番外編1 宮城旅行白石編
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とんでもなく急な階段を上った先からは、現代の白石市内が見下ろせた
真っ白に染まった街並みは、きっと四百年前から変わらないのだろう
そこにある建物や生活様式が変わっても、この地域の人たちは、真冬の雪に困らされながらここで生きてきた
私たちの生きた世界の人たちも、きっと
「寒くはありませぬか」
「思ったほどではないです
暖かい格好を選んだつもりなので」
「しっかし、まあまあ積もったなー
仙台に慣れたお前にとっちゃあ珍しいだろ、なあ梵?」
「流石にここまでの雪は、仙台じゃ滅多にねぇからな
……お前らとsnowball fightしたのが懐かしい」
「あのあとしこたま怒られましたよね、私たち」
「梵も怒られてたよな」
「A-han?
記憶にねぇな」
「肯定してるようなもんだぞ、それ」
チッ、と舌打ちをして、兄様が成実さんの脛を蹴った
「なんでだよ!?」と悲鳴を上げながら、成実さんが悶絶する
可哀想に、成実さんがスルースキルを持たないせいで……
「降りるか」
「そうですね」
ほぼ垂直な階段を四人はさっさと降りていく
私は手すりに掴まりながら、そろりそろりと降りることしかできなかった
「大丈夫かー?」
「お、落ちそうで怖くて……!」
「No problem.
落ちてもcatchしてやる」
「落ちない方向でお願いします!!」
成実さんが手を伸ばしてくれて、最後は抱き抱えられながらどうにか着地
なんでみんなそんなにサクサク降りられるんだ
一番下の展示コーナーで成実さんが見つけたのは、おおきな一枚の紙
「ん、縄張りの図面か」
「本物ですか?」
「レプリカだろ、さすがに」
片倉家が白石城の城下町を整備したときのものだろうか
細かい字で家臣の家が書き込まれている
「……」
その図面を、小十郎さんは無言のままにじっと見つめていた
実際に小十郎さんが治めた白石と、この世界の白石は、どれくらい同じなんだろう
「どうですか?」
「夕華様」
「懐かしいものですか」
「……多少は
見覚えのある名が並んでおり、少々不思議な心地もありまするが」
「おーい、小十郎、夕華ー
降りるぞー」
「あ、はぁい」
成実さんの声が私たちを呼ぶ
この場で「小十郎」なんて名前を呼ぶもんだから、受付のおじさんが不思議な顔で小十郎さんを見上げていた
「どこ行くんですか?」
「城を降りたところに資料館があるから、そこに
本丸を復元したレプリカもあるらしいぞ」
成実さんが私の分のブーツを差し出しながらそう教えてくれた
ブーツに足を通して、ファスナーを閉める
小十郎さんが靴を履いたのを確認して、私たちは天守閣から降りた
城門を出て坂道を少し降りた先には資料館があって、暖を取る目的も兼ねてみんなでそこへ
二階の資料室を訪ねてみると、ものの見事に無人だった
「本当に貸切ですね……」
「こんな日に登城する奴なんか、余程の物好きだろ」
「私たちみたいな、ですか?」
「おう」
成実さんが資料室に入っていくので、私達もそれに続いた
資料としてはやはり片倉家由来のものが多め
一番奥には本当に本丸の復元模型があった
「やっぱり立派な本丸だったんですね」
「うわ、作りもまるきり一緒じゃねぇか
懐かしいなー、海夜と春を連れてたまに遊びに行ったもんだ」
「一番出入りしていたのは綱元か?」
「しょっちゅう来てたよな、あいつ」
「……そうだったな」
小十郎さんが顔をしかめた
そりゃあ海夜が影響を受けるわけだ……
「この御成御殿っていうのは?」
「そこは主に仙台伊達家の人間用だな
一番使ったことある奴がここにいるぞ」
成実さんの視線が兄様に向けられた
まあな、と兄様が事もなさげに頷く
「仙台伊達家のための、ですか……
私が行っても駄目だったかもしれないですね」
「いえ、夕華様のご来訪であれば、喜んで御成御殿へ通したことでしょう」
「え?
でも私、もう仙台伊達家の人間じゃ……」
「大森伊達家に嫁がれようとも、夕華様は政宗様の妹君──伊達家一の姫にござりまする
夕華様が白石へお越しになられる事があらば、この小十郎、全霊をもっておもてなし致しましたことでしょうな」
小十郎さんや他の皆さんにとって、私はいつまでも兄様の妹
もちろんそれだけが私を慕う理由ではないと知っているけれど、私は兄様と同じくらい大切な存在なんだと示されるのは、やっぱり背筋が伸びる思いだ
それはそうと、私も小十郎さんの治める白石城には行ってみたかったな
今、みんなでこうやって、この世に残る白石城を訪れたことで、叶わなかったその願いが少しだけ強くなってしまった
「成実さんたちが羨ましいです」
「は、俺?
なんで?」
「小十郎さんが治めていた白石城に行ったことあるって言ってたから」
「羨ましがる程のことかぁ?」
「そうおっしゃってくださることは、この小十郎にとりましても恐悦至極ではありまするが……
やはり仙台に比べますと何もない田舎であることは否めませぬ
夕華様が想像されておられる以上に、娯楽は少なかったかと」
「夕華にとっちゃ、amusementの少なさなんざ大した問題にはならねぇさ
小十郎の治めた白石ってのが重要なんであってな」
「そういうことです
さすが兄様、よく分かりましたね」
「何年お前の兄貴やってると思ってやがる」
当然のように告げられた一言が嬉しい
不意打ちのようにきゅんとさせられて、「えへへ」なんて締まりのない笑い声が出てしまった
すると、それまでまったくそんな素振りを見せなかった成実さんが、ムッとした顔で私の腕を引いて
「お前、梵のこと好きすぎ」
「急にどうしたんですか?
成実さんだって兄様のこと慕ってるのに」
「政宗様に妬いたのか
今更すぎるだろうに」
「っせーな、どうせ俺は夕華の事となると狭量な男だよ」
妬いたんだ……
成実さん、なんでそんな可愛いことするんだろう
余計に好きになっちゃうから勘弁してほしい
真っ白に染まった街並みは、きっと四百年前から変わらないのだろう
そこにある建物や生活様式が変わっても、この地域の人たちは、真冬の雪に困らされながらここで生きてきた
私たちの生きた世界の人たちも、きっと
「寒くはありませぬか」
「思ったほどではないです
暖かい格好を選んだつもりなので」
「しっかし、まあまあ積もったなー
仙台に慣れたお前にとっちゃあ珍しいだろ、なあ梵?」
「流石にここまでの雪は、仙台じゃ滅多にねぇからな
……お前らとsnowball fightしたのが懐かしい」
「あのあとしこたま怒られましたよね、私たち」
「梵も怒られてたよな」
「A-han?
記憶にねぇな」
「肯定してるようなもんだぞ、それ」
チッ、と舌打ちをして、兄様が成実さんの脛を蹴った
「なんでだよ!?」と悲鳴を上げながら、成実さんが悶絶する
可哀想に、成実さんがスルースキルを持たないせいで……
「降りるか」
「そうですね」
ほぼ垂直な階段を四人はさっさと降りていく
私は手すりに掴まりながら、そろりそろりと降りることしかできなかった
「大丈夫かー?」
「お、落ちそうで怖くて……!」
「No problem.
落ちてもcatchしてやる」
「落ちない方向でお願いします!!」
成実さんが手を伸ばしてくれて、最後は抱き抱えられながらどうにか着地
なんでみんなそんなにサクサク降りられるんだ
一番下の展示コーナーで成実さんが見つけたのは、おおきな一枚の紙
「ん、縄張りの図面か」
「本物ですか?」
「レプリカだろ、さすがに」
片倉家が白石城の城下町を整備したときのものだろうか
細かい字で家臣の家が書き込まれている
「……」
その図面を、小十郎さんは無言のままにじっと見つめていた
実際に小十郎さんが治めた白石と、この世界の白石は、どれくらい同じなんだろう
「どうですか?」
「夕華様」
「懐かしいものですか」
「……多少は
見覚えのある名が並んでおり、少々不思議な心地もありまするが」
「おーい、小十郎、夕華ー
降りるぞー」
「あ、はぁい」
成実さんの声が私たちを呼ぶ
この場で「小十郎」なんて名前を呼ぶもんだから、受付のおじさんが不思議な顔で小十郎さんを見上げていた
「どこ行くんですか?」
「城を降りたところに資料館があるから、そこに
本丸を復元したレプリカもあるらしいぞ」
成実さんが私の分のブーツを差し出しながらそう教えてくれた
ブーツに足を通して、ファスナーを閉める
小十郎さんが靴を履いたのを確認して、私たちは天守閣から降りた
城門を出て坂道を少し降りた先には資料館があって、暖を取る目的も兼ねてみんなでそこへ
二階の資料室を訪ねてみると、ものの見事に無人だった
「本当に貸切ですね……」
「こんな日に登城する奴なんか、余程の物好きだろ」
「私たちみたいな、ですか?」
「おう」
成実さんが資料室に入っていくので、私達もそれに続いた
資料としてはやはり片倉家由来のものが多め
一番奥には本当に本丸の復元模型があった
「やっぱり立派な本丸だったんですね」
「うわ、作りもまるきり一緒じゃねぇか
懐かしいなー、海夜と春を連れてたまに遊びに行ったもんだ」
「一番出入りしていたのは綱元か?」
「しょっちゅう来てたよな、あいつ」
「……そうだったな」
小十郎さんが顔をしかめた
そりゃあ海夜が影響を受けるわけだ……
「この御成御殿っていうのは?」
「そこは主に仙台伊達家の人間用だな
一番使ったことある奴がここにいるぞ」
成実さんの視線が兄様に向けられた
まあな、と兄様が事もなさげに頷く
「仙台伊達家のための、ですか……
私が行っても駄目だったかもしれないですね」
「いえ、夕華様のご来訪であれば、喜んで御成御殿へ通したことでしょう」
「え?
でも私、もう仙台伊達家の人間じゃ……」
「大森伊達家に嫁がれようとも、夕華様は政宗様の妹君──伊達家一の姫にござりまする
夕華様が白石へお越しになられる事があらば、この小十郎、全霊をもっておもてなし致しましたことでしょうな」
小十郎さんや他の皆さんにとって、私はいつまでも兄様の妹
もちろんそれだけが私を慕う理由ではないと知っているけれど、私は兄様と同じくらい大切な存在なんだと示されるのは、やっぱり背筋が伸びる思いだ
それはそうと、私も小十郎さんの治める白石城には行ってみたかったな
今、みんなでこうやって、この世に残る白石城を訪れたことで、叶わなかったその願いが少しだけ強くなってしまった
「成実さんたちが羨ましいです」
「は、俺?
なんで?」
「小十郎さんが治めていた白石城に行ったことあるって言ってたから」
「羨ましがる程のことかぁ?」
「そうおっしゃってくださることは、この小十郎にとりましても恐悦至極ではありまするが……
やはり仙台に比べますと何もない田舎であることは否めませぬ
夕華様が想像されておられる以上に、娯楽は少なかったかと」
「夕華にとっちゃ、amusementの少なさなんざ大した問題にはならねぇさ
小十郎の治めた白石ってのが重要なんであってな」
「そういうことです
さすが兄様、よく分かりましたね」
「何年お前の兄貴やってると思ってやがる」
当然のように告げられた一言が嬉しい
不意打ちのようにきゅんとさせられて、「えへへ」なんて締まりのない笑い声が出てしまった
すると、それまでまったくそんな素振りを見せなかった成実さんが、ムッとした顔で私の腕を引いて
「お前、梵のこと好きすぎ」
「急にどうしたんですか?
成実さんだって兄様のこと慕ってるのに」
「政宗様に妬いたのか
今更すぎるだろうに」
「っせーな、どうせ俺は夕華の事となると狭量な男だよ」
妬いたんだ……
成実さん、なんでそんな可愛いことするんだろう
余計に好きになっちゃうから勘弁してほしい
