番外編3 宮城旅行仙台編・1日目
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竜雲は長柄と鞘の拵も綺麗に現存している
私の相棒──兄様の天下を成すべく、私と共に数多の戦場を薙ぎ払ってきた一振り
柄には伊達の家紋である竹に雀が彫られていて、雲をあしらった彫り物も入っている
だからこそ私はこの薙刀に竜雲という名を与えたのだ
『柄には無数の刀傷が残っており、勇猛果敢な一の姫の戦いぶりを見ることができる』
展示の説明文でようやくそれに気が付いた
成実さんと共に先陣を切ることが多かったせいか、私の薙刀もわずか二年で傷が増えたのだ
もちろん戦が終われば研ぎに出していたから、刃こぼれは残っていないはず
でも柄のほうは……わざわざ替えたりしなかったから、そのまま残っちゃったのか
「……竜雲が竜雲たる所以だもんね」
もう私が触れることはない、かつての私が振るっていた薙刀を見つめる
それから展示室を順路通りに進んで……
「……Hey,sis.
見てみな」
「なんです……げっ」
兄様が見ていたのは、私宛の手紙
差出人は兄様だ
なんだけど……文末には、あの一文がある
「おかしいとは思わねぇか?
俺の目には、『燃やせ』って書いてあるように見えるんだが?」
「そ、そうですね……」
「なんで残ってやがる?」
「私が燃やさずに残したからです……」
「やりやがったなテメェ」
「だ、だって兄様からのお手紙なんて、勿体なくて燃やせないですよ……!」
兄様は不機嫌そうに鼻を鳴らして、横の展示へと去っていった
いやぁ、それはもうバッチリ書いてあるもんね、『即火中』が……
その隣には、兄様を筆頭に伊達家一門、家臣達の名前が連なった書状
私の快復を願って、成島八幡神社で祈祷をした時のものだ
「……これ、残ってたんだ」
「お前にまつわるものは、できるだけ残したつもりだ
うちでも、仙台でもな」
「えっ」
「だから今際の際のお前へ宛てた梵の手紙も、ちゃんと残ってる」
連名の書状の隣にあるのは、ただ一言のみ認められた文
『如何なる時も伊達者であれ』
たったその一文と、兄様の名前と花押だけの手紙
けれどそれが何よりも私の心の支えだった
『晩年の一の姫へ宛てた伊達政宗の書状
寝たきりの自身を見てほしくないという一の姫の意向により、政宗は一の姫を看取る代わりに、このメッセージを手向けとした
最期の時まで兄妹の強い絆を伺わせるやり取りであった』
流れるように繊細な筆遣いが、死に際の私に胸を張らせてくれた
私の人生はこれで良かったんだと思わせてくれた
私はちゃんと最後まで、伊達の人間でいられたのだ
手紙のエリアが終わると、次は私が実際に着用していた私物の展示
私の戦装束はしっかり血抜きをしていたおかげで、それほど痛みもなく綺麗に残っている
お役御免となったあとも、成実さんが命じて手入れをしてくれていたんだろう
その横には私が使用していた打掛──これもものすごく状態がいい
……ちょっと待った、よく見たら戦装束のところ、重要文化財って書いてない?
「私の戦装束、重要文化財なんですか?」
「お前の嫁入り道具なんか国宝だぞ」
「えッ」
「国宝だから特別展示でしか出せないしな
お前の戦装束だって、表に出してるこれはレプリカらしいし」
「本物は?」
「たしか、胴回しとか具足とか篭手とかと一緒になって重要文化財だから、そっちも滅多なことじゃ表に出ないはずだ」
そっか、ちょっと残念
体を張ることも多かったから、そっちもそっちで傷が多いんだろうな
……篭手なんて、本多殿との戦いで壊れたし
「お前の戦装束なら、今は仙台の国立博物館に貸し出してるはずだぜ」
「ああそっか、伊達政宗展に嫁入り道具ごと貸出中だ」
「竜雲はここにいていいんですか?」
「あれは……たぶん、持ち出しに向かないんじゃねーの?
薙刀って意外とデカいし」
「なるほど……」
私が愛用していた扇子や小袖なども並ぶ中、ドン──と現れたのは、私を描いた人物画だ
わぁすごい、本当に私、歴史上の人物じゃん
「……よかったな、今の世でまで、お転婆だの向こう見ずだの言われなくて」
「武勇に秀でた民思いで家族思いの美しい姫って持ち上げられまくってますけど……」
「お前がどんな思いで戦っていたかは、仙台伊達家の記録文書に事細かく書いておいたぜ」
「尾ひれがついた理由がそこにある気がするんですけど……?」
人並みより戦えたのはそうだし、奥州の民のことも、家族のことも大好きだったのも本当だ
でも美しいかどうかは自信ないな……
成実さんは今も昔も可愛いって言ってくれるけど
……私の生きた証が残る展示室
そこから先の展示室は、春千代を含めた歴代の大森伊達家当主の展示が続いている
なんだか夢のような気分だ
これが夢なら、もう少しだけ堪能していたいな──
私の相棒──兄様の天下を成すべく、私と共に数多の戦場を薙ぎ払ってきた一振り
柄には伊達の家紋である竹に雀が彫られていて、雲をあしらった彫り物も入っている
だからこそ私はこの薙刀に竜雲という名を与えたのだ
『柄には無数の刀傷が残っており、勇猛果敢な一の姫の戦いぶりを見ることができる』
展示の説明文でようやくそれに気が付いた
成実さんと共に先陣を切ることが多かったせいか、私の薙刀もわずか二年で傷が増えたのだ
もちろん戦が終われば研ぎに出していたから、刃こぼれは残っていないはず
でも柄のほうは……わざわざ替えたりしなかったから、そのまま残っちゃったのか
「……竜雲が竜雲たる所以だもんね」
もう私が触れることはない、かつての私が振るっていた薙刀を見つめる
それから展示室を順路通りに進んで……
「……Hey,sis.
見てみな」
「なんです……げっ」
兄様が見ていたのは、私宛の手紙
差出人は兄様だ
なんだけど……文末には、あの一文がある
「おかしいとは思わねぇか?
俺の目には、『燃やせ』って書いてあるように見えるんだが?」
「そ、そうですね……」
「なんで残ってやがる?」
「私が燃やさずに残したからです……」
「やりやがったなテメェ」
「だ、だって兄様からのお手紙なんて、勿体なくて燃やせないですよ……!」
兄様は不機嫌そうに鼻を鳴らして、横の展示へと去っていった
いやぁ、それはもうバッチリ書いてあるもんね、『即火中』が……
その隣には、兄様を筆頭に伊達家一門、家臣達の名前が連なった書状
私の快復を願って、成島八幡神社で祈祷をした時のものだ
「……これ、残ってたんだ」
「お前にまつわるものは、できるだけ残したつもりだ
うちでも、仙台でもな」
「えっ」
「だから今際の際のお前へ宛てた梵の手紙も、ちゃんと残ってる」
連名の書状の隣にあるのは、ただ一言のみ認められた文
『如何なる時も伊達者であれ』
たったその一文と、兄様の名前と花押だけの手紙
けれどそれが何よりも私の心の支えだった
『晩年の一の姫へ宛てた伊達政宗の書状
寝たきりの自身を見てほしくないという一の姫の意向により、政宗は一の姫を看取る代わりに、このメッセージを手向けとした
最期の時まで兄妹の強い絆を伺わせるやり取りであった』
流れるように繊細な筆遣いが、死に際の私に胸を張らせてくれた
私の人生はこれで良かったんだと思わせてくれた
私はちゃんと最後まで、伊達の人間でいられたのだ
手紙のエリアが終わると、次は私が実際に着用していた私物の展示
私の戦装束はしっかり血抜きをしていたおかげで、それほど痛みもなく綺麗に残っている
お役御免となったあとも、成実さんが命じて手入れをしてくれていたんだろう
その横には私が使用していた打掛──これもものすごく状態がいい
……ちょっと待った、よく見たら戦装束のところ、重要文化財って書いてない?
「私の戦装束、重要文化財なんですか?」
「お前の嫁入り道具なんか国宝だぞ」
「えッ」
「国宝だから特別展示でしか出せないしな
お前の戦装束だって、表に出してるこれはレプリカらしいし」
「本物は?」
「たしか、胴回しとか具足とか篭手とかと一緒になって重要文化財だから、そっちも滅多なことじゃ表に出ないはずだ」
そっか、ちょっと残念
体を張ることも多かったから、そっちもそっちで傷が多いんだろうな
……篭手なんて、本多殿との戦いで壊れたし
「お前の戦装束なら、今は仙台の国立博物館に貸し出してるはずだぜ」
「ああそっか、伊達政宗展に嫁入り道具ごと貸出中だ」
「竜雲はここにいていいんですか?」
「あれは……たぶん、持ち出しに向かないんじゃねーの?
薙刀って意外とデカいし」
「なるほど……」
私が愛用していた扇子や小袖なども並ぶ中、ドン──と現れたのは、私を描いた人物画だ
わぁすごい、本当に私、歴史上の人物じゃん
「……よかったな、今の世でまで、お転婆だの向こう見ずだの言われなくて」
「武勇に秀でた民思いで家族思いの美しい姫って持ち上げられまくってますけど……」
「お前がどんな思いで戦っていたかは、仙台伊達家の記録文書に事細かく書いておいたぜ」
「尾ひれがついた理由がそこにある気がするんですけど……?」
人並みより戦えたのはそうだし、奥州の民のことも、家族のことも大好きだったのも本当だ
でも美しいかどうかは自信ないな……
成実さんは今も昔も可愛いって言ってくれるけど
……私の生きた証が残る展示室
そこから先の展示室は、春千代を含めた歴代の大森伊達家当主の展示が続いている
なんだか夢のような気分だ
これが夢なら、もう少しだけ堪能していたいな──
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