番外編2 宮城旅行松島編
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湾内を一周して戻ってくると、時刻はお昼十二時
お昼の時間だ!
「松島から塩釜って近いんですね」
「ほぼ隣みたいなもんだよな」
片倉号は松島を離れ、すぐ近くの塩釜漁港へ
ここの市場でマイ海鮮丼を作ろうというわけだ
うーん、楽しみ!
「着いたぞー」
あっという間に塩釜漁港に到着して、みんなで車を降りる
漁港の中は観光客がちらほら残っているけど、店はほとんどの魚を売り終えて帰り支度をしようとしていた
「やっぱmorningじゃねぇと残ってねぇか」
「でも選り好みしなけりゃいろいろあるっぽいぜ?」
そう言う成実さんの手には、既にイクラとサーモンとえんがわが握られている
私も負けじと同じものを取った
お会計をして、さらに載せるネタを探していると
「お姉さーん、海鮮丼にマグロ載せない?
千円引きでいいよ」
「せ、千円引き!?
マグロのブロックが!?」
とんでもない声掛けに反応してしまった
本当に千円引きになったマグロを、お店のおかみさんが刺身用に切ってくれているので、それを待つ間、店主さんとのおしゃべりに興じることにした
「お兄さんたち、どこから来たの?」
「東京からです
一週間くらい休みを取って、観光に」
「今日来たの?」
「あ、いえ、一昨日からです
今朝まで白石にいて」
「明日は仙台に行くんだよな」
「白石、松島、仙台か
伊達政宗関連の聖地巡りかな?」
「あ、あはは、そうです……」
バレてる……ものすごくバレてる……
おかみさんが新しいトレーに刺身を載せて、パッケージングまでしてくれた
どうやら兄様たちや従者組とは別のグループだと思われたらしく、おじさんは私たちが去った後、兄様達にも声をかけているようだった
「ほかに載せたいもんは?」
「もう充分、豪華な海鮮丼になりそ……あっ」
見えてしまった
あの高級食材の文字が
「成実さん」
「ん?」
「ウニあります」
「買うぞ」
「やった!」
張り切ってお店に向かい、ウニとイカとタコの刺身もゲット
凄まじい単価の海鮮丼になりそうだけど気にしない
普段から節約に務めているのは、旅行で金額を気にせずお金を使うためだ!
こうして出来上がった私と成実さんの海鮮丼は、ご飯が見えなくなるほどネタで埋め尽くされた
名付けるなら、ウニえんがわイカ鮪タコの海鮮親子丼
もはややりすぎだ
「あれこれ載せすぎて逆に風情がないですね、これ」
「すげーことなったな」
兄様達はどんな海鮮丼を……と丼の中を覗き込む
エビや蟹、鮪といったお高い食材が綺麗に乗せられていた
「私たちより単価高そう」
「まあ梵だし」
たしかにそれはそうか
我らが奥州筆頭が、一番良いものを食べなくてどうするんだ
「ん、美味しい!」
「やっぱ朝に水揚げされた魚だから新鮮だな」
「鮪がこんなにたくさん食べられるなんて……
ウニといくらも美味しいですね」
「鮪そんなに好きだったのか
言ってくれりゃあ、寿司屋で好きなだけ頼んでやったのに」
「回転寿司の鮪で充分美味しいです」
「なんで回らない寿司屋だってバレたんだよ」
「成実さん、私に関することになると、急にリミッターが壊れるじゃないですか」
ごにょごにょと何かを言い返して、成実さんは海鮮丼を大口で食べた
リミッターが馬鹿になるのは成実さんだけじゃないし、どちらかと言うと兄様のほうが壊れ方もすごいことになるんだけど……
とにかくそういう甘やかし方は、逆に私の気が引けるので遠慮したいのが本音だ
回転寿司に行って「値段を気にせず好きなだけどうぞ」と言ってくれる、小十郎さんくらいの甘やかし方のほうが気兼ねなく頷ける
「食べた後ってどこに行くんですっけ」
「お待ちかねの瑞巌寺だ」
「え!!」
「おー、伊達政宗が建てた国宝だぞ
期待しとけ」
これまた日本史の資料集で見たお寺が……!
やっぱり歴史的建造物は自分の目で見るほうがいい
入試にすら出てくるような建物や文化財が、現実に存在するんだって見せつけられるのは、とても贅沢なことだもん
「好きなだけ居座っていいぞ
午後からの予定は瑞巌寺しかないから」
「好きなだけ居座ります!」
「あ、でも、観瀾亭も入りたいなら入るか?」
「観瀾亭?」
「伊達政宗が豊臣秀吉から拝領した、伏見桃山城の一部だよ
中で茶が飲めるようになってて……
ど、どうした、顔すごいことなってんぞ」
……いや、わかってる、この世界の伊達政宗は天下を取れなかった
豊臣秀吉に表面上は従うふりをしながら、水面下では反発していたけど、最後には天下を手にした徳川家に頭を垂れた
だからこそ伊達家が今日まで残っているんだって、分かってはいる、けれども
「伊達政宗が豊臣秀吉の下につくなんて、字面だけでも嫌悪感があって……」
「梵のことじゃねぇだろ」
「だとしてもです……」
本当に産まれてくるのが二十年早かったら、どうなってたか分からなかったのに……
許せない……この日本の歴史が許せない……
「四百年前の建物で茶が飲めるんだ、すげー、くらいに思っとけよ」
「成実さんは何も思わないんですか?」
「だって梵のことじゃねーし
梵だって自分のこととは切り離して考えてるよ
だって俺たちが生きてきた歴史と、この世界が辿った歴史は、あまりにも違いすぎる
伊達が天下を取るなんて、そんなの伊達政宗からしたら、とんだ夢物語だっただろうしさ」
だからかの独眼竜が注力したのは、豊臣政権下ではとにかく家を守ること
徳川の時代では、外様の大名としてできる限り伊達家をいい立場に存続させること
秀忠と五郎八姫の婚姻も、そのひとつではあっただろう
「そもそも俺たちにはお前がいなきゃいけねぇんだ
お前の存在がない伊達家の歴史なんて、俺たちに重なるわけないだろ」
言い切った成実さんが海鮮丼をかき込んだ
みんな、そんなものなのかな
私が考えすぎなだけなんだろうか
もちろん私だって、この世界の伊達政宗と兄様が全くの別人だって、分かってはいる
それでも伊達政宗が誰かの下についた、なんて歴史を、惜しく思ってしまうんだ
「伊達政宗のことも好きなのは分かってるけど、あんまり肩入れすると、梵がヤキモチ妬くからな?」
「妬くかなぁ、そんなので……」
ふと頬杖をついてこちらを見ていた兄様と目が合って、小首を傾げる
フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らして、兄様はトレーを手に席を立ち
「お前は竜の天下を手にしたこの奥州筆頭よりも、天下を取れもせずお山の大将に諂うしかなかった男が好きだってのか?」
「分かりやすく妬いてる……」
兄様はそのままトレーを返却しに行ってしまった
先程の質問に答えるなら、もちろんNoだ
私の愛する伊達政宗は、苦境にも強敵にも立ち向かい、不敵な笑みで戦場を駆け抜けた、あの奥州筆頭なのだから
そして私の大切な人たちも、最愛の人も、この世界で同じ名前を持つ人物ではない
私たちしか覚えていない日の本で、たしかに存在した竜の天下を、共に目指してきた人たちをこそ、私は大切にしていたい
それはそれとして、今生の歴史に名を残した伊達家のことも、大切にしたいと思う
うん、きっとそれがいい
この世界において伊達政宗には妹なんていなかった
だから私の存在そのものが、どこかの世界で天下を治めた伊達政宗の存在を証明してくれるはずだから
お昼の時間だ!
「松島から塩釜って近いんですね」
「ほぼ隣みたいなもんだよな」
片倉号は松島を離れ、すぐ近くの塩釜漁港へ
ここの市場でマイ海鮮丼を作ろうというわけだ
うーん、楽しみ!
「着いたぞー」
あっという間に塩釜漁港に到着して、みんなで車を降りる
漁港の中は観光客がちらほら残っているけど、店はほとんどの魚を売り終えて帰り支度をしようとしていた
「やっぱmorningじゃねぇと残ってねぇか」
「でも選り好みしなけりゃいろいろあるっぽいぜ?」
そう言う成実さんの手には、既にイクラとサーモンとえんがわが握られている
私も負けじと同じものを取った
お会計をして、さらに載せるネタを探していると
「お姉さーん、海鮮丼にマグロ載せない?
千円引きでいいよ」
「せ、千円引き!?
マグロのブロックが!?」
とんでもない声掛けに反応してしまった
本当に千円引きになったマグロを、お店のおかみさんが刺身用に切ってくれているので、それを待つ間、店主さんとのおしゃべりに興じることにした
「お兄さんたち、どこから来たの?」
「東京からです
一週間くらい休みを取って、観光に」
「今日来たの?」
「あ、いえ、一昨日からです
今朝まで白石にいて」
「明日は仙台に行くんだよな」
「白石、松島、仙台か
伊達政宗関連の聖地巡りかな?」
「あ、あはは、そうです……」
バレてる……ものすごくバレてる……
おかみさんが新しいトレーに刺身を載せて、パッケージングまでしてくれた
どうやら兄様たちや従者組とは別のグループだと思われたらしく、おじさんは私たちが去った後、兄様達にも声をかけているようだった
「ほかに載せたいもんは?」
「もう充分、豪華な海鮮丼になりそ……あっ」
見えてしまった
あの高級食材の文字が
「成実さん」
「ん?」
「ウニあります」
「買うぞ」
「やった!」
張り切ってお店に向かい、ウニとイカとタコの刺身もゲット
凄まじい単価の海鮮丼になりそうだけど気にしない
普段から節約に務めているのは、旅行で金額を気にせずお金を使うためだ!
こうして出来上がった私と成実さんの海鮮丼は、ご飯が見えなくなるほどネタで埋め尽くされた
名付けるなら、ウニえんがわイカ鮪タコの海鮮親子丼
もはややりすぎだ
「あれこれ載せすぎて逆に風情がないですね、これ」
「すげーことなったな」
兄様達はどんな海鮮丼を……と丼の中を覗き込む
エビや蟹、鮪といったお高い食材が綺麗に乗せられていた
「私たちより単価高そう」
「まあ梵だし」
たしかにそれはそうか
我らが奥州筆頭が、一番良いものを食べなくてどうするんだ
「ん、美味しい!」
「やっぱ朝に水揚げされた魚だから新鮮だな」
「鮪がこんなにたくさん食べられるなんて……
ウニといくらも美味しいですね」
「鮪そんなに好きだったのか
言ってくれりゃあ、寿司屋で好きなだけ頼んでやったのに」
「回転寿司の鮪で充分美味しいです」
「なんで回らない寿司屋だってバレたんだよ」
「成実さん、私に関することになると、急にリミッターが壊れるじゃないですか」
ごにょごにょと何かを言い返して、成実さんは海鮮丼を大口で食べた
リミッターが馬鹿になるのは成実さんだけじゃないし、どちらかと言うと兄様のほうが壊れ方もすごいことになるんだけど……
とにかくそういう甘やかし方は、逆に私の気が引けるので遠慮したいのが本音だ
回転寿司に行って「値段を気にせず好きなだけどうぞ」と言ってくれる、小十郎さんくらいの甘やかし方のほうが気兼ねなく頷ける
「食べた後ってどこに行くんですっけ」
「お待ちかねの瑞巌寺だ」
「え!!」
「おー、伊達政宗が建てた国宝だぞ
期待しとけ」
これまた日本史の資料集で見たお寺が……!
やっぱり歴史的建造物は自分の目で見るほうがいい
入試にすら出てくるような建物や文化財が、現実に存在するんだって見せつけられるのは、とても贅沢なことだもん
「好きなだけ居座っていいぞ
午後からの予定は瑞巌寺しかないから」
「好きなだけ居座ります!」
「あ、でも、観瀾亭も入りたいなら入るか?」
「観瀾亭?」
「伊達政宗が豊臣秀吉から拝領した、伏見桃山城の一部だよ
中で茶が飲めるようになってて……
ど、どうした、顔すごいことなってんぞ」
……いや、わかってる、この世界の伊達政宗は天下を取れなかった
豊臣秀吉に表面上は従うふりをしながら、水面下では反発していたけど、最後には天下を手にした徳川家に頭を垂れた
だからこそ伊達家が今日まで残っているんだって、分かってはいる、けれども
「伊達政宗が豊臣秀吉の下につくなんて、字面だけでも嫌悪感があって……」
「梵のことじゃねぇだろ」
「だとしてもです……」
本当に産まれてくるのが二十年早かったら、どうなってたか分からなかったのに……
許せない……この日本の歴史が許せない……
「四百年前の建物で茶が飲めるんだ、すげー、くらいに思っとけよ」
「成実さんは何も思わないんですか?」
「だって梵のことじゃねーし
梵だって自分のこととは切り離して考えてるよ
だって俺たちが生きてきた歴史と、この世界が辿った歴史は、あまりにも違いすぎる
伊達が天下を取るなんて、そんなの伊達政宗からしたら、とんだ夢物語だっただろうしさ」
だからかの独眼竜が注力したのは、豊臣政権下ではとにかく家を守ること
徳川の時代では、外様の大名としてできる限り伊達家をいい立場に存続させること
秀忠と五郎八姫の婚姻も、そのひとつではあっただろう
「そもそも俺たちにはお前がいなきゃいけねぇんだ
お前の存在がない伊達家の歴史なんて、俺たちに重なるわけないだろ」
言い切った成実さんが海鮮丼をかき込んだ
みんな、そんなものなのかな
私が考えすぎなだけなんだろうか
もちろん私だって、この世界の伊達政宗と兄様が全くの別人だって、分かってはいる
それでも伊達政宗が誰かの下についた、なんて歴史を、惜しく思ってしまうんだ
「伊達政宗のことも好きなのは分かってるけど、あんまり肩入れすると、梵がヤキモチ妬くからな?」
「妬くかなぁ、そんなので……」
ふと頬杖をついてこちらを見ていた兄様と目が合って、小首を傾げる
フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らして、兄様はトレーを手に席を立ち
「お前は竜の天下を手にしたこの奥州筆頭よりも、天下を取れもせずお山の大将に諂うしかなかった男が好きだってのか?」
「分かりやすく妬いてる……」
兄様はそのままトレーを返却しに行ってしまった
先程の質問に答えるなら、もちろんNoだ
私の愛する伊達政宗は、苦境にも強敵にも立ち向かい、不敵な笑みで戦場を駆け抜けた、あの奥州筆頭なのだから
そして私の大切な人たちも、最愛の人も、この世界で同じ名前を持つ人物ではない
私たちしか覚えていない日の本で、たしかに存在した竜の天下を、共に目指してきた人たちをこそ、私は大切にしていたい
それはそれとして、今生の歴史に名を残した伊達家のことも、大切にしたいと思う
うん、きっとそれがいい
この世界において伊達政宗には妹なんていなかった
だから私の存在そのものが、どこかの世界で天下を治めた伊達政宗の存在を証明してくれるはずだから
