第五十四話 右目と洋服店
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卒業式が終わったとなれば、待ち受けるのは入学式だ
大学の入学式はリクルートスーツで行くのが通常
私もそのくらいの知識はあるから、誰かに着いてきてもらって洋服店でスーツを作らないとなぁ、と思っているところだ
「……うーん」
テレビ前のソファに座り、マリ○カートに盛り上がる従兄弟組を見つめて首を振る
間違いなく連れて行くと面倒なことにしかならない
特に兄様は論外だろう
ていうか本当に仲がいいな、この二人は!
「如何なされましたか」
「あ、小十郎さん」
ホットココアを作ってくれた小十郎さんが、私の前にマグカップを置く
当然、お湯を入れるだけのココアなどあるはずがないので、無糖ココアに小十郎さんの裁量でお砂糖を入れて作られている
「美味しいです」
「ありがとうございます
ところで、今し方、何やらお悩みのご様子でおられましたが」
「あ、そうなんです
そろそろスーツを作らなきゃいけないよなぁとは思ってるんですが、流石に一人で行く勇気がなくて
誰かに着いてきてもらうのが一番かなと」
「なるほど、確かに一理ありますな
政宗様をお連れになるのはおやめになった方が宜しいかと
妹君思いなのは承知しておりまするが、些かやりすぎるきらいがござりまするゆえ」
「兄様は最初から連れていくつもりはなかったです
小十郎さんか原田さんのどちらかにお願いしようと思っていまして」
と、そこへ入ってきたのは綱元さん
……綱元さんも暴走する時があるからやめておこう
なんならオーダーメイドのお店に有無を言わさず連れて行かれそうだしな
「成実でなくとも良いのですか」
「従兄弟組は間違いなく加減というものを知らないじゃないですか」
「……確かに、一理ありますな
この小十郎で宜しければ、お車を出す程度のお力にはなれましょう
生憎と、レディースの服の善し悪しは疎い方で」
「スーツに似合う似合わないってあるんでしょうか……」
「政宗様や成実などは、かなりこだわっておられましたが、夕華様はそうでもないようですな」
「うーん……」
そもそもスーツなんて初めて作るから、何も分からないというほうが正しい
ちゃんと着こなせていればそれなりには見えるだろうし
……あ、いやでも、成実さんの婚約者なんだから、そこら辺にある大衆向けの洋服店じゃ駄目かもしれない
「あの……小十郎さん」
「はい」
「そこの大通りにある洋服店で作ろうと思ってるんですが……どう思いますか?」
「恐れながら申し上げれば、夕華様には不向きかと」
「ですよね……」
そりゃそうだよね、あんなに綺麗な反物で着物を作ったような人間なのに
となると、相当の出費だなぁ
「政宗様が行きつけの洋服店は夕華様の気も引けてしまうやもしれませぬゆえ、我々が世話になっている洋服店で仕立てるのは如何でしょうか
大衆向けの洋服店と比べるとどうしても値は張りまするが、夕華様でも気後れはさほどなさらぬのではないかと存じまする」
なるほど、それは妙案だ
となれば流れで小十郎さんに着いてきてもらおう
「小十郎さん、いつが空いてますか?」
「いつでも構いませぬ
夕華様のご予定に合わせまするゆえ、ご都合の宜しいお日にちをお決めください」
「そうですか……」
平日だと小十郎さんはお仕事だよね
となると土曜日か日曜日の方がいいのかな
スマホのカレンダーアプリを開いて予定を確認したけど、そもそも予定なんてほとんど無いから、本当にいつでもいいわけで
「うーん……
それじゃあ来週の土曜日はどうですか?」
「平日でも構いませんが……ご配慮、痛み入りまする
それでは来週の土曜日に、ご自宅までお迎えに上がります」
「成実さんが着いてくるって言わないといいですけどね」
「はは……成実や政宗様のご同行を遠慮なさるならば、平日に行かれるのが宜しいかと」
「それだと小十郎さんがお仕事ですよ」
「先程も申しましたが、平日でも問題はございませぬ
むしろそちらの方が店も空いていてスムーズかと
仕事は有休を使えば良いので、お気になさらず」
有休をわざわざ使わせるのは申し訳ないけど、小十郎さんもこう言ってることだし、また私に付き合ってもらうしかないのかな
兄様なんかは遠慮なく平日でも付き合わせるんだろうけど、私はそこまでの勇気がないというか
でも……皆が言うように、私も皆にとっての主だ
大丈夫って言うんだから、大丈夫だよね
「それじゃあ小十郎さんが最短で有休を取れる日を教えてください」
「月曜です」
「……確か有休って申請が必要なんでは?」
「後で申請します
そのようなことなど、夕華様に関する物事の前には些末なものです」
本当にそれでいいんだろうか
次期当主の側近であるという立場を濫用している気がする
いやもう、いいって言うんだからいいんだろう
私の知ったことではないんだ
「それじゃあ月曜日で……
成実さんは大学の部活がありますし、朝から不在にするはずです」
「承知しております
十時頃にお迎えに上がりまする」
小十郎さんとの内緒の予定が決まって、二人でこっそりと笑い合う
テレビ前はまだ白熱のカーチェイスを繰り広げていた
本当に仲がいいな、あの二人……
大学の入学式はリクルートスーツで行くのが通常
私もそのくらいの知識はあるから、誰かに着いてきてもらって洋服店でスーツを作らないとなぁ、と思っているところだ
「……うーん」
テレビ前のソファに座り、マリ○カートに盛り上がる従兄弟組を見つめて首を振る
間違いなく連れて行くと面倒なことにしかならない
特に兄様は論外だろう
ていうか本当に仲がいいな、この二人は!
「如何なされましたか」
「あ、小十郎さん」
ホットココアを作ってくれた小十郎さんが、私の前にマグカップを置く
当然、お湯を入れるだけのココアなどあるはずがないので、無糖ココアに小十郎さんの裁量でお砂糖を入れて作られている
「美味しいです」
「ありがとうございます
ところで、今し方、何やらお悩みのご様子でおられましたが」
「あ、そうなんです
そろそろスーツを作らなきゃいけないよなぁとは思ってるんですが、流石に一人で行く勇気がなくて
誰かに着いてきてもらうのが一番かなと」
「なるほど、確かに一理ありますな
政宗様をお連れになるのはおやめになった方が宜しいかと
妹君思いなのは承知しておりまするが、些かやりすぎるきらいがござりまするゆえ」
「兄様は最初から連れていくつもりはなかったです
小十郎さんか原田さんのどちらかにお願いしようと思っていまして」
と、そこへ入ってきたのは綱元さん
……綱元さんも暴走する時があるからやめておこう
なんならオーダーメイドのお店に有無を言わさず連れて行かれそうだしな
「成実でなくとも良いのですか」
「従兄弟組は間違いなく加減というものを知らないじゃないですか」
「……確かに、一理ありますな
この小十郎で宜しければ、お車を出す程度のお力にはなれましょう
生憎と、レディースの服の善し悪しは疎い方で」
「スーツに似合う似合わないってあるんでしょうか……」
「政宗様や成実などは、かなりこだわっておられましたが、夕華様はそうでもないようですな」
「うーん……」
そもそもスーツなんて初めて作るから、何も分からないというほうが正しい
ちゃんと着こなせていればそれなりには見えるだろうし
……あ、いやでも、成実さんの婚約者なんだから、そこら辺にある大衆向けの洋服店じゃ駄目かもしれない
「あの……小十郎さん」
「はい」
「そこの大通りにある洋服店で作ろうと思ってるんですが……どう思いますか?」
「恐れながら申し上げれば、夕華様には不向きかと」
「ですよね……」
そりゃそうだよね、あんなに綺麗な反物で着物を作ったような人間なのに
となると、相当の出費だなぁ
「政宗様が行きつけの洋服店は夕華様の気も引けてしまうやもしれませぬゆえ、我々が世話になっている洋服店で仕立てるのは如何でしょうか
大衆向けの洋服店と比べるとどうしても値は張りまするが、夕華様でも気後れはさほどなさらぬのではないかと存じまする」
なるほど、それは妙案だ
となれば流れで小十郎さんに着いてきてもらおう
「小十郎さん、いつが空いてますか?」
「いつでも構いませぬ
夕華様のご予定に合わせまするゆえ、ご都合の宜しいお日にちをお決めください」
「そうですか……」
平日だと小十郎さんはお仕事だよね
となると土曜日か日曜日の方がいいのかな
スマホのカレンダーアプリを開いて予定を確認したけど、そもそも予定なんてほとんど無いから、本当にいつでもいいわけで
「うーん……
それじゃあ来週の土曜日はどうですか?」
「平日でも構いませんが……ご配慮、痛み入りまする
それでは来週の土曜日に、ご自宅までお迎えに上がります」
「成実さんが着いてくるって言わないといいですけどね」
「はは……成実や政宗様のご同行を遠慮なさるならば、平日に行かれるのが宜しいかと」
「それだと小十郎さんがお仕事ですよ」
「先程も申しましたが、平日でも問題はございませぬ
むしろそちらの方が店も空いていてスムーズかと
仕事は有休を使えば良いので、お気になさらず」
有休をわざわざ使わせるのは申し訳ないけど、小十郎さんもこう言ってることだし、また私に付き合ってもらうしかないのかな
兄様なんかは遠慮なく平日でも付き合わせるんだろうけど、私はそこまでの勇気がないというか
でも……皆が言うように、私も皆にとっての主だ
大丈夫って言うんだから、大丈夫だよね
「それじゃあ小十郎さんが最短で有休を取れる日を教えてください」
「月曜です」
「……確か有休って申請が必要なんでは?」
「後で申請します
そのようなことなど、夕華様に関する物事の前には些末なものです」
本当にそれでいいんだろうか
次期当主の側近であるという立場を濫用している気がする
いやもう、いいって言うんだからいいんだろう
私の知ったことではないんだ
「それじゃあ月曜日で……
成実さんは大学の部活がありますし、朝から不在にするはずです」
「承知しております
十時頃にお迎えに上がりまする」
小十郎さんとの内緒の予定が決まって、二人でこっそりと笑い合う
テレビ前はまだ白熱のカーチェイスを繰り広げていた
本当に仲がいいな、あの二人……
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