番外編4 宮城旅行仙台編・2日目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
仙台市博物館をしっかり堪能して、いよいよ私たちは青葉城へ登城することとなった
今日だけで二回も、とんでもなく急勾配の坂を登っている
そろそろ足がきつい……
「どした?
もう疲れたか?」
「いいえ!!」
「食い気味に否定してきたな」
だって否定しないと、成実さんにお姫様抱っこされてしまう!
さすがにそれは恥ずかしすぎる!
「もう間もなく到着です
踏ん張られよ、夕華様」
「はい……!!」
「なあ、本当に無理はしなくていいんだぞ?
お前、昔っからこの坂道が苦手だったろ」
「苦手、でしたけど!
限界だって言ったら、成実さん、私のこと、お姫様抱っこ、するから!」
「そりゃ歩けねぇお前を俵担ぎなんてできねぇだろ」
「人の目を!
気にしてくれと!
言ってるんです!!」
「一の姫様と俺が仲睦まじい様子を見せびらかして何が悪いってんだよ?
なあ梵?」
「俺に同意を求めるんじゃねぇ」
くそっ、男三人組は涼しい顔して!
私だけがゼェハァ言ってる!!
悔しい、私ってば最後までこの坂道に勝てないのか!?
「夕華様……本当に限界であれば、遠慮なくお申し出いただけますと……」
「限界じゃない!」
「しかしお顔の険しさが、まるで般若のようになっておいでです」
「なってないもん!!」
「……成実」
「りょーかい」
笑っている膝を無理やり持ち上げた、その時
私の体がふわりと持ち上げられた
誰に、などと聞くまでもない──成実さんにだ
「嫌ァーッ!!
歩けます、自分で歩けますー!!」
「歩けてねぇよ、亀かってくらい遅かったじゃねーか」
「おーろーしーてー!!」
「はいはい暴れんな、よく頑張ったなー」
「やだぁぁぁー!!」
私の悲鳴が青葉山に木霊する
このやり取りを私と成実さんは、城下からの帰り道で何度やっただろう
決まって最後の門を通って本丸に着いたら、綱元さんに出迎えられて……
「綱元さんに笑われる……
そんで若い衆たちがニヤニヤしてこっちを見るんだ……」
「泣くほど嫌だったのかよ
ここにゃ綱元も若い衆もいねぇぞ」
「そっか!
……なんて言うとでも思ったんですか!
観光客がいるんですよ!!」
「おー、そうだな」
「そうだな、じゃなくて!!」
そうこうするうちに成実さんは階段もさっさと上っていく
そうして本丸跡に到着して、私の足が地面を踏んだ
「あ……!!」
私の目に飛び込んで来たのは、仙台の街並みよりも先に、あまりにも有名なアレ
「す、すごい、本物だ!
本物の……政宗公の騎馬像だ……!!」
眼光鋭く仙台城下を見下ろす、政宗公
数年前に地震で倒れてしまったけれど、しっかりと修復されて、今もここで仙台を見守ってくれている
「わぁ……!
すごい、いい眺め!」
「天守がありゃあ、もっといい景色だったのかもしれねぇな
残念ながらこの青葉城にゃあ、天守閣がなかったんだけど」
「私たちの青葉城には天守がありましたよね」
「Yes!
いい眺めだったぜ、ここよりも更に遠く……海も見えた」
「海が……」
「今みたいに高い建物もありませんでしたゆえ
ただ、ここからも天気が良ければ眺めることは可能なようです」
「そうなんですか?
今日は見えるかな……」
「夕華、come on.」
兄様が柵の傍で私を呼んだ
素直に兄様の隣に向かうと、兄様はすっと指先で向こうを指して
「うっすらとだが海が見える」
「……あ、ほんとだ!」
「普段は穏やかな海だ
だが、こと災害においては、海も人に牙を剥きやがる」
「え……?」
「あの辺りは荒浜と呼ばれる地区でして
かの震災の……津波の遺構が残っておりまする」
「……!」
そう、だよね……
どうしてすぐに思い至らなかったんだろう
松島でその爪痕を垣間見たのに
「あの日は、俺と梵はどっちも卒業式のリハーサル中だったんだよ
そしたら急にめちゃくちゃ揺れて……
被害はなかったから、リハーサル自体は通してやって終わってさ
何が起きたか知りたかったけど、ガラケーじゃあ、いまいちじゃ調べようがなくて」
「そういえば、あの時はまだガラケーが生きてましたね……」
私はケータイ自体まだ持たせてもらってなかったから、何が起きたか分からなくて
家に帰ってテレビをつけたら、真っ黒な画面に炎の赤が広がって……
「別邸に戻ったら、ちょうど小十郎と綱元がテレビで中継を観ててさ
二人とも絶望したような顔してた
俺は記憶がまだ戻ってなかったから、どっかの国の出来事かと最初思ったんだ
東北だって知って、俺もようやく事の重大さが理解できて……
梵は倒れそうなくらい顔が真っ白だった」
「あの時は、取り乱してテレビに駆け寄る政宗様が、あまりにも痛々しかった
思えばあの時、異様なまでの反応でしたので、もしや政宗様にもあの時代の記憶がおありでは、と思えばよかったのですが……
如何せん小十郎も、目の前の光景で頭が回っておらず」
成実さんと小十郎さんがそう話す間も、兄様は口を開かなかった
ただ遠くを……海を見つめて、冬の冷たい風に髪を遊ばせるだけだ
「あの、兄様……?」
「ん……OK,not worries.
今思い出しても、酷い取り乱し様だったな」
「前世の記憶をお持ちであれば、それも当然のこと
貴方様が愛し、守り抜いてきた奥州ではなくとも──貴方様にとっては、この世の奥州とて故郷に違いないのですから」
「……」
兄様はやはり口を閉ざした
語らずとも、当時の胸中は察してあまりある
『小十郎、奥州が──奥州が燃えて、なんだってこんなことに』
『落ち着かれよ政宗様、小十郎の言葉がお分かりか』
錯乱したように冷静さを失う兄様を、小十郎さんと綱元さんが必死に宥め、それでも兄様は信じ難い現実を前に、自分の無力さを痛感したという
奥州を守ることのできる力も立場もない、ただの非力な人間でしかない事実に──
今日だけで二回も、とんでもなく急勾配の坂を登っている
そろそろ足がきつい……
「どした?
もう疲れたか?」
「いいえ!!」
「食い気味に否定してきたな」
だって否定しないと、成実さんにお姫様抱っこされてしまう!
さすがにそれは恥ずかしすぎる!
「もう間もなく到着です
踏ん張られよ、夕華様」
「はい……!!」
「なあ、本当に無理はしなくていいんだぞ?
お前、昔っからこの坂道が苦手だったろ」
「苦手、でしたけど!
限界だって言ったら、成実さん、私のこと、お姫様抱っこ、するから!」
「そりゃ歩けねぇお前を俵担ぎなんてできねぇだろ」
「人の目を!
気にしてくれと!
言ってるんです!!」
「一の姫様と俺が仲睦まじい様子を見せびらかして何が悪いってんだよ?
なあ梵?」
「俺に同意を求めるんじゃねぇ」
くそっ、男三人組は涼しい顔して!
私だけがゼェハァ言ってる!!
悔しい、私ってば最後までこの坂道に勝てないのか!?
「夕華様……本当に限界であれば、遠慮なくお申し出いただけますと……」
「限界じゃない!」
「しかしお顔の険しさが、まるで般若のようになっておいでです」
「なってないもん!!」
「……成実」
「りょーかい」
笑っている膝を無理やり持ち上げた、その時
私の体がふわりと持ち上げられた
誰に、などと聞くまでもない──成実さんにだ
「嫌ァーッ!!
歩けます、自分で歩けますー!!」
「歩けてねぇよ、亀かってくらい遅かったじゃねーか」
「おーろーしーてー!!」
「はいはい暴れんな、よく頑張ったなー」
「やだぁぁぁー!!」
私の悲鳴が青葉山に木霊する
このやり取りを私と成実さんは、城下からの帰り道で何度やっただろう
決まって最後の門を通って本丸に着いたら、綱元さんに出迎えられて……
「綱元さんに笑われる……
そんで若い衆たちがニヤニヤしてこっちを見るんだ……」
「泣くほど嫌だったのかよ
ここにゃ綱元も若い衆もいねぇぞ」
「そっか!
……なんて言うとでも思ったんですか!
観光客がいるんですよ!!」
「おー、そうだな」
「そうだな、じゃなくて!!」
そうこうするうちに成実さんは階段もさっさと上っていく
そうして本丸跡に到着して、私の足が地面を踏んだ
「あ……!!」
私の目に飛び込んで来たのは、仙台の街並みよりも先に、あまりにも有名なアレ
「す、すごい、本物だ!
本物の……政宗公の騎馬像だ……!!」
眼光鋭く仙台城下を見下ろす、政宗公
数年前に地震で倒れてしまったけれど、しっかりと修復されて、今もここで仙台を見守ってくれている
「わぁ……!
すごい、いい眺め!」
「天守がありゃあ、もっといい景色だったのかもしれねぇな
残念ながらこの青葉城にゃあ、天守閣がなかったんだけど」
「私たちの青葉城には天守がありましたよね」
「Yes!
いい眺めだったぜ、ここよりも更に遠く……海も見えた」
「海が……」
「今みたいに高い建物もありませんでしたゆえ
ただ、ここからも天気が良ければ眺めることは可能なようです」
「そうなんですか?
今日は見えるかな……」
「夕華、come on.」
兄様が柵の傍で私を呼んだ
素直に兄様の隣に向かうと、兄様はすっと指先で向こうを指して
「うっすらとだが海が見える」
「……あ、ほんとだ!」
「普段は穏やかな海だ
だが、こと災害においては、海も人に牙を剥きやがる」
「え……?」
「あの辺りは荒浜と呼ばれる地区でして
かの震災の……津波の遺構が残っておりまする」
「……!」
そう、だよね……
どうしてすぐに思い至らなかったんだろう
松島でその爪痕を垣間見たのに
「あの日は、俺と梵はどっちも卒業式のリハーサル中だったんだよ
そしたら急にめちゃくちゃ揺れて……
被害はなかったから、リハーサル自体は通してやって終わってさ
何が起きたか知りたかったけど、ガラケーじゃあ、いまいちじゃ調べようがなくて」
「そういえば、あの時はまだガラケーが生きてましたね……」
私はケータイ自体まだ持たせてもらってなかったから、何が起きたか分からなくて
家に帰ってテレビをつけたら、真っ黒な画面に炎の赤が広がって……
「別邸に戻ったら、ちょうど小十郎と綱元がテレビで中継を観ててさ
二人とも絶望したような顔してた
俺は記憶がまだ戻ってなかったから、どっかの国の出来事かと最初思ったんだ
東北だって知って、俺もようやく事の重大さが理解できて……
梵は倒れそうなくらい顔が真っ白だった」
「あの時は、取り乱してテレビに駆け寄る政宗様が、あまりにも痛々しかった
思えばあの時、異様なまでの反応でしたので、もしや政宗様にもあの時代の記憶がおありでは、と思えばよかったのですが……
如何せん小十郎も、目の前の光景で頭が回っておらず」
成実さんと小十郎さんがそう話す間も、兄様は口を開かなかった
ただ遠くを……海を見つめて、冬の冷たい風に髪を遊ばせるだけだ
「あの、兄様……?」
「ん……OK,not worries.
今思い出しても、酷い取り乱し様だったな」
「前世の記憶をお持ちであれば、それも当然のこと
貴方様が愛し、守り抜いてきた奥州ではなくとも──貴方様にとっては、この世の奥州とて故郷に違いないのですから」
「……」
兄様はやはり口を閉ざした
語らずとも、当時の胸中は察してあまりある
『小十郎、奥州が──奥州が燃えて、なんだってこんなことに』
『落ち着かれよ政宗様、小十郎の言葉がお分かりか』
錯乱したように冷静さを失う兄様を、小十郎さんと綱元さんが必死に宥め、それでも兄様は信じ難い現実を前に、自分の無力さを痛感したという
奥州を守ることのできる力も立場もない、ただの非力な人間でしかない事実に──
