閑話三
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秋の風吹く十月初旬
そいつはとうとうやってきた
「はい、それじゃあ試験範囲は今日のところまでです
中間考査の試験範囲を配るから、各自ちゃんと勉強しておくように」
……中間、考査
クラスの雰囲気が落ち込む中の一人と化しながら、前の子から回ってきたプリントを一枚取って後ろへ回す
兄様に勉強を教えてもらえたら良かったけど、伊達家は成実さんの推薦入試を控えているせいか、どことなく緊張感がある
あんまり私が出入りするのも良くないかな
……となると
「海夜ー」
「来ると思ったわよ
来週から部活動も停止だから、月曜日の放課後からカフェに入り浸りね」
「いつもありがとうございます!!」
とりあえず、本腰を入れるのは来週からだ
今週は今日やったところをおさらいする形だけでもとっておかないと、速攻で忘れていく自信しかない
「思ったけれど、お兄さん達の力は借りないの?」
「うーん、伊達家は今、成実さんの推薦入試を控えていて……
ピリついてるって程じゃないけど、何とはなしに空気が重いというか……」
あまりにも私がいていい雰囲気ではなさそうというか
兄様達は「そんなことない」って言ってくれるだろうけど、余計な気を遣わせたくはない
「それもそうね
それじゃ、来週一週間は久しぶりにあなたの時間をもらっておこうかしら」
「え!?
来週の一週間、石田先輩から海夜を取り返せるんですか!?」
「そういうことね」
やったぁ!!
正直に言うと、お昼も一緒に食べなくなっちゃったから、海夜と過ごす時間が減っていて寂しかったんだ
お言葉に甘えて、大親友を独り占めさせてもらおう
* * *
……と、思っていた矢先だった
部活動が金曜日で停止になった、その翌日の土曜日
朝の九時に家のインターホンが鳴り、モニターを覗くと、そこには顔面国宝が腕組みをして立っていた
「……兄様、おはようございます……?」
「Good morning.
早速だが選べ
俺を招き入れるか、別邸に行くかをな」
「……その心は」
「可愛い妹の中間考査を俺が見逃すとでも思ったか?」
どこから情報が漏れたかなぁー!?
海夜との勉強会は来週からだから、今日の予定は家で試験勉強しかないけど!!
「別邸は成実さんが推薦対策中でお邪魔になると思うので……
どうぞお入りください……」
「そうこなけりゃな」
よく見れば兄様は手にスーパーの買い物袋を持っている
おや、と首を傾げると、兄様はニッと笑って袋を持ち上げた
「頑張った奴にゃ、この独眼竜が直々に作ったlunchが待ってるだろうぜ」
「頑張ります」
即答して兄様を玄関へと通す
お前本当にそれでいいんだな?という成実さんの声が聞こえたような気がした
そう言えば、兄様が私の家に来るのは初めてじゃなかったっけ?
「Fum……ここがお前の家か
いい家だな」
「ありがとうございます
すぐに勉強道具を取ってきますね!」
「All right.
適当にkitchen借りるぞ」
「どうぞ」
二階へと急いで、机に広げていたノートと教科書を掴む
それからスクールバッグごと持ってリビングへと降りると、兄様はキッチンで飲み物の用意をしている最中だった
「すぐ持っていく、座ってろ
darjeelingでいいか?」
「勿論です!」
定位置に座って各教科の試験範囲のプリントを並べる
改めてこうして見ると、中間考査といえども範囲が広いな
「一息ついたら始めるぞ」
ふわりといい香りが鼻腔をくすぐる
目の前にやってきたティーカップには美味しそうなダージリンが
「ん、美味しいです
伊達家で飲んでるのと同じ味がします」
「持ってきた」
「そうでしたか……」
わざわざ茶葉を持ってきたのか……
お互いに紅茶を飲んで、ソーサラーに戻す
「さて、じゃあ始めるか」
「よろしくお願いします!」
やっぱりご褒美に釣られた感じは否めないけど、兄様のお手製ランチが待っていると思えば!
――こうして優しい兄の優しくない試験対策講座は幕を開け
無事に中間考査は全科目で自己ベストを上回る高得点を叩き出すことに成功した
とはいえ高得点と言っても、成績上位者として名前が貼り出されるレベルではない
兄様の最終目標も私の名前を廊下に出すことであるらしく、答案用紙が返ってきてからは復習のための勉強会が開講してしまったのだった
後に成実さんは言った
「梵だけで済んだのは幸運だぞ、綱元まで来たらいよいよ地獄だからな」――と
そいつはとうとうやってきた
「はい、それじゃあ試験範囲は今日のところまでです
中間考査の試験範囲を配るから、各自ちゃんと勉強しておくように」
……中間、考査
クラスの雰囲気が落ち込む中の一人と化しながら、前の子から回ってきたプリントを一枚取って後ろへ回す
兄様に勉強を教えてもらえたら良かったけど、伊達家は成実さんの推薦入試を控えているせいか、どことなく緊張感がある
あんまり私が出入りするのも良くないかな
……となると
「海夜ー」
「来ると思ったわよ
来週から部活動も停止だから、月曜日の放課後からカフェに入り浸りね」
「いつもありがとうございます!!」
とりあえず、本腰を入れるのは来週からだ
今週は今日やったところをおさらいする形だけでもとっておかないと、速攻で忘れていく自信しかない
「思ったけれど、お兄さん達の力は借りないの?」
「うーん、伊達家は今、成実さんの推薦入試を控えていて……
ピリついてるって程じゃないけど、何とはなしに空気が重いというか……」
あまりにも私がいていい雰囲気ではなさそうというか
兄様達は「そんなことない」って言ってくれるだろうけど、余計な気を遣わせたくはない
「それもそうね
それじゃ、来週一週間は久しぶりにあなたの時間をもらっておこうかしら」
「え!?
来週の一週間、石田先輩から海夜を取り返せるんですか!?」
「そういうことね」
やったぁ!!
正直に言うと、お昼も一緒に食べなくなっちゃったから、海夜と過ごす時間が減っていて寂しかったんだ
お言葉に甘えて、大親友を独り占めさせてもらおう
* * *
……と、思っていた矢先だった
部活動が金曜日で停止になった、その翌日の土曜日
朝の九時に家のインターホンが鳴り、モニターを覗くと、そこには顔面国宝が腕組みをして立っていた
「……兄様、おはようございます……?」
「Good morning.
早速だが選べ
俺を招き入れるか、別邸に行くかをな」
「……その心は」
「可愛い妹の中間考査を俺が見逃すとでも思ったか?」
どこから情報が漏れたかなぁー!?
海夜との勉強会は来週からだから、今日の予定は家で試験勉強しかないけど!!
「別邸は成実さんが推薦対策中でお邪魔になると思うので……
どうぞお入りください……」
「そうこなけりゃな」
よく見れば兄様は手にスーパーの買い物袋を持っている
おや、と首を傾げると、兄様はニッと笑って袋を持ち上げた
「頑張った奴にゃ、この独眼竜が直々に作ったlunchが待ってるだろうぜ」
「頑張ります」
即答して兄様を玄関へと通す
お前本当にそれでいいんだな?という成実さんの声が聞こえたような気がした
そう言えば、兄様が私の家に来るのは初めてじゃなかったっけ?
「Fum……ここがお前の家か
いい家だな」
「ありがとうございます
すぐに勉強道具を取ってきますね!」
「All right.
適当にkitchen借りるぞ」
「どうぞ」
二階へと急いで、机に広げていたノートと教科書を掴む
それからスクールバッグごと持ってリビングへと降りると、兄様はキッチンで飲み物の用意をしている最中だった
「すぐ持っていく、座ってろ
darjeelingでいいか?」
「勿論です!」
定位置に座って各教科の試験範囲のプリントを並べる
改めてこうして見ると、中間考査といえども範囲が広いな
「一息ついたら始めるぞ」
ふわりといい香りが鼻腔をくすぐる
目の前にやってきたティーカップには美味しそうなダージリンが
「ん、美味しいです
伊達家で飲んでるのと同じ味がします」
「持ってきた」
「そうでしたか……」
わざわざ茶葉を持ってきたのか……
お互いに紅茶を飲んで、ソーサラーに戻す
「さて、じゃあ始めるか」
「よろしくお願いします!」
やっぱりご褒美に釣られた感じは否めないけど、兄様のお手製ランチが待っていると思えば!
――こうして優しい兄の優しくない試験対策講座は幕を開け
無事に中間考査は全科目で自己ベストを上回る高得点を叩き出すことに成功した
とはいえ高得点と言っても、成績上位者として名前が貼り出されるレベルではない
兄様の最終目標も私の名前を廊下に出すことであるらしく、答案用紙が返ってきてからは復習のための勉強会が開講してしまったのだった
後に成実さんは言った
「梵だけで済んだのは幸運だぞ、綱元まで来たらいよいよ地獄だからな」――と
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