番外編2 宮城旅行松島編
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文王の間の奥が上段の間
そこには伊達政宗の甲冑が復元された状態で、政宗公の像が座っていた
その隣には皇族方が来られたときのために、上々段の間もある
「Majorな部屋はここまでか」
「だな
あとは墨絵の間と菊の間で終わりだし」
「改めて見てもすごい本堂でした……」
「他の観光客よりも余程の熱量で見入っておられましたな
草葉の陰で政宗公も嬉しく思われておいででしょう」
「だな
同じ伊達の名を継ぐ奴が、こうも目を輝かせてテメェの足跡を辿ってたんじゃ、仏頂面だってできやしねぇ
……ちょいと妬けるがな」
「兄様の遺されたものも、追いかけることが出来れば良かったんですけど……
この世界は、私たちが生きた世界とはまったくの別物ですもんね」
兄様も同じような寺を建てた
似ているようで違う道を辿った、二人の『伊達政宗』
かたや日の本を手中に収めた天下人
かたや天下を志すも、世の流れの前に膝をついた東北の外様大名
私はそのどちらの歴史も知っている
けれど──こうして直に追いかけることができるのは、私の知らない伊達政宗のものだけだ
「兄様にまつわるものも、あちらの世界にはたくさん残っているんでしょうね……」
「……」
私は早死にしたから、なおさら恋しいと思ってしまうのかもしれない
兄様が治めた日の本を──兄様が後世に残したものたちを
ううん、兄様のものだけじゃない
成実さんにまつわるもの、小十郎さんにまつわるものだって、今の世みたいに残っているはず
……なんて、そんなふうにみんなの生きた証を求めてしまうのは、彼らの人生を見届けることさえできなかったからだ
「……そうだな、何かしら残ってるだろうな」
「はい……」
「小十郎に成実に綱元、原田や留守、白石……他にも大勢の奴らが俺と関わってくれた
もちろんお前もそのひとりだ
だからこそ竜の天下を掴めたんだと俺は思ってる」
「おい小十郎、梵が殊勝なこと言ってるぞ……」
「黙って聞いておけ」
どうして成実さんは要らんこと兄様を怒らせようとしてしまうのか……
でも私も成実さんと似たようなことはちょっと思っちゃったから、人のことは言えない
「燃やせと書いておいたはずのletterが、なぜか燃やされずに残っていたくらいだ
お前の小っ恥ずかしい何かも、あれこれ残ってるだろうな」
「う、うわぁ……」
本当にそれだけは嫌すぎる
貴重な資料とかじゃないから残さないでほしい
薙刀は残ってくれてもいいから……
「唯一残ってほしいと思えたletterは、最後にお前へ宛てたやつだけだ」
いかなる時も伊達者であれ
その言葉は、たしかに私の支えだった
死の淵に立っていた私の心を優しく奮い立たせる一言だった
「……私も、あの手紙はずっと残り続けてほしいと思います」
「残ってるさ、きっとな
ああいう直筆の手紙はなぜか、やらかした内容のやつが残りやすいらしい
だが病床の妹へ宛てた、最初で最後のmessageだ
残すにゃ丁度いいネタだろうぜ」
静かにそう告げて、兄様は少しだけ寂しそうに微笑んだ
この世界が竜の天下を経た歴史であれば……なんて、きっと私たちの誰もが一度は願ったことだ
そうすれば私が死んだ後の兄様たちの功績も、その後の日の本がどうなったのかも、私たちは詳細に知ることができただろう
(……あの時代を知る人たちは、ほんのひと握り
大っぴらに語れるものでもないし、この世界とは何もかもが違う結末を辿った歴史だ
でも……まったく違う世界だからこそ、私たちはきっとこうして再会できた)
思いを馳せて、懐かしむことしかできないけれど、あの世界はたしかに私たちの故郷だったから
もしこの生を終えてまた生まれ変われるなら、私たちが駆け抜けた時代の続きである世界を生きてみたい
墨絵の間と菊の間もしっかりと眺めて、私たちは入口へ戻ってきた
靴を履いて外に出て、宝物庫へとみんなが歩いていく
観るだろ、というように成実さんの目が言っていたので、私も小走りで追いついた
「なにが展示されてるんでしょう?」
「んーそりゃ、瑞巌寺にまつわるあれこれ」
「それはそうでしょうけど」
「まあふわっと観るだけでいいよ、長居できるほど時間もねぇし」
「このあと観瀾亭にも行くんだろ
今の時期は閉まるのが早いからな……」
そういえばそうだった……
冬の東北は日没が早いから、どこもかしこも夕方四時で終わりなんだった……
そう考えると、瑞巌寺でかなり時間を取ってしまったのでは!?
観瀾亭、間に合うかな……!?
そこには伊達政宗の甲冑が復元された状態で、政宗公の像が座っていた
その隣には皇族方が来られたときのために、上々段の間もある
「Majorな部屋はここまでか」
「だな
あとは墨絵の間と菊の間で終わりだし」
「改めて見てもすごい本堂でした……」
「他の観光客よりも余程の熱量で見入っておられましたな
草葉の陰で政宗公も嬉しく思われておいででしょう」
「だな
同じ伊達の名を継ぐ奴が、こうも目を輝かせてテメェの足跡を辿ってたんじゃ、仏頂面だってできやしねぇ
……ちょいと妬けるがな」
「兄様の遺されたものも、追いかけることが出来れば良かったんですけど……
この世界は、私たちが生きた世界とはまったくの別物ですもんね」
兄様も同じような寺を建てた
似ているようで違う道を辿った、二人の『伊達政宗』
かたや日の本を手中に収めた天下人
かたや天下を志すも、世の流れの前に膝をついた東北の外様大名
私はそのどちらの歴史も知っている
けれど──こうして直に追いかけることができるのは、私の知らない伊達政宗のものだけだ
「兄様にまつわるものも、あちらの世界にはたくさん残っているんでしょうね……」
「……」
私は早死にしたから、なおさら恋しいと思ってしまうのかもしれない
兄様が治めた日の本を──兄様が後世に残したものたちを
ううん、兄様のものだけじゃない
成実さんにまつわるもの、小十郎さんにまつわるものだって、今の世みたいに残っているはず
……なんて、そんなふうにみんなの生きた証を求めてしまうのは、彼らの人生を見届けることさえできなかったからだ
「……そうだな、何かしら残ってるだろうな」
「はい……」
「小十郎に成実に綱元、原田や留守、白石……他にも大勢の奴らが俺と関わってくれた
もちろんお前もそのひとりだ
だからこそ竜の天下を掴めたんだと俺は思ってる」
「おい小十郎、梵が殊勝なこと言ってるぞ……」
「黙って聞いておけ」
どうして成実さんは要らんこと兄様を怒らせようとしてしまうのか……
でも私も成実さんと似たようなことはちょっと思っちゃったから、人のことは言えない
「燃やせと書いておいたはずのletterが、なぜか燃やされずに残っていたくらいだ
お前の小っ恥ずかしい何かも、あれこれ残ってるだろうな」
「う、うわぁ……」
本当にそれだけは嫌すぎる
貴重な資料とかじゃないから残さないでほしい
薙刀は残ってくれてもいいから……
「唯一残ってほしいと思えたletterは、最後にお前へ宛てたやつだけだ」
いかなる時も伊達者であれ
その言葉は、たしかに私の支えだった
死の淵に立っていた私の心を優しく奮い立たせる一言だった
「……私も、あの手紙はずっと残り続けてほしいと思います」
「残ってるさ、きっとな
ああいう直筆の手紙はなぜか、やらかした内容のやつが残りやすいらしい
だが病床の妹へ宛てた、最初で最後のmessageだ
残すにゃ丁度いいネタだろうぜ」
静かにそう告げて、兄様は少しだけ寂しそうに微笑んだ
この世界が竜の天下を経た歴史であれば……なんて、きっと私たちの誰もが一度は願ったことだ
そうすれば私が死んだ後の兄様たちの功績も、その後の日の本がどうなったのかも、私たちは詳細に知ることができただろう
(……あの時代を知る人たちは、ほんのひと握り
大っぴらに語れるものでもないし、この世界とは何もかもが違う結末を辿った歴史だ
でも……まったく違う世界だからこそ、私たちはきっとこうして再会できた)
思いを馳せて、懐かしむことしかできないけれど、あの世界はたしかに私たちの故郷だったから
もしこの生を終えてまた生まれ変われるなら、私たちが駆け抜けた時代の続きである世界を生きてみたい
墨絵の間と菊の間もしっかりと眺めて、私たちは入口へ戻ってきた
靴を履いて外に出て、宝物庫へとみんなが歩いていく
観るだろ、というように成実さんの目が言っていたので、私も小走りで追いついた
「なにが展示されてるんでしょう?」
「んーそりゃ、瑞巌寺にまつわるあれこれ」
「それはそうでしょうけど」
「まあふわっと観るだけでいいよ、長居できるほど時間もねぇし」
「このあと観瀾亭にも行くんだろ
今の時期は閉まるのが早いからな……」
そういえばそうだった……
冬の東北は日没が早いから、どこもかしこも夕方四時で終わりなんだった……
そう考えると、瑞巌寺でかなり時間を取ってしまったのでは!?
観瀾亭、間に合うかな……!?
