番外編2 宮城旅行松島編
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ギリギリで観瀾亭に間に合った
瑞巌寺の宝物庫を流し見でしか見られなかったのが残念だ……
今は観瀾亭でお茶とお菓子を頂きながら、松島の景色を眺めている
「改めて見ても絶景ですね」
「いい眺めだよなぁ」
「夕華様、寒くはありませぬか」
「お抹茶が温かいので平気です」
「一番暖かいヒートテック着込んでるし、むしろ暑いくらいだろ」
「そうですね……」
だって荷造りの時、みんなが揃って「真冬の東北は寒いから一番暖かい格好にしろ」って脅してきたから……
私だって数年間は奥州に住んでたから、どのくらいの寒さかは経験してるのに
「飲み終わったら行くか」
「どこにです?」
「今日の宿だろ、もうどこも開いてねぇし」
「あ、そうですよね……
お宿ってこの近くですか?」
「本日からは伊達家の別荘にご宿泊となります」
……そりゃそうだ
流石に伊達家のルーツとなる土地だもん、松島に別荘がないわけない
「だから留守さんと白石さんがいないんだ!?」
「塩釜でアイツらとは別れたろ
……まさかお前、気付いてなかったのか」
「まったく!
じゃあ喜多さんも……?」
「喜多は先に別荘にcheck inしてる」
「別荘への宿泊となりますので、義姉も使用人側へ回るとのことで」
「あ、そうなんですか……」
まあたしかに、別荘を利用できるのは伊達家一門の人間だけだ
つまりその資格があるのは、兄様と成実さんと私だけ
小十郎さんも別荘に着いたら使用人側になるらしい
そっかぁ、なんてしんみりした気持ちになりつつ、でも前世の頃からそうだったなと思い直して、お抹茶を飲み干した
「っし、行くか」
「ですね!」
観瀾亭を出て、停めた駐車場へと歩く
観瀾亭の近くの駐車場に停めておいて正解だったな
……横断歩道が遠かったことには目をつぶろう
しかしさすが松島、軒を連ねるお店はどこも海鮮系だったり牛タンの串焼きだったり、とにかく美味しそう
でも我慢だ、このあと絶対に美味しいご飯が待っているはずだから……!
「松島の別荘は泊まられたことあるんですか?」
「俺はないけど、梵はあるだろ?」
「一度だけだがな」
「普段は遠方に住む一門の家がよく利用する場所でございましてな
今回は政宗様の御名前で早めに押さえておりましたゆえ、我々の貸切でございまする」
「貸切?
ということは、ほかの家と被ることもあるんですか?」
「一応、二家までは同日利用ができることにはなってるな
人数によってそこら辺は変わるけど」
「へぇ……」
「仲悪い家同士が被ると地獄だぜ……」
成実さんが遠い目をして言った
筆頭分家の実元家と仲が悪い家って、どこなんだろう
……怖いから聞くのはやめておこう
駐車場に到着して、車に乗り込む
すぐにエンジンがかかって、片倉号は別荘を目指して夕暮れの松島を走り始めた
「今日も楽しかった……」
「こっちが小っ恥ずかしくなるくらい堪能してくれるよな、お前って」
「我々も奥州、ひいては宮城の地を大切に思っておりますが、夕華様の愛はそれ以上かと」
「前世の頃も、育った環境が伊達家の分家筋だったんだっけ
お前って本当に伊達と縁が深いよな」
「そうですね
でも仮にまったく関係のない家で育ったとしても、奥州のことを愛したと思います」
「Why?」
「私の生まれ故郷ですし……
なにより奥州の民が私のことを受け入れて、慕ってくれたことが嬉しかったんです
普通なら最初、何処の馬の骨かも分からない人間を、警戒して様子を見るものですよ」
「まあそれは梵の名前で城下に知らせちまったからな……」
実は兄様たちにも驚いていた
背中の火傷の跡、私が見た過去の出来事──言ってしまえばそれらは確たる証拠にはなり得ないものだ
たしかに私が見た過去の出来事は、蘆名襲撃の当時から伊達家に仕えていた重臣たちしか知らない出来事も含まれていた
とはいえ……あまりにもあっさり信じるものだから、警戒心が無さすぎるにも程がないかって心配にはなったんだ
「兄様たちはどうして、私が妹だって信じたんですか?
背中の火傷の跡はともかく、私が見た過去の記憶だって、勝手に嘘をついただけかもしれなかったじゃないですか」
「……その可能性を完全に捨て切れたわけじゃなかった
お前の言う通り、命を守るためにあの場でお前が嘘をついた可能性を、恐らく俺だけじゃねぇ、小十郎も綱元も真っ先に思い浮かべたはずだ」
「……否定は致しませぬ」
運転席から小十郎さんはそう答えた
そりゃそうだろうなと思っていたから、驚きはない
「だがお前が教えてくれただろう
お前の知る『伊達政宗』には、妹なんざいなかった、とな」
「……そんな話、しました?」
「取るに足らねぇ雑談の中だったんじゃねーの?
俺も『あーそういやそんな話したっけか』みたいな感じだしよ」
「だがお前は、育ての家に預けられた時、お前の出自を書いた紙があったと言った
お前は永禄十二年、五月七日生まれの伊達の姫で、伊達輝宗と義姫の間に生まれたんだと……
蘆名が安芸介の家を攻める一か月前の日付で書かれた紙が」
……驚いた
あの手紙が証拠のひとつになっていただなんて
でもたしかに、あの世界と私が育った世界の歴史はまったく違っていた──今の世界と前世のように
だから元亀二年七月の日付でそんな手紙があったんだ、と私が言うこと自体、私があの世界の奥州で育った証拠になるわけだ
……私の生家は、元亀二年八月に、蘆名の襲撃に遭って滅亡した
「我々も様々な可能性を考えました
しかし貴女様の知る伊達政宗の話を聞けば聞くほど、あの手紙が抜けない釘のようでしてな」
「お前の知る伊達政宗の人生では、元亀二年八月はただ平凡に過ぎていった日常らしかったんだ
ところがこっちの世界じゃあ、元亀二年八月なんて、家中ひっくり返る程の大事件が起きてたわけだろ?
未来人だったらそんな事件を知っていてもいいだろうに、お前はそんな事件はなかったってはっきり言ったしな」
言った覚えがないので、多分それも取るに足らない日常会話の中でのやり取りなんだろう
みんなはそうやって私となんてことのない会話をしながら、情報を集めていたんだろうな
私が本当に姫なのか、それともただ嘘をついているだけなのかを、見極めるために
瑞巌寺の宝物庫を流し見でしか見られなかったのが残念だ……
今は観瀾亭でお茶とお菓子を頂きながら、松島の景色を眺めている
「改めて見ても絶景ですね」
「いい眺めだよなぁ」
「夕華様、寒くはありませぬか」
「お抹茶が温かいので平気です」
「一番暖かいヒートテック着込んでるし、むしろ暑いくらいだろ」
「そうですね……」
だって荷造りの時、みんなが揃って「真冬の東北は寒いから一番暖かい格好にしろ」って脅してきたから……
私だって数年間は奥州に住んでたから、どのくらいの寒さかは経験してるのに
「飲み終わったら行くか」
「どこにです?」
「今日の宿だろ、もうどこも開いてねぇし」
「あ、そうですよね……
お宿ってこの近くですか?」
「本日からは伊達家の別荘にご宿泊となります」
……そりゃそうだ
流石に伊達家のルーツとなる土地だもん、松島に別荘がないわけない
「だから留守さんと白石さんがいないんだ!?」
「塩釜でアイツらとは別れたろ
……まさかお前、気付いてなかったのか」
「まったく!
じゃあ喜多さんも……?」
「喜多は先に別荘にcheck inしてる」
「別荘への宿泊となりますので、義姉も使用人側へ回るとのことで」
「あ、そうなんですか……」
まあたしかに、別荘を利用できるのは伊達家一門の人間だけだ
つまりその資格があるのは、兄様と成実さんと私だけ
小十郎さんも別荘に着いたら使用人側になるらしい
そっかぁ、なんてしんみりした気持ちになりつつ、でも前世の頃からそうだったなと思い直して、お抹茶を飲み干した
「っし、行くか」
「ですね!」
観瀾亭を出て、停めた駐車場へと歩く
観瀾亭の近くの駐車場に停めておいて正解だったな
……横断歩道が遠かったことには目をつぶろう
しかしさすが松島、軒を連ねるお店はどこも海鮮系だったり牛タンの串焼きだったり、とにかく美味しそう
でも我慢だ、このあと絶対に美味しいご飯が待っているはずだから……!
「松島の別荘は泊まられたことあるんですか?」
「俺はないけど、梵はあるだろ?」
「一度だけだがな」
「普段は遠方に住む一門の家がよく利用する場所でございましてな
今回は政宗様の御名前で早めに押さえておりましたゆえ、我々の貸切でございまする」
「貸切?
ということは、ほかの家と被ることもあるんですか?」
「一応、二家までは同日利用ができることにはなってるな
人数によってそこら辺は変わるけど」
「へぇ……」
「仲悪い家同士が被ると地獄だぜ……」
成実さんが遠い目をして言った
筆頭分家の実元家と仲が悪い家って、どこなんだろう
……怖いから聞くのはやめておこう
駐車場に到着して、車に乗り込む
すぐにエンジンがかかって、片倉号は別荘を目指して夕暮れの松島を走り始めた
「今日も楽しかった……」
「こっちが小っ恥ずかしくなるくらい堪能してくれるよな、お前って」
「我々も奥州、ひいては宮城の地を大切に思っておりますが、夕華様の愛はそれ以上かと」
「前世の頃も、育った環境が伊達家の分家筋だったんだっけ
お前って本当に伊達と縁が深いよな」
「そうですね
でも仮にまったく関係のない家で育ったとしても、奥州のことを愛したと思います」
「Why?」
「私の生まれ故郷ですし……
なにより奥州の民が私のことを受け入れて、慕ってくれたことが嬉しかったんです
普通なら最初、何処の馬の骨かも分からない人間を、警戒して様子を見るものですよ」
「まあそれは梵の名前で城下に知らせちまったからな……」
実は兄様たちにも驚いていた
背中の火傷の跡、私が見た過去の出来事──言ってしまえばそれらは確たる証拠にはなり得ないものだ
たしかに私が見た過去の出来事は、蘆名襲撃の当時から伊達家に仕えていた重臣たちしか知らない出来事も含まれていた
とはいえ……あまりにもあっさり信じるものだから、警戒心が無さすぎるにも程がないかって心配にはなったんだ
「兄様たちはどうして、私が妹だって信じたんですか?
背中の火傷の跡はともかく、私が見た過去の記憶だって、勝手に嘘をついただけかもしれなかったじゃないですか」
「……その可能性を完全に捨て切れたわけじゃなかった
お前の言う通り、命を守るためにあの場でお前が嘘をついた可能性を、恐らく俺だけじゃねぇ、小十郎も綱元も真っ先に思い浮かべたはずだ」
「……否定は致しませぬ」
運転席から小十郎さんはそう答えた
そりゃそうだろうなと思っていたから、驚きはない
「だがお前が教えてくれただろう
お前の知る『伊達政宗』には、妹なんざいなかった、とな」
「……そんな話、しました?」
「取るに足らねぇ雑談の中だったんじゃねーの?
俺も『あーそういやそんな話したっけか』みたいな感じだしよ」
「だがお前は、育ての家に預けられた時、お前の出自を書いた紙があったと言った
お前は永禄十二年、五月七日生まれの伊達の姫で、伊達輝宗と義姫の間に生まれたんだと……
蘆名が安芸介の家を攻める一か月前の日付で書かれた紙が」
……驚いた
あの手紙が証拠のひとつになっていただなんて
でもたしかに、あの世界と私が育った世界の歴史はまったく違っていた──今の世界と前世のように
だから元亀二年七月の日付でそんな手紙があったんだ、と私が言うこと自体、私があの世界の奥州で育った証拠になるわけだ
……私の生家は、元亀二年八月に、蘆名の襲撃に遭って滅亡した
「我々も様々な可能性を考えました
しかし貴女様の知る伊達政宗の話を聞けば聞くほど、あの手紙が抜けない釘のようでしてな」
「お前の知る伊達政宗の人生では、元亀二年八月はただ平凡に過ぎていった日常らしかったんだ
ところがこっちの世界じゃあ、元亀二年八月なんて、家中ひっくり返る程の大事件が起きてたわけだろ?
未来人だったらそんな事件を知っていてもいいだろうに、お前はそんな事件はなかったってはっきり言ったしな」
言った覚えがないので、多分それも取るに足らない日常会話の中でのやり取りなんだろう
みんなはそうやって私となんてことのない会話をしながら、情報を集めていたんだろうな
私が本当に姫なのか、それともただ嘘をついているだけなのかを、見極めるために
