が八幡なのも、らしいっちゃらしい話だ
梵にしろお前にしろ、八幡神には縁があるらしい」
「どちらかというと成島の八幡神でしたけどね、縁があったのは
でも兄様に信心があるのは私も知ってます」
だってそうじゃなきゃ、私を連れて成島詣に行こうなんて言わなかっただろうし
でもやっぱり同じ伊達政宗、似たようなことを考えるんだろうな
参道を通った先には、立派な社殿が見えた
これが国宝かぁ……
「ここには成島の八幡神も合祀されてるらしい」
「え、じゃあ成島八幡神社って、もうないんですか?
そんなわけないですよね、喜多さんからお守りもらいましたもん」
「ちゃんと現存してるから安心しろ
分霊したのをここに祀ったんだとよ」
長床を通って社殿に着くと、既に兄様と小十郎さんが待っていた
軽く片手を挙げた兄様に手を振って近寄る
「写真はいいのか?」
「お参りしてからじゃないと駄目かなって思って」
「良い心掛けです」
お賽銭を入れて鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼
私がお世話になった成島の八幡神と同一神かは分からないけど、もしそうならお礼を言わなくちゃ
またこうして皆と再会できたこと、平和な時代に皆と暮らせること
成実さんと一緒に幸せになれること……
「しかし、天気に恵まれてよかったな」
「そうですね!
雲ひとつない晴天ですもん」
こういう青空を見ると、成実さんを思い出す
痛快なほど晴れ渡った空は、成実さんの青だと
成実さんが小首を傾げて私を見下ろした
「兄様は一点の曇りもない青ですけど、成実さんは空の青だなぁと思って」
「空の青、か……」
成実さんが呟いて、空を見上げる
どこまでも晴れ渡る空は、成実さんの気質を表すかのように澄んでいて
そんな青空を目にした時は、なんだか心も洗われたようにすっきりとするものだ
「まあ、なんだ……
濁ってるって言われるよりは、いいか」
「ふふ……成実さんが濁るなんて、そんなこと有り得ませんよ」
「どうだかなぁ……
そうならねぇように気を付けるか」
成実さんが少し面映ゆそうに笑って、社殿の前から社務所へと歩いていった
日曜日だというのに参拝客は数人しかいない
社殿の前から人がいなくなったタイミングで写真を撮って、私も社務所に立ち寄り
せっかくの記念にと、お守りをひとつ買って帰ることにした
……これで、伊達政宗関連の史跡巡りもおしまいかな
細かいものはまだまだ残ってるんだろうけど、今日では回りきれないと思う
「行くぞ、夕華」
「はぁい」
兄様に返事をして、北側の参道から神社を後にした
駐車場は北側にあるらしい
「楽しかったか?」
「はい!」
「ならよかったよ
まあ、お前が楽しそうなのは、見りゃ分かるってもんだけど」
「あ、あはは……」
「お楽しみのところ悪いが、もう一箇所寄るぞ」
「え?」
もう一箇所?
成実さんと一緒になって首を傾げたけど、成実さんはすぐにピンと来たらしい
どこかは着いてからのお楽しみと言われ、私だけが教えてもらえないまま、片倉号へと乗り込んだのだった
四人分の食事が現れた
「性山御膳でございます」
「それ親父が名付けたのか……?」
「ええ、メニュー名に困るだろうからと」
父様の死について並々ならぬ思いのある兄様は、黙ってこめかみを押さえた
本人が率先してネタにしてるんだから、私たちがあれこれ気を揉んだのが阿呆らしいというか……
分厚くカットされた牛タンが何切れも乗った大皿には、もちろんキャベツの千切りも添えられている
ご飯は麦ご飯にとろろ付きだ
とろろは味付きだから、そのまま食べてよしとのこと
味噌汁は仙台味噌を使って仕上げられている
テールスープじゃないんだ、ちょっと意外
というか、ボリューミーだな……
「皆様よく食べられるそうで、輝宗様にお出しするより多めにしております
牛タンを含めてすべておかわりも可能ですので、遠慮なくどうぞ」
父様、私たちが来るからって……
金のことなんか気にするなと言うんだろうけど、私はちょっとまだ気が引ける
でも美味しそうな牛タンには抗えない!
「うっま」
「わ、柔らかい」
牛タンに塩をつけて一口食べただけで、その柔らかさが伝わった
牛タンの歯ごたえと、ジューシーさが両立している
とろろご飯も美味しい!
さすが伊達家のご当主様、いいものを食べている……
ところでこの白いのは何だろう
「お前って笹かま苦手か?」
「これが笹かまなんですね……
初めて食べるので何か分からなくて」
「えっ、食ったことなかったのか」
「機会がなくて……
もしかしたら盆正月の集まりで出てきたのかもしれないですけど、私は顔だけ出して帰ってましたし
参加するようになってからは、出てきたことがなかったので……」
「そういえばそうかもな……」
竹串に刺さった笹の形をしたかまぼこ
綺麗な焼き色のついたそれをひと口食べると、ほのかな甘みがふわっと口に広がった
「ん、美味しい」
「そら良かった
あ、すいませーん、米おかわり」
成実さんがそう言ってお茶碗を差し出した
よく食べるなぁ
兄様や小十郎さんもご飯はなくなりそうになっているから、私の食べるスピードが遅いだけか
「夕華様、急いで食べる必要はございませぬ
時間に余裕はございまするゆえ
それに、味わっていただくほうが、輝宗様も喜ばれましょう」
「す、すみませ……」
小十郎さんにはお見通しだったか
ならば焦ることもないかと、私はマイペースに食事を進めることにした
うん、牛タンが美味しい
* * *
デザートまで食べて、私たちは店を出た
なお、支払いはご当主様へのツケだ
兄様と成実さんは山ほどあれこれおかわりしていたので、金額もちょっとすごいことになってそうだけど……
「次はどこに向かうんですか?」
「伊達政宗が建てた国宝」
「それ松島でも聞いたセリフですね」
「大崎八幡宮って名前くらいは、聞いたことあるだろ」
「国宝じゃないですか!」
「そう言ったろ、俺が」
言ったけど、たしかに言ったんだけど!
まさかご先祖様が、国宝を二つも手掛けられていたなんて……
片倉号が市内を走ること十数分
「お、おお……!」
神社の前で下ろしてもらった私は、鳥居の前で感嘆の声を上げた
隣には成実さんも一緒だ
「帰り道はこっち通らないから、下ろしてもらって正解だったな」
鳥居の前で一礼して、参道の端を歩く
周囲を木々に彩られて、木漏れ日が差す光景はとても心地が良い
「静かでいいですね」
「そうだな」
「兄様もこういうのは建てたんでしょうか?」
「まあ意外とあいつ、信心あるからな
しかし祀った神が八幡なのも、らしいっちゃらしい話だ
梵にしろお前にしろ、八幡神には縁があるらしい」
「どちらかというと成島の八幡神でしたけどね、縁があったのは
でも兄様に信心があるのは私も知ってます」
だってそうじゃなきゃ、私を連れて成島詣に行こうなんて言わなかっただろうし
でもやっぱり同じ伊達政宗、似たようなことを考えるんだろうな
参道を通った先には、立派な社殿が見えた
これが国宝かぁ……
「ここには成島の八幡神も合祀されてるらしい」
「え、じゃあ成島八幡神社って、もうないんですか?
そんなわけないですよね、喜多さんからお守りもらいましたもん」
「ちゃんと現存してるから安心しろ
分霊したのをここに祀ったんだとよ」
長床を通って社殿に着くと、既に兄様と小十郎さんが待っていた
軽く片手を挙げた兄様に手を振って近寄る
「写真はいいのか?」
「お参りしてからじゃないと駄目かなって思って」
「良い心掛けです」
お賽銭を入れて鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼
私がお世話になった成島の八幡神と同一神かは分からないけど、もしそうならお礼を言わなくちゃ
またこうして皆と再会できたこと、平和な時代に皆と暮らせること
成実さんと一緒に幸せになれること……
「しかし、天気に恵まれてよかったな」
「そうですね!
雲ひとつない晴天ですもん」
こういう青空を見ると、成実さんを思い出す
痛快なほど晴れ渡った空は、成実さんの青だと
成実さんが小首を傾げて私を見下ろした
「兄様は一点の曇りもない青ですけど、成実さんは空の青だなぁと思って」
「空の青、か……」
成実さんが呟いて、空を見上げる
どこまでも晴れ渡る空は、成実さんの気質を表すかのように澄んでいて
そんな青空を目にした時は、なんだか心も洗われたようにすっきりとするものだ
「まあ、なんだ……
濁ってるって言われるよりは、いいか」
「ふふ……成実さんが濁るなんて、そんなこと有り得ませんよ」
「どうだかなぁ……
そうならねぇように気を付けるか」
成実さんが少し面映ゆそうに笑って、社殿の前から社務所へと歩いていった
日曜日だというのに参拝客は数人しかいない
社殿の前から人がいなくなったタイミングで写真を撮って、私も社務所に立ち寄り
せっかくの記念にと、お守りをひとつ買って帰ることにした
……これで、伊達政宗関連の史跡巡りもおしまいかな
細かいものはまだまだ残ってるんだろうけど、今日では回りきれないと思う
「行くぞ、夕華」
「はぁい」
兄様に返事をして、北側の参道から神社を後にした
駐車場は北側にあるらしい
「楽しかったか?」
「はい!」
「ならよかったよ
まあ、お前が楽しそうなのは、見りゃ分かるってもんだけど」
「あ、あはは……」
「お楽しみのところ悪いが、もう一箇所寄るぞ」
「え?」
もう一箇所?
成実さんと一緒になって首を傾げたけど、成実さんはすぐにピンと来たらしい
どこかは着いてからのお楽しみと言われ、私だけが教えてもらえないまま、片倉号へと乗り込んだのだった
