番外編4 宮城旅行仙台編・2日目
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時刻は九時
別荘から車で三十分と少し
木々に囲まれた、とある山中──
「着いた……瑞鳳殿……」
「こっからもうちょい上るけどな」
ものすごい急な坂道を車で上ったはいいけど、駐車場から更に上へ坂道は続いている
これ……登るのか、そっか……
「行くぞ」
「はい……」
兄様を先頭に坂道を登っていく
とんでもなく急勾配だ、いったいこの傾斜は何度あるんだろうか
息が上がってきた頃、ようやく坂道を登り終え──目の前に現れた長い階段に、私の心が折れかけた
「なんでこんなに登らされるんです……?」
「山の上にあるからだろ」
「もっと参拝しやすいところに建ててくださいよ!」
「俺に言うな!
俺が建てたんじゃねぇ!」
「梵も似たようなところに建てろって言い残して死んだけどな」
しれっとそう口を挟んで、成実さんは言い合いをする私たち兄妹の横をすり抜けた
どっちみち、あの世界の人たちも、こんな急勾配を登らされるわけだ……
現代人に優しくないよ、ここ
「……俺の墓くらいは焼けずに残っていてほしいがな」
「そうですね……」
「さすがに夢だけじゃあ、そこまでは分からねぇか」
「うーん……
でも戊辰戦争みたいな戦いはなかったみたいでしたよ
そもそもが兄様、京の都に上って、征夷大将軍に命ぜられたわけじゃないですもんね」
「狸ジジイとちがって、うちは無駄に血統がはっきりしてやがる
家系図なんざいじくろうにも、土台無理な話だったろ」
「たしかにそうかも……」
「鎖国なんてnonsenseな真似もしてねぇだろうな」
「異文化交流は盛んだったかもしれないですね
フランス革命の情報を聞いて、国内でも主権を市民にする動きがあったようで」
「Um?
なるほどな……流石は俺の子孫だ
機を読み違えたりはしなかったってわけか」
「最初の天下人の信条は守られていたんじゃないかなって思います
誰もが笑って暮らせる明るい世の中のために、あの世界の伊達家は、天下を民へ還したんじゃないでしょうか」
「……そうか」
夢の中の出来事だったのに、私の脳内にはしっかりとそれが残っている
あの世界がどんな辿り方をしたのかも、ざっくりとだけど
鎖国ではなく開国を選んだ竜の天下は、海外からの技術を取り入れて、平和な時代に凄まじい進歩を遂げた
キリスト教の布教も許可をしたようで、日ノ本のあちらこちらに教会が建てられたけれど、仏教や神道に取って代わる程ではなかったようだ
フランス革命の結果を経て、当時の伊達家当主は、政権を朝廷ではなく民へ還すと宣言
欧米諸国から講師を招き、近代国家としての道を歩み始めた
初代総理こそ伊達家当主が務めたが、以降は選挙によって選ばれた者が務めていったらしい
徳川幕府に比べれば随分と早い『大政奉還』ではあるけど、結果としてそれが功を奏したのは間違いなさそう
天皇を頂点に据え、その下に政府がある──という制度は、この世界が辿った歴史とそう変わらない
でも政治を行うのは政府であり、天皇は直接それに関わらない──これは今の日本と同じだ
ただそれでもやはり国防という点では、軍国化は避けられなかったらしい
欧米諸国は軍を持っていたから、彼らから国の制度を学んでいた伊達家も、二百年の天下の中でそれに順応していたようではある
日本国となって正式に軍を持つとなっても、それほどの混乱はなかったようだ
「……戦争は避けられなかったみたいですけど」
「……」
「でもどちらかと言うと巻き込まれたような形でした
中国への侵攻もなかったみたいですし、欧米諸国の戦いに引きずり出されたような感じで」
「……どっちの味方だった?」
「枢軸国です」
「そこだけは機を読み違えたか」
「兄様の代から、イタリアとは仲が良かったようで」
「はぁ……」
兄様がため息をついた
とはいっても日本がどこかと戦ったというよりは、イタリアやドイツの支援をしたという感じだ
兄様が心を砕いてきた、民が苦しむことのない、戦のない世の中の理想は、その時代その時代で最良を選択し続けた子孫たちによって、脈々と守られている
あの世界は──そんな日ノ本だ
「理想的な世の中だな」
「争いなんて無いのが一番ですもんね」
最後の階段を上り終えて、ようやく目の前に券売所が現れた
いやぁ登った登った!
先に拝観券を買ってくれていた小十郎さんからチケットを受け取って、いざ敷地内へ
手水舎で手を清めてから、玉砂利を踏みしめて門をくぐった
もちろん瑞鳳殿だって日本史の資料集で飽きるほど眺めてきたものではあるけれど、それはそれ
こういうのはやっぱり、一度はこの目で見ておかないと!
別荘から車で三十分と少し
木々に囲まれた、とある山中──
「着いた……瑞鳳殿……」
「こっからもうちょい上るけどな」
ものすごい急な坂道を車で上ったはいいけど、駐車場から更に上へ坂道は続いている
これ……登るのか、そっか……
「行くぞ」
「はい……」
兄様を先頭に坂道を登っていく
とんでもなく急勾配だ、いったいこの傾斜は何度あるんだろうか
息が上がってきた頃、ようやく坂道を登り終え──目の前に現れた長い階段に、私の心が折れかけた
「なんでこんなに登らされるんです……?」
「山の上にあるからだろ」
「もっと参拝しやすいところに建ててくださいよ!」
「俺に言うな!
俺が建てたんじゃねぇ!」
「梵も似たようなところに建てろって言い残して死んだけどな」
しれっとそう口を挟んで、成実さんは言い合いをする私たち兄妹の横をすり抜けた
どっちみち、あの世界の人たちも、こんな急勾配を登らされるわけだ……
現代人に優しくないよ、ここ
「……俺の墓くらいは焼けずに残っていてほしいがな」
「そうですね……」
「さすがに夢だけじゃあ、そこまでは分からねぇか」
「うーん……
でも戊辰戦争みたいな戦いはなかったみたいでしたよ
そもそもが兄様、京の都に上って、征夷大将軍に命ぜられたわけじゃないですもんね」
「狸ジジイとちがって、うちは無駄に血統がはっきりしてやがる
家系図なんざいじくろうにも、土台無理な話だったろ」
「たしかにそうかも……」
「鎖国なんてnonsenseな真似もしてねぇだろうな」
「異文化交流は盛んだったかもしれないですね
フランス革命の情報を聞いて、国内でも主権を市民にする動きがあったようで」
「Um?
なるほどな……流石は俺の子孫だ
機を読み違えたりはしなかったってわけか」
「最初の天下人の信条は守られていたんじゃないかなって思います
誰もが笑って暮らせる明るい世の中のために、あの世界の伊達家は、天下を民へ還したんじゃないでしょうか」
「……そうか」
夢の中の出来事だったのに、私の脳内にはしっかりとそれが残っている
あの世界がどんな辿り方をしたのかも、ざっくりとだけど
鎖国ではなく開国を選んだ竜の天下は、海外からの技術を取り入れて、平和な時代に凄まじい進歩を遂げた
キリスト教の布教も許可をしたようで、日ノ本のあちらこちらに教会が建てられたけれど、仏教や神道に取って代わる程ではなかったようだ
フランス革命の結果を経て、当時の伊達家当主は、政権を朝廷ではなく民へ還すと宣言
欧米諸国から講師を招き、近代国家としての道を歩み始めた
初代総理こそ伊達家当主が務めたが、以降は選挙によって選ばれた者が務めていったらしい
徳川幕府に比べれば随分と早い『大政奉還』ではあるけど、結果としてそれが功を奏したのは間違いなさそう
天皇を頂点に据え、その下に政府がある──という制度は、この世界が辿った歴史とそう変わらない
でも政治を行うのは政府であり、天皇は直接それに関わらない──これは今の日本と同じだ
ただそれでもやはり国防という点では、軍国化は避けられなかったらしい
欧米諸国は軍を持っていたから、彼らから国の制度を学んでいた伊達家も、二百年の天下の中でそれに順応していたようではある
日本国となって正式に軍を持つとなっても、それほどの混乱はなかったようだ
「……戦争は避けられなかったみたいですけど」
「……」
「でもどちらかと言うと巻き込まれたような形でした
中国への侵攻もなかったみたいですし、欧米諸国の戦いに引きずり出されたような感じで」
「……どっちの味方だった?」
「枢軸国です」
「そこだけは機を読み違えたか」
「兄様の代から、イタリアとは仲が良かったようで」
「はぁ……」
兄様がため息をついた
とはいっても日本がどこかと戦ったというよりは、イタリアやドイツの支援をしたという感じだ
兄様が心を砕いてきた、民が苦しむことのない、戦のない世の中の理想は、その時代その時代で最良を選択し続けた子孫たちによって、脈々と守られている
あの世界は──そんな日ノ本だ
「理想的な世の中だな」
「争いなんて無いのが一番ですもんね」
最後の階段を上り終えて、ようやく目の前に券売所が現れた
いやぁ登った登った!
先に拝観券を買ってくれていた小十郎さんからチケットを受け取って、いざ敷地内へ
手水舎で手を清めてから、玉砂利を踏みしめて門をくぐった
もちろん瑞鳳殿だって日本史の資料集で飽きるほど眺めてきたものではあるけれど、それはそれ
こういうのはやっぱり、一度はこの目で見ておかないと!
