番外編3 宮城旅行仙台編・1日目
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美味しいお蕎麦でお腹を満たして、私たちは秋保温泉にある別荘へ向かうことにした
行きもそうなら、帰りもそうだ
やっぱり県道とは思えないダムの上の道路を通って、秋保温泉方面へ進んでいく
秋保温泉といえば、宮城では有名な温泉地
だけど別荘を温泉地に建てていたのはちょっと意外だった
てっきり青葉城の近くにあると思っていたから
国道経由で県道から山手へ入っていくと、その山道の行き止まりに、松島とは比にならないくらいの高級旅館が待ち構えていた
本当にちょっとした山奥というか、別荘への入口が明らかに人気のない私道だから見つからないだけで、外観だけなら本当に高級感がすごい旅館のそれだ
車の中でポカン……としていると、車のドアが開けられた
「仙台へようこそお帰りくださいました」
少しばかり年嵩のいった使用人の女性が、品良く微笑む
……そっか、そうだよね、今の私たちのルーツもここにあるんだもん
私たちは、伊達家の血を継ぐ者なんだから
「ただいま帰りました」
ただの出迎えじゃない
この地にとっては、真に正しく、藩主の帰郷に違いないのだ
「……落ち着くな」
肩の力が抜けた様子で、兄様が目を細める
私も連れて行ってもらえばよかったな
兄様のことだから、この辺りにもよく足を伸ばしていたんだろう
湯治目的のときもあっただろうし、ただ温泉に入りたかっただけの時もあっただろうけど……
「夕華は秋保も初めてだっけ
もっとあちこち連れ回せばよかったな」
「上田まで行ったくせに、なんで伊達領内には行かなかったんでしょうね……」
「とはいえ上田へのあれも、成実が倒れたとの知らせを受けてのものでありました
日頃は義姉と、作法や薙刀の稽古に励んでおられたゆえ、領内へ足を運ぶ暇がなかったのでは?」
「ううん……でも仙台市内くらいは、早太に乗れば……」
どちらかと言うと、私が伊達家にやってきたのは、兄様の天下統一が本格的に進み始めた頃だったから、ゆっくりする暇がなかった
私も戦に明け暮れる毎日だった──奥州は乱世の縮図のようで、常に伊達からの独立を目論む他家との小競り合いを繰り返していたから
奥州が一枚岩になったのは、天下統一も目前だった頃だ
……兄様が黒川城でお東様に毒を盛られた時、もし私が兄様の言う通りにして、黒脛巾を連れていなかったら
民たちの悲願でもあり、我々も目指すところだった天下統一、ひいては誰もが笑って暮らせる明るい世の中が、振り出しに戻るところだった
「天下を手にしてからは、お前の輿入れで忙しくなったからなぁ」
「それも言ってしまえばゴネにゴネた亘理家のせいですけどね」
「最終的に原田の野郎がキレやがったがな」
「あの原田をキレさせるとは、さすが武の成実は肝が据わってるな」
「理不尽にキレられた俺にもうちょっと同情を寄せてくれてもいいだろ」
成実さんが不機嫌そうに鼻を鳴らして、旅館……ではなく、別荘へ入っていく
私も慌てて後を追いかけて、おっかなびっくりしながら別荘の敷居を跨いだ
「わぁすごいキラキラしてる」
「目が遠くなってんぞー」
暖かな照明が映し出すロビーは、団体様でも余裕で寛げるほど広々としている
ゴージャスな生け花や、見事な盆栽がロビーを彩り、三日月が夜空に浮かぶ青葉城を描いたどデカい絵画が壁に飾られている
そしてロビーの中央には噴水……噴水ではないけれど、水が湧いている
真っ黒な床なんて、照明だの自分の姿だの何だのが反射するほどの磨かれようだ
「どうした?
大理石になんかあったか?」
「大理石なんだ……へぇ……」
「Culture shockかよ」
「仙台の別荘が一番気合入ってるって、前に言わなかったっけか?」
「聞い……たような、聞いてないような……」
「じゃあ今言った」
「それはズルいですって!
ねぇ!!」
私の文句など何処吹く風、成実さんはスタッフさんから部屋の鍵を受け取って、スタスタと歩いていった
……部屋割りとか聞いてないけど、いいのかな
「小十郎さん、お部屋って……?」
「夕華様は母屋のお部屋を成実とお使いください
政宗様は離れにご案内致しまする」
私も鍵を受け取って、ロビーで双竜と別れた
同じ部屋ならそう言えばいいのに、成実さんってば先に行っちゃって
鍵には三引両が彫られた木製のキーホルダーがついている
……初めて来たから、お部屋の場所も分からないんだ
誰か私の案内を……と周囲を見渡した時
「夕華様、お待ちしておりました!」
「あっ……喜多さん!」
「お出迎えが遅くなりまして、申し訳ございません!
お部屋へご案内致します」
「ありがとうございます
うっかり迷子になっちゃうところでした」
「仙台の別荘は桁違いに広うございますものね
されどここ仙台こそ、我ら伊達の始まりの地
その地に相応しい佇まいであるべしとの、歴代当主のご意向でございまして
夕華様のお部屋も、母屋で一番格式の高いお部屋でご用意しております」
「あれ?
成実さんと同室じゃないんですか?」
「成実様は一階の雪薄をご使用になられるそうです
政宗様は離れの竹に雀を」
「家紋がお部屋の名前なんだ……」
「ええ、それも仙台別荘のみの仕様です
特に政宗様がお使いになる竹に雀は、本家本元の方のみがご使用になれます
今回でしたら、政宗様と夕華様がご使用になれるのですが、成実様と近いお部屋が宜しかろうとのことで、夕華様は母屋のお部屋となりました」
エレベーターを呼んでくれた喜多さんと乗って、二階で降りる
エレベーターを降りてすぐのところにはオートロック式の自動ドアがあって、手に持っている鍵を挿して回すと、自動ドアが開いた
セキュリティが……とてもしっかりしている……
長く伸びた廊下は、向こうにお部屋の入口があって、反対側は リラクゼーションの施設があった
ここに来るまでサロンなんかの説明がなかったから、このフロアにある施設は私専用ということだ
「左手側にはサロンがございまして、お飲み物や読書、音楽鑑賞などをお楽しみいただけます
お飲み物は適宜こちらで補充致しますので、遠慮なくお申し付けを
そのお隣にはシアタールームもございますので、お好きな映画やドラマ、アニメなどをご覧ください
どちらも二十四時間ご利用いただけます」
「……別荘とは……」
「ここ仙台別荘は、他の別荘とは一線を画しておりますので」
画しすぎている気がする
もはや別荘の域を遥かに凌駕していると私は思います
「こちらがお部屋の入口でございます
お履き物はシューズボックスへ喜多めが収納致します
母屋のご移動はこちらのスリッパをご利用ください」
「あ、ありがとうございます」
お部屋のドアをガラガラと引いて、現れたとーっても広い和室に、私は乾いた笑いを浮かべた
でも不思議と落ち着くのは、お部屋の中が書院造をモチーフにしているからだろうか
成実さんの部屋で寛いでいたのを思いだす
「お荷物はお部屋に運ばせていただいております
松島でお預かり致しましたお召し物も、お洗濯してございますので、ご安心ください」
「そういえば預けたな……」
預けたことすらちょっと忘れていた
お部屋の中を案内してもらい、ひょいっと浴室を覗くと、既に温泉が出来上がっている
「このあとすぐにでもご入浴いただけます
お部屋のご説明は以上でございます
ご不明点がなければ、喜多めはこれにて御前を失礼させていただきます」
「はい、ありがとうございました
喜多さんもゆっくり休んでください」
「ふふ……喜多めの仕事は、これからでございます
夕華様のお世話をさせて頂くことこそ、喜多めの至上の喜びでございますゆえ
それはさておき、夕華様にお渡ししておくべきものがございます
まずはこちら、成実様のお部屋になります、雪薄の鍵でございます」
私の手には形の違う鍵が
遊びに来いということだろうな、遠慮なく遊びに行ってやろう
そしてもうひとつ、と手渡されたのは、カードキー
竹に雀が印刷されたカードだ
「こちらは政宗様のおられる離れへ向かう際にご利用ください
夕華様のみが立ち入りを許されておりますので、成実様にはお渡しなさいませんよう」
「兄様……」
どんだけ私に甘いんだ……と思ったけど、竹に雀の離れは、本家の人間しか使っちゃいけないんだっけ
そりゃ成実さんには渡せない鍵だな
喜多さんがお部屋を出ていって、だだっ広いお部屋にぽつんとひとり
とりあえず……まずは温泉だな!
行きもそうなら、帰りもそうだ
やっぱり県道とは思えないダムの上の道路を通って、秋保温泉方面へ進んでいく
秋保温泉といえば、宮城では有名な温泉地
だけど別荘を温泉地に建てていたのはちょっと意外だった
てっきり青葉城の近くにあると思っていたから
国道経由で県道から山手へ入っていくと、その山道の行き止まりに、松島とは比にならないくらいの高級旅館が待ち構えていた
本当にちょっとした山奥というか、別荘への入口が明らかに人気のない私道だから見つからないだけで、外観だけなら本当に高級感がすごい旅館のそれだ
車の中でポカン……としていると、車のドアが開けられた
「仙台へようこそお帰りくださいました」
少しばかり年嵩のいった使用人の女性が、品良く微笑む
……そっか、そうだよね、今の私たちのルーツもここにあるんだもん
私たちは、伊達家の血を継ぐ者なんだから
「ただいま帰りました」
ただの出迎えじゃない
この地にとっては、真に正しく、藩主の帰郷に違いないのだ
「……落ち着くな」
肩の力が抜けた様子で、兄様が目を細める
私も連れて行ってもらえばよかったな
兄様のことだから、この辺りにもよく足を伸ばしていたんだろう
湯治目的のときもあっただろうし、ただ温泉に入りたかっただけの時もあっただろうけど……
「夕華は秋保も初めてだっけ
もっとあちこち連れ回せばよかったな」
「上田まで行ったくせに、なんで伊達領内には行かなかったんでしょうね……」
「とはいえ上田へのあれも、成実が倒れたとの知らせを受けてのものでありました
日頃は義姉と、作法や薙刀の稽古に励んでおられたゆえ、領内へ足を運ぶ暇がなかったのでは?」
「ううん……でも仙台市内くらいは、早太に乗れば……」
どちらかと言うと、私が伊達家にやってきたのは、兄様の天下統一が本格的に進み始めた頃だったから、ゆっくりする暇がなかった
私も戦に明け暮れる毎日だった──奥州は乱世の縮図のようで、常に伊達からの独立を目論む他家との小競り合いを繰り返していたから
奥州が一枚岩になったのは、天下統一も目前だった頃だ
……兄様が黒川城でお東様に毒を盛られた時、もし私が兄様の言う通りにして、黒脛巾を連れていなかったら
民たちの悲願でもあり、我々も目指すところだった天下統一、ひいては誰もが笑って暮らせる明るい世の中が、振り出しに戻るところだった
「天下を手にしてからは、お前の輿入れで忙しくなったからなぁ」
「それも言ってしまえばゴネにゴネた亘理家のせいですけどね」
「最終的に原田の野郎がキレやがったがな」
「あの原田をキレさせるとは、さすが武の成実は肝が据わってるな」
「理不尽にキレられた俺にもうちょっと同情を寄せてくれてもいいだろ」
成実さんが不機嫌そうに鼻を鳴らして、旅館……ではなく、別荘へ入っていく
私も慌てて後を追いかけて、おっかなびっくりしながら別荘の敷居を跨いだ
「わぁすごいキラキラしてる」
「目が遠くなってんぞー」
暖かな照明が映し出すロビーは、団体様でも余裕で寛げるほど広々としている
ゴージャスな生け花や、見事な盆栽がロビーを彩り、三日月が夜空に浮かぶ青葉城を描いたどデカい絵画が壁に飾られている
そしてロビーの中央には噴水……噴水ではないけれど、水が湧いている
真っ黒な床なんて、照明だの自分の姿だの何だのが反射するほどの磨かれようだ
「どうした?
大理石になんかあったか?」
「大理石なんだ……へぇ……」
「Culture shockかよ」
「仙台の別荘が一番気合入ってるって、前に言わなかったっけか?」
「聞い……たような、聞いてないような……」
「じゃあ今言った」
「それはズルいですって!
ねぇ!!」
私の文句など何処吹く風、成実さんはスタッフさんから部屋の鍵を受け取って、スタスタと歩いていった
……部屋割りとか聞いてないけど、いいのかな
「小十郎さん、お部屋って……?」
「夕華様は母屋のお部屋を成実とお使いください
政宗様は離れにご案内致しまする」
私も鍵を受け取って、ロビーで双竜と別れた
同じ部屋ならそう言えばいいのに、成実さんってば先に行っちゃって
鍵には三引両が彫られた木製のキーホルダーがついている
……初めて来たから、お部屋の場所も分からないんだ
誰か私の案内を……と周囲を見渡した時
「夕華様、お待ちしておりました!」
「あっ……喜多さん!」
「お出迎えが遅くなりまして、申し訳ございません!
お部屋へご案内致します」
「ありがとうございます
うっかり迷子になっちゃうところでした」
「仙台の別荘は桁違いに広うございますものね
されどここ仙台こそ、我ら伊達の始まりの地
その地に相応しい佇まいであるべしとの、歴代当主のご意向でございまして
夕華様のお部屋も、母屋で一番格式の高いお部屋でご用意しております」
「あれ?
成実さんと同室じゃないんですか?」
「成実様は一階の雪薄をご使用になられるそうです
政宗様は離れの竹に雀を」
「家紋がお部屋の名前なんだ……」
「ええ、それも仙台別荘のみの仕様です
特に政宗様がお使いになる竹に雀は、本家本元の方のみがご使用になれます
今回でしたら、政宗様と夕華様がご使用になれるのですが、成実様と近いお部屋が宜しかろうとのことで、夕華様は母屋のお部屋となりました」
エレベーターを呼んでくれた喜多さんと乗って、二階で降りる
エレベーターを降りてすぐのところにはオートロック式の自動ドアがあって、手に持っている鍵を挿して回すと、自動ドアが開いた
セキュリティが……とてもしっかりしている……
長く伸びた廊下は、向こうにお部屋の入口があって、反対側は リラクゼーションの施設があった
ここに来るまでサロンなんかの説明がなかったから、このフロアにある施設は私専用ということだ
「左手側にはサロンがございまして、お飲み物や読書、音楽鑑賞などをお楽しみいただけます
お飲み物は適宜こちらで補充致しますので、遠慮なくお申し付けを
そのお隣にはシアタールームもございますので、お好きな映画やドラマ、アニメなどをご覧ください
どちらも二十四時間ご利用いただけます」
「……別荘とは……」
「ここ仙台別荘は、他の別荘とは一線を画しておりますので」
画しすぎている気がする
もはや別荘の域を遥かに凌駕していると私は思います
「こちらがお部屋の入口でございます
お履き物はシューズボックスへ喜多めが収納致します
母屋のご移動はこちらのスリッパをご利用ください」
「あ、ありがとうございます」
お部屋のドアをガラガラと引いて、現れたとーっても広い和室に、私は乾いた笑いを浮かべた
でも不思議と落ち着くのは、お部屋の中が書院造をモチーフにしているからだろうか
成実さんの部屋で寛いでいたのを思いだす
「お荷物はお部屋に運ばせていただいております
松島でお預かり致しましたお召し物も、お洗濯してございますので、ご安心ください」
「そういえば預けたな……」
預けたことすらちょっと忘れていた
お部屋の中を案内してもらい、ひょいっと浴室を覗くと、既に温泉が出来上がっている
「このあとすぐにでもご入浴いただけます
お部屋のご説明は以上でございます
ご不明点がなければ、喜多めはこれにて御前を失礼させていただきます」
「はい、ありがとうございました
喜多さんもゆっくり休んでください」
「ふふ……喜多めの仕事は、これからでございます
夕華様のお世話をさせて頂くことこそ、喜多めの至上の喜びでございますゆえ
それはさておき、夕華様にお渡ししておくべきものがございます
まずはこちら、成実様のお部屋になります、雪薄の鍵でございます」
私の手には形の違う鍵が
遊びに来いということだろうな、遠慮なく遊びに行ってやろう
そしてもうひとつ、と手渡されたのは、カードキー
竹に雀が印刷されたカードだ
「こちらは政宗様のおられる離れへ向かう際にご利用ください
夕華様のみが立ち入りを許されておりますので、成実様にはお渡しなさいませんよう」
「兄様……」
どんだけ私に甘いんだ……と思ったけど、竹に雀の離れは、本家の人間しか使っちゃいけないんだっけ
そりゃ成実さんには渡せない鍵だな
喜多さんがお部屋を出ていって、だだっ広いお部屋にぽつんとひとり
とりあえず……まずは温泉だな!
