第五十九話 伊達家の当主
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大学に入学してから一ヶ月ほどが経ったとある土曜
私は成実さんと一緒に別邸のほうにお邪魔していた
あれから二年が経ったけど、私は未だに兄様のご両親とちゃんとした席では会っていない
まぁ、会う理由もないというのが一番の理由だ
私と兄様は――成実さんともだけど、親戚筋では一番遠いから、仲が良いと逆に不思議がられてしまったりするわけで
親族の多い家柄だから、私よりも伊達本家に近しい人は多くいる
その中で成実さんに好意を寄せている人が多いことも……知っていた
――まぁそれはそれとして、私は今日もこうして本家のみんなと楽しくお茶を飲んでいるんだけども
「――えぇ!?
姫様って旦那様と奥様にお会いしたことなかったんスか!?」
「え、あ、はい」
「ん?
お東様には会ってるだろ?」
「そうでしたね……
盛大に啖呵切ってました……」
……そのことが余計に私の足を遠ざけてる理由なんだけど
なにせ、私も伊達の血を引く人間
どうしても感情論が先に出てしまう
「うーん……
奥様的には姫様のことどう思ってらっしゃるんスかね」
「分かんねぇ
そもそも、この別邸メンツで唯一本邸を出入りしてるのなんて梵くらいだ
小十郎ですら余程のことがない限り近付かねぇしな」
「ッスね……」
「まだまだ溝は深いでしょう
十数年も続いた禍根というのは、そう簡単に消えるものではないのですよ」
「原田」
「ただいま戻りました」
「おかえりなさいッス」
一度おうちに顔を出しに行っていた原田さんが戻ってきた
先月くらいに、原田さん夫妻に待望の赤ちゃんが出来た、という喜ばしい知らせがあったのだ
前世での原田さん夫婦のことを知っているだけに……私たちは我がことのように喜んだ
「奥さん元気だったか?」
「いえ……悪阻がきつそうで」
「きついですよね……」
唯一の経験者である私がそう呟くと、隣で留守さんが「そんなにッスか……」と深刻そうに言ってきた
あの時は成実さんがいてくれたし、家事なんか一切しなくていい身分だったから助かってたけど
今だとそうもいかないからなぁ
「……こんな時に傍にいてやれたらと思うのですが、こちらのこともありますから」
「いてやれよ」
「ですが……」
「こっちのことは気にすんなよ
もうあの頃とは違って何も起きやしねえって」
「……そう、ですね
小十郎様に相談してみます」
「おう、そうしろそうしろ」
ふと視線をお庭のほうに向けた時、そこに一匹の猫がいるのに気付いた
あれ、別邸で猫なんて飼ってたっけ
そう思っていると、不意に猫がお庭から別邸の外へと出ていった
「あ……」
「ん?」
「すみません、ちょっとお外に出てきます」
「ん、おう」
リビングを出て、玄関から外に出る
お庭のほうに回ると、猫はどこにも見当たらなかった
「あれ……?
見間違いだったのかなぁ……」
猫を探してうろついていると、向こうから話し声が聞こえてくる
そっちのほうに顔を向けて――私は反射的に茂みの中に隠れてしまった
「あれって……」
話してるのは、兄様とお東様と……あ、政道兄上様もいる
じゃあお東様の隣にいるのって誰……?
「すごい仲良さそう……
もしかしてお父さんだったりする……?」
というか……
私はなんで隠れてるんだろう……
「うう、気が付いたら本邸の近くまで行ってたなんて……」
と、私のすぐ目の前を猫がのんびりと横切っていく
そして勝手知ったるように本邸のお庭からお東様の元へと歩いて行った
「ああ、あれ本邸で飼ってる猫だったんだ……」
四人の纏う雰囲気は柔らかくて、二年前とは大違いだ
でも――私だけは、この変化に取り残されている
お東様のことが許せなかったとかそんなのじゃなくて
私の家の立場が……親戚筋の末席という立場が、本邸の人たちとの交流を良しとしない
たとえ前世が伊達家一の姫だったとしても、今の私はただの伊達の名を持つ遠縁……
「そりゃ私のことを良く思わない人だっているよね……
年末年始とお盆の挨拶でしか顔出さないような家の出だもん……」
今までは成実さんが好き、兄様と別邸のみんなが大切だって気持ちだけで突っ走ってたけど
大人の仲間入りをしてしまうと、嫌でも現実というのは目に入る
私と成実さんが一緒に住んでるのを良く思わない人たちがいるのだって私は知ってる
知った上で、彼に甘えてしまっていた
でもよく考えなくても、伊達成実は本家長男の伊達政宗の従弟
それも、当主である輝宗の実弟である実元さんの息子なんだから、血筋は申し分ない
一族の中でも一番本家に近しい家の出なのだ、彼は
今になってその事実が重く私の前に立ちはだかっている
私は成実さんと一緒に別邸のほうにお邪魔していた
あれから二年が経ったけど、私は未だに兄様のご両親とちゃんとした席では会っていない
まぁ、会う理由もないというのが一番の理由だ
私と兄様は――成実さんともだけど、親戚筋では一番遠いから、仲が良いと逆に不思議がられてしまったりするわけで
親族の多い家柄だから、私よりも伊達本家に近しい人は多くいる
その中で成実さんに好意を寄せている人が多いことも……知っていた
――まぁそれはそれとして、私は今日もこうして本家のみんなと楽しくお茶を飲んでいるんだけども
「――えぇ!?
姫様って旦那様と奥様にお会いしたことなかったんスか!?」
「え、あ、はい」
「ん?
お東様には会ってるだろ?」
「そうでしたね……
盛大に啖呵切ってました……」
……そのことが余計に私の足を遠ざけてる理由なんだけど
なにせ、私も伊達の血を引く人間
どうしても感情論が先に出てしまう
「うーん……
奥様的には姫様のことどう思ってらっしゃるんスかね」
「分かんねぇ
そもそも、この別邸メンツで唯一本邸を出入りしてるのなんて梵くらいだ
小十郎ですら余程のことがない限り近付かねぇしな」
「ッスね……」
「まだまだ溝は深いでしょう
十数年も続いた禍根というのは、そう簡単に消えるものではないのですよ」
「原田」
「ただいま戻りました」
「おかえりなさいッス」
一度おうちに顔を出しに行っていた原田さんが戻ってきた
先月くらいに、原田さん夫妻に待望の赤ちゃんが出来た、という喜ばしい知らせがあったのだ
前世での原田さん夫婦のことを知っているだけに……私たちは我がことのように喜んだ
「奥さん元気だったか?」
「いえ……悪阻がきつそうで」
「きついですよね……」
唯一の経験者である私がそう呟くと、隣で留守さんが「そんなにッスか……」と深刻そうに言ってきた
あの時は成実さんがいてくれたし、家事なんか一切しなくていい身分だったから助かってたけど
今だとそうもいかないからなぁ
「……こんな時に傍にいてやれたらと思うのですが、こちらのこともありますから」
「いてやれよ」
「ですが……」
「こっちのことは気にすんなよ
もうあの頃とは違って何も起きやしねえって」
「……そう、ですね
小十郎様に相談してみます」
「おう、そうしろそうしろ」
ふと視線をお庭のほうに向けた時、そこに一匹の猫がいるのに気付いた
あれ、別邸で猫なんて飼ってたっけ
そう思っていると、不意に猫がお庭から別邸の外へと出ていった
「あ……」
「ん?」
「すみません、ちょっとお外に出てきます」
「ん、おう」
リビングを出て、玄関から外に出る
お庭のほうに回ると、猫はどこにも見当たらなかった
「あれ……?
見間違いだったのかなぁ……」
猫を探してうろついていると、向こうから話し声が聞こえてくる
そっちのほうに顔を向けて――私は反射的に茂みの中に隠れてしまった
「あれって……」
話してるのは、兄様とお東様と……あ、政道兄上様もいる
じゃあお東様の隣にいるのって誰……?
「すごい仲良さそう……
もしかしてお父さんだったりする……?」
というか……
私はなんで隠れてるんだろう……
「うう、気が付いたら本邸の近くまで行ってたなんて……」
と、私のすぐ目の前を猫がのんびりと横切っていく
そして勝手知ったるように本邸のお庭からお東様の元へと歩いて行った
「ああ、あれ本邸で飼ってる猫だったんだ……」
四人の纏う雰囲気は柔らかくて、二年前とは大違いだ
でも――私だけは、この変化に取り残されている
お東様のことが許せなかったとかそんなのじゃなくて
私の家の立場が……親戚筋の末席という立場が、本邸の人たちとの交流を良しとしない
たとえ前世が伊達家一の姫だったとしても、今の私はただの伊達の名を持つ遠縁……
「そりゃ私のことを良く思わない人だっているよね……
年末年始とお盆の挨拶でしか顔出さないような家の出だもん……」
今までは成実さんが好き、兄様と別邸のみんなが大切だって気持ちだけで突っ走ってたけど
大人の仲間入りをしてしまうと、嫌でも現実というのは目に入る
私と成実さんが一緒に住んでるのを良く思わない人たちがいるのだって私は知ってる
知った上で、彼に甘えてしまっていた
でもよく考えなくても、伊達成実は本家長男の伊達政宗の従弟
それも、当主である輝宗の実弟である実元さんの息子なんだから、血筋は申し分ない
一族の中でも一番本家に近しい家の出なのだ、彼は
今になってその事実が重く私の前に立ちはだかっている
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