番外編1 宮城旅行白石編
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成実さんはまだお風呂に入っていないらしくて、せっかくならゆっくりしたいからと部屋に戻った
ものの十数分で戻ってきた辺り、自分にちょっと無頓着なのが透けて見える
ゆっくりとは何だったのか
「成実さん、ちゃんと温まりました?」
「ガキじゃあるまいし、ちゃんと温まってきたっての
男は風呂が早いもんなんだよ、まぁ例外はあるけどな」
成実さんがテレビの番組表を見ながらそう言った
見事にローカル番組がたくさんだ
でも結局は気になる番組もなかったらしくて、成実さんはテレビをすぐ消してしまった
「どうだったよ、白石は?
俺らの知ってる白石じゃないけどさ」
「楽しかったです
知らない土地だけど、なんだか親近感を感じちゃいました」
「小十郎が聞いたら泣いて喜ぶだろうなぁ
口には出さなかったけど、小十郎はお前にも白石に来てほしかったらしくてさ」
「……そうだったんですか」
私が来たら御成御殿に通したと言ってくれたくらいだ
きっと私のこともおもてなししたかったんだろうな
私のことも仕える相手だって、小十郎さんはそう言ってくれたから
「ああでも、この世界の白石とは違うところもあるな
こっちの白石の石高は一万五千だったけど、小十郎が梵からもらった白石は五万石くらいはあったと思うぞ」
「えっ、そんなに?」
「まあ伊達家で一番の功労者だし、天下人の右目だろ?
梵本人はもっとあげたかったらしいけど、小十郎が断ったんだよ」
それならもっと裕福な暮らしをしていたかもしれないな、海夜たちは
でも雪に降られる土地なのは同じだっただろうから、白石の不便さも楽しんでいたというのは本当なのかも
それにしても小十郎さんが五万石の殿様かぁ……
ちょっと想像できないかも
「五万石って、大森と変わらないんじゃ……」
「ん?
いや、うちは十万石……だった、途中までは」
「……途中まで?」
「俺が五十くらいの頃に、亘理まで土地をもらったんだよ」
「結局!?」
「そ、結局
だからまあ、伊達成実ってのは、亘理に縁がある人間なんだろうな」
「それ最終的な石高は……」
「……亘理だけで三万石」
「大森を足すと……?」
「……詳しくは言わねぇが本家から怒られた、なぜか隠居した俺が」
本家、すなわち仙台伊達家からすれば、そりゃやり過ぎってなもんだ
一門第二席の家とはいえ、あまりにも収入が多いとパワーバランスも崩れる
しかし春が怒られるのではなく、隠居した成実さんが怒られたのか……
まあ塩田を含めて、亘理の土地の開発を始めたのは成実さんだもんね!
「いいじゃねぇか、一部は仙台伊達家の収入になるんだしよ!
そもそも塩田の開発だって、やれって言ったのは梵だぞ!?
なんで指示に従った俺が忠宗から怒られなきゃいけねーんだよ!?」
「限度ってものがあるんですよ、世の中には」
「忠宗とおんなじこと言うじゃねーか!」
「言われたんですね……」
でも大森から海沿いの亘理までとなると、相当な領地だな
さすが天下を治めた伊達家一門の第二席
そりゃあ本家も「そんだけ領地もらってて更に増やすのか」となるわけだ
ま、まあ、大森伊達家も仙台伊達家も収入が増えてよかったってことで……
「……流石に増えすぎたらしくて、大森と亘理で家を分けたんじゃなかったかな
春がそんなこと言ってた気がするが……そこら辺は自信ないや」
「あれ、そうなんですか」
「少なくとも春に家督を譲ったときは、亘理のほうまで大森伊達家で頑張ってたぞ
さすがに春の手には負えなくなって、孫の代で分けるって話が持ち上がったらしくてさ
春のやつ、お前に似て律儀だろ?
家を分けていいかって、わざわざ俺のところに聞きに来たもんな」
そのあとどうなったかは知らねぇけど、と成実さんが付け加える
そういえば春って子供は何人いたんだろう
家を分けられるくらいだから、男の子が二人いるのは確定したんだけど
女の子はいなかったのかな
「孫は何人できたんですか?」
「たしか春の子供が二男二女だったな
海夜は一男三女だったっけ」
「孫が八人か……」
「あの時代じゃ珍しくねぇけどな
俺もお前が病気にならなけりゃ、あと三人は欲しかったし」
「男の子?」
「最低でも男子はあと一人いたほうが安心できたな
……あの時代は、病気だなんだで死にやすかっただろ
跡取りの春に何かあったらと思うと、ちょっとな」
「……」
「あーほらもう、落ち込むなよ
俺だってちゃんとその辺は考えたんだ
考えた上で、継室はもらわないって決めた
大森伊達家は俺と夕華で始まった家だから、お前と俺の子供である春に繋げてほしいって思ったしな」
俯いてしまった私を、成実さんがあやすように抱き締める
どうしてこの話を今日ここに至るまで明かさなかったのかは分からない
でも成実さんのことだから、聞かれなかったから言わなかったとか何とか、言いそうだな
「昔の話、たくさん聞けて嬉しいです」
「気にするかと思って、話せなかったんだ
お前はなんにも悪くねぇのに、すぐ自分のせいにしようとするだろ」
私は何も悪くない
さらりと成実さんがそう言ってくれるから、私もいくらか心が救われている
いろんな人たちを残して死んでしまったことは、私の中でたしかな後悔として蟠りとなっている
けれどそんなふうに思う必要なんてないと、他の誰でもない成実さんが言ってくれるから
「……今度は長生きします」
「おう、そうしてくれ
俺も長生きするから」
初めてではない約束を交わして、成実さんが私の額にキスを落とした
あれやこれやと驚きの新事実が出てきた過去の思い出話は、一旦そこで終了になったようだ
そういえばそろそろ夕食の時間かな
時計を見た成実さんに頷いて、一緒に部屋を出る
「今日の献立はなーにかなー?」
「Main dishは仙台牛のsteakだとよ」
「あ、兄様……小十郎さんもいる」
「政宗様と離れているとどうにも落ち着かず……」
「ワーカーホリックも大概にしとけよな、小十郎……」
成実さんがげんなりした顔でそう言って、廊下の先を振り返った
喜多さんと留守さんと白石さんが見えるな……
どれだけ夕食が待ち遠しかったのやら
そんなこんなで、廊下で全員と出くわした私たちは、そのまま仲良く宴会場へと向かったのだった
ものの十数分で戻ってきた辺り、自分にちょっと無頓着なのが透けて見える
ゆっくりとは何だったのか
「成実さん、ちゃんと温まりました?」
「ガキじゃあるまいし、ちゃんと温まってきたっての
男は風呂が早いもんなんだよ、まぁ例外はあるけどな」
成実さんがテレビの番組表を見ながらそう言った
見事にローカル番組がたくさんだ
でも結局は気になる番組もなかったらしくて、成実さんはテレビをすぐ消してしまった
「どうだったよ、白石は?
俺らの知ってる白石じゃないけどさ」
「楽しかったです
知らない土地だけど、なんだか親近感を感じちゃいました」
「小十郎が聞いたら泣いて喜ぶだろうなぁ
口には出さなかったけど、小十郎はお前にも白石に来てほしかったらしくてさ」
「……そうだったんですか」
私が来たら御成御殿に通したと言ってくれたくらいだ
きっと私のこともおもてなししたかったんだろうな
私のことも仕える相手だって、小十郎さんはそう言ってくれたから
「ああでも、この世界の白石とは違うところもあるな
こっちの白石の石高は一万五千だったけど、小十郎が梵からもらった白石は五万石くらいはあったと思うぞ」
「えっ、そんなに?」
「まあ伊達家で一番の功労者だし、天下人の右目だろ?
梵本人はもっとあげたかったらしいけど、小十郎が断ったんだよ」
それならもっと裕福な暮らしをしていたかもしれないな、海夜たちは
でも雪に降られる土地なのは同じだっただろうから、白石の不便さも楽しんでいたというのは本当なのかも
それにしても小十郎さんが五万石の殿様かぁ……
ちょっと想像できないかも
「五万石って、大森と変わらないんじゃ……」
「ん?
いや、うちは十万石……だった、途中までは」
「……途中まで?」
「俺が五十くらいの頃に、亘理まで土地をもらったんだよ」
「結局!?」
「そ、結局
だからまあ、伊達成実ってのは、亘理に縁がある人間なんだろうな」
「それ最終的な石高は……」
「……亘理だけで三万石」
「大森を足すと……?」
「……詳しくは言わねぇが本家から怒られた、なぜか隠居した俺が」
本家、すなわち仙台伊達家からすれば、そりゃやり過ぎってなもんだ
一門第二席の家とはいえ、あまりにも収入が多いとパワーバランスも崩れる
しかし春が怒られるのではなく、隠居した成実さんが怒られたのか……
まあ塩田を含めて、亘理の土地の開発を始めたのは成実さんだもんね!
「いいじゃねぇか、一部は仙台伊達家の収入になるんだしよ!
そもそも塩田の開発だって、やれって言ったのは梵だぞ!?
なんで指示に従った俺が忠宗から怒られなきゃいけねーんだよ!?」
「限度ってものがあるんですよ、世の中には」
「忠宗とおんなじこと言うじゃねーか!」
「言われたんですね……」
でも大森から海沿いの亘理までとなると、相当な領地だな
さすが天下を治めた伊達家一門の第二席
そりゃあ本家も「そんだけ領地もらってて更に増やすのか」となるわけだ
ま、まあ、大森伊達家も仙台伊達家も収入が増えてよかったってことで……
「……流石に増えすぎたらしくて、大森と亘理で家を分けたんじゃなかったかな
春がそんなこと言ってた気がするが……そこら辺は自信ないや」
「あれ、そうなんですか」
「少なくとも春に家督を譲ったときは、亘理のほうまで大森伊達家で頑張ってたぞ
さすがに春の手には負えなくなって、孫の代で分けるって話が持ち上がったらしくてさ
春のやつ、お前に似て律儀だろ?
家を分けていいかって、わざわざ俺のところに聞きに来たもんな」
そのあとどうなったかは知らねぇけど、と成実さんが付け加える
そういえば春って子供は何人いたんだろう
家を分けられるくらいだから、男の子が二人いるのは確定したんだけど
女の子はいなかったのかな
「孫は何人できたんですか?」
「たしか春の子供が二男二女だったな
海夜は一男三女だったっけ」
「孫が八人か……」
「あの時代じゃ珍しくねぇけどな
俺もお前が病気にならなけりゃ、あと三人は欲しかったし」
「男の子?」
「最低でも男子はあと一人いたほうが安心できたな
……あの時代は、病気だなんだで死にやすかっただろ
跡取りの春に何かあったらと思うと、ちょっとな」
「……」
「あーほらもう、落ち込むなよ
俺だってちゃんとその辺は考えたんだ
考えた上で、継室はもらわないって決めた
大森伊達家は俺と夕華で始まった家だから、お前と俺の子供である春に繋げてほしいって思ったしな」
俯いてしまった私を、成実さんがあやすように抱き締める
どうしてこの話を今日ここに至るまで明かさなかったのかは分からない
でも成実さんのことだから、聞かれなかったから言わなかったとか何とか、言いそうだな
「昔の話、たくさん聞けて嬉しいです」
「気にするかと思って、話せなかったんだ
お前はなんにも悪くねぇのに、すぐ自分のせいにしようとするだろ」
私は何も悪くない
さらりと成実さんがそう言ってくれるから、私もいくらか心が救われている
いろんな人たちを残して死んでしまったことは、私の中でたしかな後悔として蟠りとなっている
けれどそんなふうに思う必要なんてないと、他の誰でもない成実さんが言ってくれるから
「……今度は長生きします」
「おう、そうしてくれ
俺も長生きするから」
初めてではない約束を交わして、成実さんが私の額にキスを落とした
あれやこれやと驚きの新事実が出てきた過去の思い出話は、一旦そこで終了になったようだ
そういえばそろそろ夕食の時間かな
時計を見た成実さんに頷いて、一緒に部屋を出る
「今日の献立はなーにかなー?」
「Main dishは仙台牛のsteakだとよ」
「あ、兄様……小十郎さんもいる」
「政宗様と離れているとどうにも落ち着かず……」
「ワーカーホリックも大概にしとけよな、小十郎……」
成実さんがげんなりした顔でそう言って、廊下の先を振り返った
喜多さんと留守さんと白石さんが見えるな……
どれだけ夕食が待ち遠しかったのやら
そんなこんなで、廊下で全員と出くわした私たちは、そのまま仲良く宴会場へと向かったのだった
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