番外編4 宮城旅行仙台編・2日目
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感仙殿と善応殿へと向かう坂道を上って、二つの御霊屋が姿を見せた
これらは二代藩主忠宗公と、三代藩主綱宗公ののご霊廟だ
どちらも立派なつくりで、構造自体は瑞鳳殿とさほど変わらない
「……静かなもんだな」
兄様はそうとだけ呟いて、それぞれに手を合わせた
私たちもそれぞれに手を合わせて、ご霊廟を見上げて
「……いらんことを思い出しそうになった」
「いらんこと?」
「そういやオメェは、忠宗様に釘刺されたことがあるんだったな」
「ひどくねぇか?
梵がやれって言ったから亘理の塩田開発をやったのに、なんでそれで俺が忠宗から怒られなきゃならねーんだよ?」
「家を分けなきゃならねぇほどやれとは言ってなかったぜ」
「おいやめろ、梯子を外すな!」
そういえばそんな話を聞いたな
最終的には春千代……倫実の子の代で家を分けたんだっけ
……それは怒られるだろうな
「加減ってものがあるんですよ」
「忠宗にも同じこと言われたし、なんならこのやり取りも白石でやったぞ」
「そういえばやりましたね」
「昭光の倅が忠宗の隣で爆笑してやがったそうじゃねぇか」
「なんでお前がそれ知ってんだよ!?」
昭光の倅とは、私と兄様の叔父である石川昭光様のご嫡男、義光様のことだろう
石川家は伊達家一門筆頭
昭光様なら、私も家中で顔を合わせていたから知っている
成実さんってどこまでも遊ばれやすい性格んだろうな
成実さんは口を開きたがらなかったけど、どうやらそれは兄様も亡くなった後の出来事であるらしく、兄様から「話せ」と言われてしまった
本当にどこまでも可哀想な人である
成実さん曰く、成実さんの隠居先である庵を訪ねた忠宗は、開口一番「こいつは流石にやりすぎだぜ叔父貴」と釘を刺したのだという
「父上だってここまでやれとは言ってねぇだろ」とド正論を真正面からぶつけられ、成実さんは甥を前に「それはまあ……」と項垂れる他なかったそうで
それを見ていた義光様は、甥に言い負かされて項垂れた成実さんを指差して、腹を抱えて笑い転げ、笑い死ぬ勢いで噎せていたそうだ
「そのとき、良元の奴がたまたま、里の近くを通りかかったらしくてよ」
「良元?」
「綱元の息子だよ
鬼庭家を継いで忠宗の右腕やってたんだ
そしたらあいつも手ェ叩いて笑ってやがるし、本当に若い奴らは目上の者への敬意がなっちゃいねぇ」
「兄様が亡くなった後ってことは、成実さんも晩年だったのでは……」
「そうだよ、ほぼ寝たきりのジジイ相手に、説教なんざ垂れやがって
なんで春じゃなくて俺だったんだよ!?」
「テメェがやり始めたからだろ」
「でも拡大したのは春だったじゃねーか!」
「それを責任転嫁と言うのでは?」
成実さんの胸にグサッと刺さる音がした
ああ、うっかり思ったままの言葉を放ってしまったがばかりに……
「……夕華
成実の嫁はお前にしか務まらねぇってことがよく分かったぜ」
「えっ」
「さすがは夕華様、成実の御し方をよく理解しておられる」
「え、えっ」
ケラケラと笑う兄様が小十郎さんを伴って歩いていく
どうしようか迷った末、私も項垂れた成実さんの手を引いて、善応殿の前から立ち去ることにした
色々あったけど、ひとまずこれで、御先祖様のお墓参りは完了ということで……いいのかな?
* * *
さてそんなわけで、仙台市博物館である
ここには仙台市の歴史が詰まっていると言っても過言ではない
そして仙台といえば、そう!
伊達政宗である!
「御先祖様のあらゆるものがここにあると思うと緊張してきました」
「興奮してるの間違いだろ」
「Definitely.
Tensionおかしいことなってんぞ」
「うっ」
常設展のチケットを買って、いざ中へ
当たり前だけど最初っから伊達政宗が出てくるわけはないので、申し訳ない気持ちになりながら旧石器時代から中世あたりは流し見だ
今日のスケジュールはかなりタイトだから、あまりのんびりできない
武士の時代になってくると、奥羽に存在した戦国大名の展示が現れた
先祖である伊達家代々の当主にまつわるものも、この辺りからちらほらといったふうだ
「……なんというか、本当に連綿と続いてきたんですね、伊達家って」
「実感湧かねぇよなぁ」
「重ねてきた時代の分だけ、重みのあるnamingだと知っちゃいるが……
どうにも他人事みてぇに思えるもんだ」
「他人の記録など、そのようなものでしょう
しかし貴方様がここにこうしておられるのも、すべては血を繋いできた御先祖あればこそ」
「……I know.」
ふと目に付いたのは、歴代当主の顔が並んだ解説
伊達家中興の祖である九世政宗から名をもらって、初代藩主となる梵天丸は藤次郎政宗を名乗った
それは衰退していた室町幕府の将軍から名を貰うことを良しとしなかった、伊達輝宗の判断によるもの
「……ほんとうに、ずっと続いてきたんですね」
私たちは今、この歴代当主の末端にいる
そしていずれは兄様も、歴代当主に名を連ねることになるのだろう
三人目の伊達政宗として
「宜しければ解説など致しましょうか」
人の良さそうな笑みと共に、ボランティアのおじいさんが声を掛けてくれた
……いやでもなんというか、釈迦に説法みたいにならないかな、これ
私たち、これでも末裔だし……
「申し出はありがてぇが、俺たちにゃ必要なさそうだ
先祖の歴史はガキの頃から耳にタコができるほど聞かされた」
「先祖……も、もしや皆さん、伊達家の方々で?」
「……まあ、な」
私と成実さんもちょっと気まずい気持ちになりながら、軽く頭を下げた
はぁ……なんてびっくりした顔で相槌を打って、おじいさんが入口付近へ戻っていく
「なんだかちょっと悪いことしたような気分ですね……」
「気まずかったな……」
成実さんと顔を見合わせて、兄様を見上げる
私たちと目が合った兄様は、けれどすぐにふいと視線を外して、次の展示へと向かってしまった
私たちもそれに続いて、次の展示エリアへ
そこは青葉城に関する史料が並ぶエリアで、ついさっきまで抱えていた気まずさもどこかへ吹っ飛んでしまった
なぜなら、そう──政宗公に関する史料が、山ほどあるからだ
これらは二代藩主忠宗公と、三代藩主綱宗公ののご霊廟だ
どちらも立派なつくりで、構造自体は瑞鳳殿とさほど変わらない
「……静かなもんだな」
兄様はそうとだけ呟いて、それぞれに手を合わせた
私たちもそれぞれに手を合わせて、ご霊廟を見上げて
「……いらんことを思い出しそうになった」
「いらんこと?」
「そういやオメェは、忠宗様に釘刺されたことがあるんだったな」
「ひどくねぇか?
梵がやれって言ったから亘理の塩田開発をやったのに、なんでそれで俺が忠宗から怒られなきゃならねーんだよ?」
「家を分けなきゃならねぇほどやれとは言ってなかったぜ」
「おいやめろ、梯子を外すな!」
そういえばそんな話を聞いたな
最終的には春千代……倫実の子の代で家を分けたんだっけ
……それは怒られるだろうな
「加減ってものがあるんですよ」
「忠宗にも同じこと言われたし、なんならこのやり取りも白石でやったぞ」
「そういえばやりましたね」
「昭光の倅が忠宗の隣で爆笑してやがったそうじゃねぇか」
「なんでお前がそれ知ってんだよ!?」
昭光の倅とは、私と兄様の叔父である石川昭光様のご嫡男、義光様のことだろう
石川家は伊達家一門筆頭
昭光様なら、私も家中で顔を合わせていたから知っている
成実さんってどこまでも遊ばれやすい性格んだろうな
成実さんは口を開きたがらなかったけど、どうやらそれは兄様も亡くなった後の出来事であるらしく、兄様から「話せ」と言われてしまった
本当にどこまでも可哀想な人である
成実さん曰く、成実さんの隠居先である庵を訪ねた忠宗は、開口一番「こいつは流石にやりすぎだぜ叔父貴」と釘を刺したのだという
「父上だってここまでやれとは言ってねぇだろ」とド正論を真正面からぶつけられ、成実さんは甥を前に「それはまあ……」と項垂れる他なかったそうで
それを見ていた義光様は、甥に言い負かされて項垂れた成実さんを指差して、腹を抱えて笑い転げ、笑い死ぬ勢いで噎せていたそうだ
「そのとき、良元の奴がたまたま、里の近くを通りかかったらしくてよ」
「良元?」
「綱元の息子だよ
鬼庭家を継いで忠宗の右腕やってたんだ
そしたらあいつも手ェ叩いて笑ってやがるし、本当に若い奴らは目上の者への敬意がなっちゃいねぇ」
「兄様が亡くなった後ってことは、成実さんも晩年だったのでは……」
「そうだよ、ほぼ寝たきりのジジイ相手に、説教なんざ垂れやがって
なんで春じゃなくて俺だったんだよ!?」
「テメェがやり始めたからだろ」
「でも拡大したのは春だったじゃねーか!」
「それを責任転嫁と言うのでは?」
成実さんの胸にグサッと刺さる音がした
ああ、うっかり思ったままの言葉を放ってしまったがばかりに……
「……夕華
成実の嫁はお前にしか務まらねぇってことがよく分かったぜ」
「えっ」
「さすがは夕華様、成実の御し方をよく理解しておられる」
「え、えっ」
ケラケラと笑う兄様が小十郎さんを伴って歩いていく
どうしようか迷った末、私も項垂れた成実さんの手を引いて、善応殿の前から立ち去ることにした
色々あったけど、ひとまずこれで、御先祖様のお墓参りは完了ということで……いいのかな?
* * *
さてそんなわけで、仙台市博物館である
ここには仙台市の歴史が詰まっていると言っても過言ではない
そして仙台といえば、そう!
伊達政宗である!
「御先祖様のあらゆるものがここにあると思うと緊張してきました」
「興奮してるの間違いだろ」
「Definitely.
Tensionおかしいことなってんぞ」
「うっ」
常設展のチケットを買って、いざ中へ
当たり前だけど最初っから伊達政宗が出てくるわけはないので、申し訳ない気持ちになりながら旧石器時代から中世あたりは流し見だ
今日のスケジュールはかなりタイトだから、あまりのんびりできない
武士の時代になってくると、奥羽に存在した戦国大名の展示が現れた
先祖である伊達家代々の当主にまつわるものも、この辺りからちらほらといったふうだ
「……なんというか、本当に連綿と続いてきたんですね、伊達家って」
「実感湧かねぇよなぁ」
「重ねてきた時代の分だけ、重みのあるnamingだと知っちゃいるが……
どうにも他人事みてぇに思えるもんだ」
「他人の記録など、そのようなものでしょう
しかし貴方様がここにこうしておられるのも、すべては血を繋いできた御先祖あればこそ」
「……I know.」
ふと目に付いたのは、歴代当主の顔が並んだ解説
伊達家中興の祖である九世政宗から名をもらって、初代藩主となる梵天丸は藤次郎政宗を名乗った
それは衰退していた室町幕府の将軍から名を貰うことを良しとしなかった、伊達輝宗の判断によるもの
「……ほんとうに、ずっと続いてきたんですね」
私たちは今、この歴代当主の末端にいる
そしていずれは兄様も、歴代当主に名を連ねることになるのだろう
三人目の伊達政宗として
「宜しければ解説など致しましょうか」
人の良さそうな笑みと共に、ボランティアのおじいさんが声を掛けてくれた
……いやでもなんというか、釈迦に説法みたいにならないかな、これ
私たち、これでも末裔だし……
「申し出はありがてぇが、俺たちにゃ必要なさそうだ
先祖の歴史はガキの頃から耳にタコができるほど聞かされた」
「先祖……も、もしや皆さん、伊達家の方々で?」
「……まあ、な」
私と成実さんもちょっと気まずい気持ちになりながら、軽く頭を下げた
はぁ……なんてびっくりした顔で相槌を打って、おじいさんが入口付近へ戻っていく
「なんだかちょっと悪いことしたような気分ですね……」
「気まずかったな……」
成実さんと顔を見合わせて、兄様を見上げる
私たちと目が合った兄様は、けれどすぐにふいと視線を外して、次の展示へと向かってしまった
私たちもそれに続いて、次の展示エリアへ
そこは青葉城に関する史料が並ぶエリアで、ついさっきまで抱えていた気まずさもどこかへ吹っ飛んでしまった
なぜなら、そう──政宗公に関する史料が、山ほどあるからだ
