番外編2 宮城旅行松島編
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二時を手前にした頃、私たちはとうとう瑞巌寺へとやってきた
大通りや船着場に比べて、こちらはそれほど人が多いわけではないらしい
参道を挟むように杉の木が植えられていて、右手側の山肌には、謎の洞穴が無数に並んでいた
拝観料を自動券売機で買って、いざ中へ
「静かですね……」
「そうですな」
道沿いに歩いて本堂へ入ろうとした私たちを置いて、兄様がスタスタとどこかへ歩いていく
慌てて兄様を追いかけると、そこは枯山水のお庭が広がっていた
「おお、侘び寂び……」
「ああそっか、庭だけなら写真撮っていいんだっけか」
「そうなんですか?」
成実さんが頷いた
ならばと記念にスマートフォンでパシャリ
さすがに本堂の中は撮影禁止だろうから、内部の様子を映せるのは貴重だ
「Are you satisfied?」
「はい!」
兄様が私の頭をポンと撫でて、本堂へと歩き始める
いよいよ瑞巌寺の本堂に入れるんだ……!
日本史の資料集では見たことあるけど、実物は初めて見るぞ……!
参道を奥に進んで、真っ白な壁の本堂が現れる
「趣のある佇まいですねぇ」
「写真撮るか?」
「誰もいねぇからshutter chanceだぞ」
二人にそう言われて、ありがたく外観を撮らせてもらった
堂内は心のカメラで撮影するしかない
本堂に上がる前に靴を脱いで、スリッパに履き替える
軋む床を鳴らしながら堂内へ
順路通りに歩いていくと、程なくして煌びやかなお部屋が現れた
「わ……これが……」
「高校の日本史で習いましたか?」
「はい、資料集で飽きるほど眺めました
すごい……実在するんだ……」
「そりゃするだろ」
「気持ちは分からんでもないがな」
ここは松の間
狩野派の一門が描いたという襖絵は、戦後に修復を施されたらしく、鮮やかな様相を見せている
ただただその美しさに圧倒されていると、笑った成実さんが肩を叩いて先を促してきた
「孔雀の間もすごいぞ」
「う……今のが目玉ではないことは分かってるんですけど……
だって狩野派ですよ……!?」
「さすが、よく知ってんな」
なんなら隣にある鷹の間でまたもや私の足が止まった
鷲や鷹といった猛禽類が描かれ、勇猛な印象を受ける
この部屋は伊達家の重臣の控え室だったというから、この絵柄も納得だ
食い入るように見つめすぎたせいか、成実さんがまた肩を叩いて現実に戻しにきた
「そこまで熱心に見てくれるなら、あの世で伊達政宗も喜んでるだろうぜ」
「か、揶揄ってます?」
「別に揶揄っては……ふは、ちょっとだけ」
「ちょっとじゃない気がするんですけど!」
ケラケラと笑いながら成実さんが背中を押していく
鷹の間の隣はいよいよ孔雀の間
そろりと覗いて──絶句した
そう、この部屋だ、この部屋こそ資料集に載っていた部屋だ
兄様もこういうの好きそうだな、なんて心の中で懐かしさに思いを馳せて
この世界で名を残した伊達政宗との類似点が垣間見えて、それがちょっと可笑しくて
「──」
「あーあ、固まっちまった」
「この部屋は瑞巌寺でも有名だからな」
「Overwhelmedしてやがる」
言葉が出ないとはまさにこの事だ
伊達の粋を集めた空間は、他の者を圧倒する輝きを見せつけてくる
「襖絵は右手側から左回りに、winter、summer、spring、autumnと四季を描いてる
正面に見えるsculptureは雲に飛天、虹梁には迦陵頻伽 ……imaginationした鳥だな
極楽にいて、綺麗な歌声を聞かせるんだそうだ」
「本人から解説してもらえるなんて贅沢ですね」
「俺じゃねぇ誰かだがな
ま、似たようなモンは俺も建てたが」
「似たようなも何も、ほぼお揃いだろ」
「政宗様しかり、伊達政宗しかり、やはり物の趣味は同じということでございますな」
「……褒められた気がしねぇぞ、小十郎」
ははは、と可笑しそうに肩を揺らして、小十郎さんが先を促した
名残惜しいけど、後ろにも観光客がいるもんね
私だけが独り占めしちゃいけない
孔雀の間の隣は、文王の間
もう見る部屋ぜんぶキラキラしてるや
「文王の間は伊達家一門の控え室だったらしいぜ」
「ってことは成実さんはこっちだ」
「そういうこったな」
「小十郎さんは鷹の間?」
「そうですな、片倉家は一門ではありませぬゆえ」
「……私は?」
「「上段の間」」
従兄弟組が揃った
上段の間って、名前からして明らかに藩主専用みたいな感じがするけど……?
そりゃ本家の人間だったわけだけど、さすがに……
「建てた俺がOK出したんだ、何の文句もねぇだろうが」
「恐れ多いという話をですね」
「本家の姫様が何を恐れてんだよ」
「何をと言われると……」
……なんだろう、扱いにというか
そんな大々的に持ち上げてもらわなくてもと思ってしまうというか
小十郎さんを振り返ると、小十郎さんは小首を傾げて、それから言った
「夕華様のことは政宗様と同等に扱うべし、と仰せつかっておりますれば」
「……誰にです?」
「無論、政宗様に」
「そうですか……そうですよね……」
たかだか国主の妹と天下人が、同格の扱いでいいわけがないと思うのだけども
私に引くほど甘い兄様のお考えだもん、もう諦めたほうが早い
遠い目をしたまま、私は文王の間から立ち去った
大通りや船着場に比べて、こちらはそれほど人が多いわけではないらしい
参道を挟むように杉の木が植えられていて、右手側の山肌には、謎の洞穴が無数に並んでいた
拝観料を自動券売機で買って、いざ中へ
「静かですね……」
「そうですな」
道沿いに歩いて本堂へ入ろうとした私たちを置いて、兄様がスタスタとどこかへ歩いていく
慌てて兄様を追いかけると、そこは枯山水のお庭が広がっていた
「おお、侘び寂び……」
「ああそっか、庭だけなら写真撮っていいんだっけか」
「そうなんですか?」
成実さんが頷いた
ならばと記念にスマートフォンでパシャリ
さすがに本堂の中は撮影禁止だろうから、内部の様子を映せるのは貴重だ
「Are you satisfied?」
「はい!」
兄様が私の頭をポンと撫でて、本堂へと歩き始める
いよいよ瑞巌寺の本堂に入れるんだ……!
日本史の資料集では見たことあるけど、実物は初めて見るぞ……!
参道を奥に進んで、真っ白な壁の本堂が現れる
「趣のある佇まいですねぇ」
「写真撮るか?」
「誰もいねぇからshutter chanceだぞ」
二人にそう言われて、ありがたく外観を撮らせてもらった
堂内は心のカメラで撮影するしかない
本堂に上がる前に靴を脱いで、スリッパに履き替える
軋む床を鳴らしながら堂内へ
順路通りに歩いていくと、程なくして煌びやかなお部屋が現れた
「わ……これが……」
「高校の日本史で習いましたか?」
「はい、資料集で飽きるほど眺めました
すごい……実在するんだ……」
「そりゃするだろ」
「気持ちは分からんでもないがな」
ここは松の間
狩野派の一門が描いたという襖絵は、戦後に修復を施されたらしく、鮮やかな様相を見せている
ただただその美しさに圧倒されていると、笑った成実さんが肩を叩いて先を促してきた
「孔雀の間もすごいぞ」
「う……今のが目玉ではないことは分かってるんですけど……
だって狩野派ですよ……!?」
「さすが、よく知ってんな」
なんなら隣にある鷹の間でまたもや私の足が止まった
鷲や鷹といった猛禽類が描かれ、勇猛な印象を受ける
この部屋は伊達家の重臣の控え室だったというから、この絵柄も納得だ
食い入るように見つめすぎたせいか、成実さんがまた肩を叩いて現実に戻しにきた
「そこまで熱心に見てくれるなら、あの世で伊達政宗も喜んでるだろうぜ」
「か、揶揄ってます?」
「別に揶揄っては……ふは、ちょっとだけ」
「ちょっとじゃない気がするんですけど!」
ケラケラと笑いながら成実さんが背中を押していく
鷹の間の隣はいよいよ孔雀の間
そろりと覗いて──絶句した
そう、この部屋だ、この部屋こそ資料集に載っていた部屋だ
兄様もこういうの好きそうだな、なんて心の中で懐かしさに思いを馳せて
この世界で名を残した伊達政宗との類似点が垣間見えて、それがちょっと可笑しくて
「──」
「あーあ、固まっちまった」
「この部屋は瑞巌寺でも有名だからな」
「Overwhelmedしてやがる」
言葉が出ないとはまさにこの事だ
伊達の粋を集めた空間は、他の者を圧倒する輝きを見せつけてくる
「襖絵は右手側から左回りに、winter、summer、spring、autumnと四季を描いてる
正面に見えるsculptureは雲に飛天、虹梁には
極楽にいて、綺麗な歌声を聞かせるんだそうだ」
「本人から解説してもらえるなんて贅沢ですね」
「俺じゃねぇ誰かだがな
ま、似たようなモンは俺も建てたが」
「似たようなも何も、ほぼお揃いだろ」
「政宗様しかり、伊達政宗しかり、やはり物の趣味は同じということでございますな」
「……褒められた気がしねぇぞ、小十郎」
ははは、と可笑しそうに肩を揺らして、小十郎さんが先を促した
名残惜しいけど、後ろにも観光客がいるもんね
私だけが独り占めしちゃいけない
孔雀の間の隣は、文王の間
もう見る部屋ぜんぶキラキラしてるや
「文王の間は伊達家一門の控え室だったらしいぜ」
「ってことは成実さんはこっちだ」
「そういうこったな」
「小十郎さんは鷹の間?」
「そうですな、片倉家は一門ではありませぬゆえ」
「……私は?」
「「上段の間」」
従兄弟組が揃った
上段の間って、名前からして明らかに藩主専用みたいな感じがするけど……?
そりゃ本家の人間だったわけだけど、さすがに……
「建てた俺がOK出したんだ、何の文句もねぇだろうが」
「恐れ多いという話をですね」
「本家の姫様が何を恐れてんだよ」
「何をと言われると……」
……なんだろう、扱いにというか
そんな大々的に持ち上げてもらわなくてもと思ってしまうというか
小十郎さんを振り返ると、小十郎さんは小首を傾げて、それから言った
「夕華様のことは政宗様と同等に扱うべし、と仰せつかっておりますれば」
「……誰にです?」
「無論、政宗様に」
「そうですか……そうですよね……」
たかだか国主の妹と天下人が、同格の扱いでいいわけがないと思うのだけども
私に引くほど甘い兄様のお考えだもん、もう諦めたほうが早い
遠い目をしたまま、私は文王の間から立ち去った
