第五話 隠し事と秘密
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「……何だよ」
じっとこちらを見つめるお従兄弟様に向き直った
何度か気にしないように頑張ったけど、こうも見つめられちゃあ無理ってもんだ
「だから、知らねぇって
伊達夕華だっけ、政宗のかろうじて親戚の?
俺果てしなく縁遠いじゃん
初対面だったっつーの」
定期を届けに行ったって言やぁこの調子だ
『なぁ政宗、伊達夕華って知ってるか?』
俺がこいつにそう聞いてしまったのが間違いだった……らしい
また知らないうちに地雷を踏んじまった俺は、ただでさえ軽い自己嫌悪に陥ってるってのに
「いいから、手ぇ動かせよ
これ終わんなかったら、こじゅ兄に何言われるか……」
いや、違うな
言われるとしたら俺だけだな、うん
初夏の日差しの中、家庭菜園の収穫に勤しむ俺と政宗と……向こうに見える、こじゅ兄
最初の頃は、なんで俺がって思ったけど、こうも毎回手伝わされてりゃ、パシられるのも慣れるってもんで
まぁ、家庭菜園にしちゃあ、規模がデカい気もするけどな……
「……本気で知らねぇんだな」
「だからそう言ってんじゃねぇか」
そう反論すれば、政宗はまたボーッとした顔になった
……何なんだ、俺ってやつは、もしかして相当の地雷を踏み抜いたのか?
「好きなのか?」
「Ah?」
「だから、その夕華ってやつ
好きなの?」
「バカ言え」
「うっわ、それはそれであの子も可哀想だな」
即答かよ
普通に見ても、男子が放っておかねぇような雰囲気あったのに
「結構可愛いと思ったぜ?」
「……まぁ、可愛いだろうな」
「会ったことあんのか?」
「過去に二、三回な」
「それほとんど接触ねぇじゃねぇか」
「疎遠なんだよ」
「……ふぅん」
収穫し終えた野菜をかごに詰めて、政宗が立ち上がる
うん、今回も大量だ、こりゃしばらく食材には困らねぇな
「あらかた取り終えただろ、戻るぞ」
「おう」
相槌を打って、俺も自分の分のかごを持った
菜園の方から家に入ろうと歩いていると、窓のところに人影が見えて
「あ、綱元だ」
家の中から綱元が軽く手を上げていた
「どうしたー?」
裏口から入りながらそう問う
「お疲れ様だ
コーヒーが入っているぞ」
「おー、さっすが綱元」
「政宗様もどうぞ」
「Thank you.」
かごを裏口近くに置いて、手を洗う
ついでに顔も洗った
初夏だって言うのに、この暑さはちょっと異常な気もする
「あー疲れた、こじゅ兄は?」
「もうすぐ戻られると思うぞ」
「そっか」
テーブルに座って綱元が淹れてくれたコーヒーを飲む
夏にはまだ少しあるが、すでに我が家のコーヒーはアイス仕様だ
「しっかしよー、急だったよなー」
「何が?」
「こじゅ兄が家庭菜園にハマったの」
「ああ……確かにな」
「今までそんな素振りは全然見せてなかっただろ?」
「妙にテクってやがるしな」
「それな
まあ美味いから文句はねぇけど」
できれば、俺まで収穫の手伝いに駆り出すのはやめてもらいたい
こっちは一応、受験生なんだ
午後からは勉強しなきゃだなぁ、なんて心の中で呟いて、付いていたテレビに目をやる
だから、背後で政宗が少し寂しそうにしているのには、全く気付かなかった
裏口が開いた音がして、そちらを振り向くと、こじゅ兄が戻ってきていた
「お疲れ様です
小十郎様も、コーヒーをどうぞ」
「すまねぇ」
「小十郎、収穫した分は外の日陰に置いてるぜ」
「ありがとうございます
成実も、駆り出しちまって悪かったな」
「そう思うんなら、テメェで収穫できる範囲で栽培してくれよ、こじゅ兄……」
「はは、悪い悪い
午後からは遠慮なく部屋に籠って勉強して構わねぇぞ」
「うわ……それ笑って言うことかよ、性格悪ぃぞ」
「なんだったら、俺と小十郎様で一対二の授業でもいいんだぞ?」
「それはもっと勘弁して綱元さん」
何が悲しくて、野郎二人に挟まれて勉強しなきゃいけないんだ
どうせ隣にいてくれるんだったら、夕華みたいな可愛い女の子が……って
なんで今、俺は夕華を思い浮かべたんだ?
「………」
「どうした?」
「……やっぱ今から部屋戻るわ」
そう言い残して、階段を上って部屋へ戻る
……あの日からずっと、夕華の顔が浮かんで消えないのは、何故なんだろう
じっとこちらを見つめるお従兄弟様に向き直った
何度か気にしないように頑張ったけど、こうも見つめられちゃあ無理ってもんだ
「だから、知らねぇって
伊達夕華だっけ、政宗のかろうじて親戚の?
俺果てしなく縁遠いじゃん
初対面だったっつーの」
定期を届けに行ったって言やぁこの調子だ
『なぁ政宗、伊達夕華って知ってるか?』
俺がこいつにそう聞いてしまったのが間違いだった……らしい
また知らないうちに地雷を踏んじまった俺は、ただでさえ軽い自己嫌悪に陥ってるってのに
「いいから、手ぇ動かせよ
これ終わんなかったら、こじゅ兄に何言われるか……」
いや、違うな
言われるとしたら俺だけだな、うん
初夏の日差しの中、家庭菜園の収穫に勤しむ俺と政宗と……向こうに見える、こじゅ兄
最初の頃は、なんで俺がって思ったけど、こうも毎回手伝わされてりゃ、パシられるのも慣れるってもんで
まぁ、家庭菜園にしちゃあ、規模がデカい気もするけどな……
「……本気で知らねぇんだな」
「だからそう言ってんじゃねぇか」
そう反論すれば、政宗はまたボーッとした顔になった
……何なんだ、俺ってやつは、もしかして相当の地雷を踏み抜いたのか?
「好きなのか?」
「Ah?」
「だから、その夕華ってやつ
好きなの?」
「バカ言え」
「うっわ、それはそれであの子も可哀想だな」
即答かよ
普通に見ても、男子が放っておかねぇような雰囲気あったのに
「結構可愛いと思ったぜ?」
「……まぁ、可愛いだろうな」
「会ったことあんのか?」
「過去に二、三回な」
「それほとんど接触ねぇじゃねぇか」
「疎遠なんだよ」
「……ふぅん」
収穫し終えた野菜をかごに詰めて、政宗が立ち上がる
うん、今回も大量だ、こりゃしばらく食材には困らねぇな
「あらかた取り終えただろ、戻るぞ」
「おう」
相槌を打って、俺も自分の分のかごを持った
菜園の方から家に入ろうと歩いていると、窓のところに人影が見えて
「あ、綱元だ」
家の中から綱元が軽く手を上げていた
「どうしたー?」
裏口から入りながらそう問う
「お疲れ様だ
コーヒーが入っているぞ」
「おー、さっすが綱元」
「政宗様もどうぞ」
「Thank you.」
かごを裏口近くに置いて、手を洗う
ついでに顔も洗った
初夏だって言うのに、この暑さはちょっと異常な気もする
「あー疲れた、こじゅ兄は?」
「もうすぐ戻られると思うぞ」
「そっか」
テーブルに座って綱元が淹れてくれたコーヒーを飲む
夏にはまだ少しあるが、すでに我が家のコーヒーはアイス仕様だ
「しっかしよー、急だったよなー」
「何が?」
「こじゅ兄が家庭菜園にハマったの」
「ああ……確かにな」
「今までそんな素振りは全然見せてなかっただろ?」
「妙にテクってやがるしな」
「それな
まあ美味いから文句はねぇけど」
できれば、俺まで収穫の手伝いに駆り出すのはやめてもらいたい
こっちは一応、受験生なんだ
午後からは勉強しなきゃだなぁ、なんて心の中で呟いて、付いていたテレビに目をやる
だから、背後で政宗が少し寂しそうにしているのには、全く気付かなかった
裏口が開いた音がして、そちらを振り向くと、こじゅ兄が戻ってきていた
「お疲れ様です
小十郎様も、コーヒーをどうぞ」
「すまねぇ」
「小十郎、収穫した分は外の日陰に置いてるぜ」
「ありがとうございます
成実も、駆り出しちまって悪かったな」
「そう思うんなら、テメェで収穫できる範囲で栽培してくれよ、こじゅ兄……」
「はは、悪い悪い
午後からは遠慮なく部屋に籠って勉強して構わねぇぞ」
「うわ……それ笑って言うことかよ、性格悪ぃぞ」
「なんだったら、俺と小十郎様で一対二の授業でもいいんだぞ?」
「それはもっと勘弁して綱元さん」
何が悲しくて、野郎二人に挟まれて勉強しなきゃいけないんだ
どうせ隣にいてくれるんだったら、夕華みたいな可愛い女の子が……って
なんで今、俺は夕華を思い浮かべたんだ?
「………」
「どうした?」
「……やっぱ今から部屋戻るわ」
そう言い残して、階段を上って部屋へ戻る
……あの日からずっと、夕華の顔が浮かんで消えないのは、何故なんだろう
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