番外編1 宮城旅行白石編
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──そんなこんなで十二月の中旬、仙台駅に到着
「寒い!」
「だって気温一桁だもん」
防寒対策バッチリの成実さんが、マフラーに口元を埋めて言った
宮城ツアーの参加者は兄様と私、成実さん、小十郎さんの四人
綱元さんは別邸の留守番役を買って出てくれたのだ
申し訳ないなと思ったけど、「寒いのが嫌なんだろ」とは成実さんの言葉だ
白石市内へはレンタカーを借りて移動するそうで、まずは四人で仲良くレンタカーショップへ
レンタカーショップには五分ほどで到着して、私たちは暖かさを求めてショップ内へ入った
「片倉様ですね、お待ちしておりました」
「ああ、よろしく頼む」
冷静に考えて、仙台の地で苗字が伊達と片倉なんて、もうここに縁のある人間としか思われないんじゃないだろうか
縁がないとは言わないけど、今の仙台とは無関係だしなぁ
聞かれたときにどう答えるべきか
ふと外を見やると、お店の前にワンボックスが停まっているので、恐らくこれを借りたんだろう
……まあ、大の大人が四人乗る上、それぞれがデカめのキャリーバッグを持ってきてるんだから、大きい車じゃなきゃ乗らないよね
手続きを終えて、さっそく後ろのシートを倒し、キャリーバッグを積み込む
運転席に小十郎さん、助手席に成実さんが乗り、小十郎さんの後ろに兄様が
私は成実さんの後ろに座った
「ではまずはキツネ村へ参ります」
「はーい!」
成実さんがカーナビを操作して、車が動き出した
流れていく街並みは栄えた地方都市
けれどそこから離れていくにつれ、景色は長閑な田舎の風景に変わっていく
なにより周りが田んぼだらけで、コンクリートジャングル育ちにはなおのこと新鮮だ
「今でも宮城は米どころなんですね」
「お前、本当に米好きだよな
いつきも喜んでたよ
あんなに美味そうに米食うお姫様は見たことねえって」
「だって実際、美味しかったですもん」
もちろん味は現代のお米のほうに軍配が上がる
それは品種改良を重ねて、美味しさと気候への強さを追求してくれた研究者の、汗と努力の結晶だ
けれど、あの時代のお米だって、私の中では美味しいお米だった
農民の皆が丹精込めて作ってくれた食材と、小十郎さんや城の人たちが心を込めて作ってくれた料理が、不味いはずもない
「お前って砂糖と塩を間違えても文句言わなさそうだよな」
「さすがにそれは文句言……う、と思います」
「断定じゃねぇんだな」
隣で兄様が笑っている
だって作ってくれたことはありがたいことだし……
「高速使うか?」
「下道でいいだろ
所要時間そんなに変わんないっぽいし」
一部不思議な会話が挟まりつつ、車は一般道を軽快に走って白石市内へ向かっていく
「兄様と小十郎さんは、白石に来られたことがあるんですか?」
「いいや、来るのは初めてだ」
「意外です、もう来たことがあるものと思ってました」
「いずれは足を向けねばとは思っておりました
この小十郎とは違う、しかしこの世で政宗様に仕えた片倉小十郎が治めた、同じ白石の名を持つ土地でございますゆえ」
「複雑なお気持ちが?」
「少しは
政宗様が天下を治めた日ノ本が今どうなっているのか、もはや確かめる術はございませぬゆえ……
再び生を受けたこの世が、我々の生きた時代の続きであったならどれほど、と思うことはございました」
それは私たちの誰もが心のどこかで思っていたことだ
私たちの生きた時代は、竜の天下は、四百年を経てどうなっているのだろう
やはり凄惨な戦争の時代を経験したのか、それとも別の形で存続しているのか──
知りたくても、私たちには知りようがない
「政宗様の治世は、良い時代であったと、誰もが口を揃えて讃えました
……が、その後の世を知る者は少ない
忠宗様の治世やその後にも続いた世を、恐らく誰も知らぬものと」
「俺も梵が死んで十年しか生きてねぇもんな
まあでも、うちの春千夜の話を聞く限りじゃあ、お前と似て堅実な政治だったらしいぜ?
なにより脱走癖も無いときた
そりゃあ優秀な天下人だったろうよ」
「兄様って、やることなすこと派手に見えて、政治は公明正大ですよね」
「俺のperformanceを民に強要してどうすんだ」
それはそうなんだろうけど
大森でも、そんな兄様の打ち出す策に、意義を唱える声は聞こえなかった
つくづく民の心に寄り添える国主だったというわけだ、まったく兄様は優秀すぎて困る
こういう話を聞けば聞くほど、兄様の世を少ししか生きられなかった自分が悔しいのだけれど
「夕華、喉が乾いたら好きに飲め」
「わ、ありがとうございます、兄様
兄様はどちらがお好きですか?」
兄様が差し出してくれたのは、仙台駅で買ったらしいお茶とジュースのペットボトル
片方は緑茶で、もう片方は某乳酸菌飲料だ
「好きなほうを選べ
お前が選ばなかったほうをもらう」
「じゃあ緑茶をいただきます」
「All right.」
キャップの蓋を開けて、こくこくと飲む
成実さんは炭酸ジュースで、小十郎さんはほうじ茶だ
気温零度なのに、みんなよく冷たいの飲めるな
車の中は暖房が効いていて暖かいから、冷たくても飲めるけど
わいわいと車内で会話が繰り広げられながら、片倉号は田舎道を南下していく
目的地までは、あと四十分ほどだ
「寒い!」
「だって気温一桁だもん」
防寒対策バッチリの成実さんが、マフラーに口元を埋めて言った
宮城ツアーの参加者は兄様と私、成実さん、小十郎さんの四人
綱元さんは別邸の留守番役を買って出てくれたのだ
申し訳ないなと思ったけど、「寒いのが嫌なんだろ」とは成実さんの言葉だ
白石市内へはレンタカーを借りて移動するそうで、まずは四人で仲良くレンタカーショップへ
レンタカーショップには五分ほどで到着して、私たちは暖かさを求めてショップ内へ入った
「片倉様ですね、お待ちしておりました」
「ああ、よろしく頼む」
冷静に考えて、仙台の地で苗字が伊達と片倉なんて、もうここに縁のある人間としか思われないんじゃないだろうか
縁がないとは言わないけど、今の仙台とは無関係だしなぁ
聞かれたときにどう答えるべきか
ふと外を見やると、お店の前にワンボックスが停まっているので、恐らくこれを借りたんだろう
……まあ、大の大人が四人乗る上、それぞれがデカめのキャリーバッグを持ってきてるんだから、大きい車じゃなきゃ乗らないよね
手続きを終えて、さっそく後ろのシートを倒し、キャリーバッグを積み込む
運転席に小十郎さん、助手席に成実さんが乗り、小十郎さんの後ろに兄様が
私は成実さんの後ろに座った
「ではまずはキツネ村へ参ります」
「はーい!」
成実さんがカーナビを操作して、車が動き出した
流れていく街並みは栄えた地方都市
けれどそこから離れていくにつれ、景色は長閑な田舎の風景に変わっていく
なにより周りが田んぼだらけで、コンクリートジャングル育ちにはなおのこと新鮮だ
「今でも宮城は米どころなんですね」
「お前、本当に米好きだよな
いつきも喜んでたよ
あんなに美味そうに米食うお姫様は見たことねえって」
「だって実際、美味しかったですもん」
もちろん味は現代のお米のほうに軍配が上がる
それは品種改良を重ねて、美味しさと気候への強さを追求してくれた研究者の、汗と努力の結晶だ
けれど、あの時代のお米だって、私の中では美味しいお米だった
農民の皆が丹精込めて作ってくれた食材と、小十郎さんや城の人たちが心を込めて作ってくれた料理が、不味いはずもない
「お前って砂糖と塩を間違えても文句言わなさそうだよな」
「さすがにそれは文句言……う、と思います」
「断定じゃねぇんだな」
隣で兄様が笑っている
だって作ってくれたことはありがたいことだし……
「高速使うか?」
「下道でいいだろ
所要時間そんなに変わんないっぽいし」
一部不思議な会話が挟まりつつ、車は一般道を軽快に走って白石市内へ向かっていく
「兄様と小十郎さんは、白石に来られたことがあるんですか?」
「いいや、来るのは初めてだ」
「意外です、もう来たことがあるものと思ってました」
「いずれは足を向けねばとは思っておりました
この小十郎とは違う、しかしこの世で政宗様に仕えた片倉小十郎が治めた、同じ白石の名を持つ土地でございますゆえ」
「複雑なお気持ちが?」
「少しは
政宗様が天下を治めた日ノ本が今どうなっているのか、もはや確かめる術はございませぬゆえ……
再び生を受けたこの世が、我々の生きた時代の続きであったならどれほど、と思うことはございました」
それは私たちの誰もが心のどこかで思っていたことだ
私たちの生きた時代は、竜の天下は、四百年を経てどうなっているのだろう
やはり凄惨な戦争の時代を経験したのか、それとも別の形で存続しているのか──
知りたくても、私たちには知りようがない
「政宗様の治世は、良い時代であったと、誰もが口を揃えて讃えました
……が、その後の世を知る者は少ない
忠宗様の治世やその後にも続いた世を、恐らく誰も知らぬものと」
「俺も梵が死んで十年しか生きてねぇもんな
まあでも、うちの春千夜の話を聞く限りじゃあ、お前と似て堅実な政治だったらしいぜ?
なにより脱走癖も無いときた
そりゃあ優秀な天下人だったろうよ」
「兄様って、やることなすこと派手に見えて、政治は公明正大ですよね」
「俺のperformanceを民に強要してどうすんだ」
それはそうなんだろうけど
大森でも、そんな兄様の打ち出す策に、意義を唱える声は聞こえなかった
つくづく民の心に寄り添える国主だったというわけだ、まったく兄様は優秀すぎて困る
こういう話を聞けば聞くほど、兄様の世を少ししか生きられなかった自分が悔しいのだけれど
「夕華、喉が乾いたら好きに飲め」
「わ、ありがとうございます、兄様
兄様はどちらがお好きですか?」
兄様が差し出してくれたのは、仙台駅で買ったらしいお茶とジュースのペットボトル
片方は緑茶で、もう片方は某乳酸菌飲料だ
「好きなほうを選べ
お前が選ばなかったほうをもらう」
「じゃあ緑茶をいただきます」
「All right.」
キャップの蓋を開けて、こくこくと飲む
成実さんは炭酸ジュースで、小十郎さんはほうじ茶だ
気温零度なのに、みんなよく冷たいの飲めるな
車の中は暖房が効いていて暖かいから、冷たくても飲めるけど
わいわいと車内で会話が繰り広げられながら、片倉号は田舎道を南下していく
目的地までは、あと四十分ほどだ
