第七十一話 変わらない姓
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
卒業式から二週間後
「伊達夕華、ヨーロッパから帰国しました!」
敬礼をして別邸に顔を出すと、予想通り全員が勢揃いしていた
「お帰りなさいませ、夕華様」
「はい、ただいま戻りました!
何だかお久しぶりですね、小十郎さん」
「そうですな
コーヒーで宜しいですか?」
「はい!」
「夕華様、玄関は寒いでしょう
中へどうぞ」
「あ、ありがとうございます、綱元さん」
綱元さんが開けておいてくれたドアからリビングへ入る
リビングのソファには兄様と成実さんが寛いでいて、私を見ると二人共が微笑んで迎えてくれた
「楽しかったか?」
「はい!
あ、お土産持ってきたんです
これが兄様の分で」
「ほぉ、accessoryか」
「兄様ってお洒落だから、選ぶのも楽しかったです」
ゴツゴツしすぎるのは兄様の服装に合わないので、シンプルすぎずカジュアルすぎない、上品なネックレスを買っておいた
ちなみにちゃんとイタリア製だ、そのへんは抜かりない
「成実さんはこれです」
「お、何だろうなー」
成実さんへは、革のジャケット
イタリアに行く前くらいに「革ジャンいいよなぁ」と呟いていたのを聞いてしまったので、サプライズだ
「お前ってほんと……
俺に金使わなくてもいいんだぞ?」
「ふふん、成実さんがそういう反応をするのは予想済みです」
「そうかよ……
でも嬉しいや、ありがと」
「革ジャンに着られるなよ」
「うるせぇな!
着こなしてやるっつーの!」
いつも通りの従兄弟同士の会話に頬が緩んでいると、目の前に美味しそうなコーヒーがやってきた
「あ、小十郎さん
お土産です」
「小十郎にもですか?
それは……わざわざありがとうございます」
「何貰ったんだ?」
「これは……ネクタイピンですか?」
「はい!
本当はイタリア製の家庭菜園セットがあったんですけど」
「家庭菜園セット」
「大きすぎて諦めるしかなくて……」
「大きくなけりゃ買う気だったんだ……」
まぁそれは冗談にしても、やっぱり三十も越えた大人の男の人へは、これくらいちゃんとしたものは渡さないとね
「ありがたき幸せ……
大切にさせていただきます」
「あ、ちゃんと使ってくださいね」
「はい」
小十郎さんのことだから、大事に保管とかしそうだもんな
それはそれで嬉しいけど……使ってくれた方が、贈った側としても嬉しい
「それで、綱元さんへはこれです」
「この綱元にまで……」
「綱元は何貰ったんだ?」
「これは……フォトフレームですか?」
「はい
ちょっと早いですけど、私からの結婚のお祝いってことで」
「あ……」
「今度は、幸せにならなきゃ駄目ですよ?」
綱元さんの瞳が潤んだ気がして、私はそっと目を伏せる
少し上から、「ありがとうございます」と震えた声が聞こえた
──あの時代の綱元さんの事は、私も聞いていた
だから、せっかく巡り会えたのなら……今度は幸せにならなきゃ、私は納得しない
そんな折、兄様づてに、綱元さんがお相手の方のご実家へご挨拶へ向かったことを聞いたのだ
みんなはお祝い品はまだ選んでいないみたいだけど、私だけこっそり抜け駆けさせてもらった
「それから、原田さんにはこれです!」
「私にもお土産を!?」
「もう全員分買いました!
原田さんの奥さんによろしくお伝えください」
そう言って渡したのは、可愛い子供服と赤ちゃん用のお洋服
何を隠そう、原田家は二人目が生まれたのだ
「あ、ありがとうございます!
家内と子供達が喜びます」
「中に不思議な粘土も入ってます
間違って飲み込んでも、小麦粉で出来てて大丈夫なので、遊んであげてください」
「配慮が完璧だ……」
成実さんの呟きにちょっと照れ笑い
でも、原田さんに渡すなら、お子さん達関係の方がいいかなって思ったんだよね
「その流れだと俺と白石にも!?」
「こら留守、夕華様に催促するんじゃねぇ」
「あ、もちろんありますよ」
「あるんだ……」
「全員分買ったって言ったじゃないですか」
留守さんと白石さんにもそれぞれお土産を渡して、それとは別にイタリアで買ってきたお土産のクッキーとチョコレートを兄様に渡した
「お前、一体お土産にいくら使ったんだ!?」
「ざっと三十万は超えましたかね?」
「お土産に三十万は流石の成実さんも聞いたことないんだけど」
「いやぁ……
こういう時じゃないと、馬鹿みたいに貯まってるお金を使わなくて……」
それとは別に、両親から「お餞別ね」と五万ずつ受け取っていたので、それはそれはリッチな卒業旅行になった
同行した海夜が「次元が違う……」と呟くくらいなので、相当お金を使ったんだと思う
「その袋は?」
「あ、これは両親用です
母から頼まれてた香水と、父に頼まれてたブランドの腕時計で」
「お土産っつーか、規模のデカいおつかいだな……」
「あはは、それは海夜にも言われました」
まぁ、あの二人だって仕事の都合でヨーロッパ圏に行くことはしょっちゅうだと思うし
お土産と言えるようなものはいらないんだろうな
「伊達夕華、ヨーロッパから帰国しました!」
敬礼をして別邸に顔を出すと、予想通り全員が勢揃いしていた
「お帰りなさいませ、夕華様」
「はい、ただいま戻りました!
何だかお久しぶりですね、小十郎さん」
「そうですな
コーヒーで宜しいですか?」
「はい!」
「夕華様、玄関は寒いでしょう
中へどうぞ」
「あ、ありがとうございます、綱元さん」
綱元さんが開けておいてくれたドアからリビングへ入る
リビングのソファには兄様と成実さんが寛いでいて、私を見ると二人共が微笑んで迎えてくれた
「楽しかったか?」
「はい!
あ、お土産持ってきたんです
これが兄様の分で」
「ほぉ、accessoryか」
「兄様ってお洒落だから、選ぶのも楽しかったです」
ゴツゴツしすぎるのは兄様の服装に合わないので、シンプルすぎずカジュアルすぎない、上品なネックレスを買っておいた
ちなみにちゃんとイタリア製だ、そのへんは抜かりない
「成実さんはこれです」
「お、何だろうなー」
成実さんへは、革のジャケット
イタリアに行く前くらいに「革ジャンいいよなぁ」と呟いていたのを聞いてしまったので、サプライズだ
「お前ってほんと……
俺に金使わなくてもいいんだぞ?」
「ふふん、成実さんがそういう反応をするのは予想済みです」
「そうかよ……
でも嬉しいや、ありがと」
「革ジャンに着られるなよ」
「うるせぇな!
着こなしてやるっつーの!」
いつも通りの従兄弟同士の会話に頬が緩んでいると、目の前に美味しそうなコーヒーがやってきた
「あ、小十郎さん
お土産です」
「小十郎にもですか?
それは……わざわざありがとうございます」
「何貰ったんだ?」
「これは……ネクタイピンですか?」
「はい!
本当はイタリア製の家庭菜園セットがあったんですけど」
「家庭菜園セット」
「大きすぎて諦めるしかなくて……」
「大きくなけりゃ買う気だったんだ……」
まぁそれは冗談にしても、やっぱり三十も越えた大人の男の人へは、これくらいちゃんとしたものは渡さないとね
「ありがたき幸せ……
大切にさせていただきます」
「あ、ちゃんと使ってくださいね」
「はい」
小十郎さんのことだから、大事に保管とかしそうだもんな
それはそれで嬉しいけど……使ってくれた方が、贈った側としても嬉しい
「それで、綱元さんへはこれです」
「この綱元にまで……」
「綱元は何貰ったんだ?」
「これは……フォトフレームですか?」
「はい
ちょっと早いですけど、私からの結婚のお祝いってことで」
「あ……」
「今度は、幸せにならなきゃ駄目ですよ?」
綱元さんの瞳が潤んだ気がして、私はそっと目を伏せる
少し上から、「ありがとうございます」と震えた声が聞こえた
──あの時代の綱元さんの事は、私も聞いていた
だから、せっかく巡り会えたのなら……今度は幸せにならなきゃ、私は納得しない
そんな折、兄様づてに、綱元さんがお相手の方のご実家へご挨拶へ向かったことを聞いたのだ
みんなはお祝い品はまだ選んでいないみたいだけど、私だけこっそり抜け駆けさせてもらった
「それから、原田さんにはこれです!」
「私にもお土産を!?」
「もう全員分買いました!
原田さんの奥さんによろしくお伝えください」
そう言って渡したのは、可愛い子供服と赤ちゃん用のお洋服
何を隠そう、原田家は二人目が生まれたのだ
「あ、ありがとうございます!
家内と子供達が喜びます」
「中に不思議な粘土も入ってます
間違って飲み込んでも、小麦粉で出来てて大丈夫なので、遊んであげてください」
「配慮が完璧だ……」
成実さんの呟きにちょっと照れ笑い
でも、原田さんに渡すなら、お子さん達関係の方がいいかなって思ったんだよね
「その流れだと俺と白石にも!?」
「こら留守、夕華様に催促するんじゃねぇ」
「あ、もちろんありますよ」
「あるんだ……」
「全員分買ったって言ったじゃないですか」
留守さんと白石さんにもそれぞれお土産を渡して、それとは別にイタリアで買ってきたお土産のクッキーとチョコレートを兄様に渡した
「お前、一体お土産にいくら使ったんだ!?」
「ざっと三十万は超えましたかね?」
「お土産に三十万は流石の成実さんも聞いたことないんだけど」
「いやぁ……
こういう時じゃないと、馬鹿みたいに貯まってるお金を使わなくて……」
それとは別に、両親から「お餞別ね」と五万ずつ受け取っていたので、それはそれはリッチな卒業旅行になった
同行した海夜が「次元が違う……」と呟くくらいなので、相当お金を使ったんだと思う
「その袋は?」
「あ、これは両親用です
母から頼まれてた香水と、父に頼まれてたブランドの腕時計で」
「お土産っつーか、規模のデカいおつかいだな……」
「あはは、それは海夜にも言われました」
まぁ、あの二人だって仕事の都合でヨーロッパ圏に行くことはしょっちゅうだと思うし
お土産と言えるようなものはいらないんだろうな
1/5ページ