第三十八話 秘密のカフェ
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カランカラン、とドアのベルが鳴る
新しく来店してきた二人組を見て、私と海夜は同時にそれぞれの反応を示した
「えええ!?」
「……は?」
私の声に気付いた二人が、こちらを振り向く
すると、そちらもそちらで、別々の反応を見せてきた
「おあああ!?」
「ん?
あっ、夕華様?」
「はい、私です……じゃなくて!
なんでお二人がここにいるんですか!?」
「いやそれはこっちのセリフなんだけどな!?
てかお前らなに、ここのこと知ってたのか?」
「偶然ですね、ここは私と安房殿しか知らない隠れた名店だと思っていたんですが」
そう言いながら、原田さんが私たちの隣のテーブルに座る
よく見ると、そこにも予約席のプレートが……
「成実さん……」
「俺は予約した覚えなんざねぇぞ」
「はい、私が先日、マスターにお願いしておいたんです」
「うんまぁ、お前だろうなとは思ってたよ……」
ため息をつきながら、成実さんが原田さんの前に座る
そういえば成実さんも意外と甘党だったな……
忘れてたけど、この双子は現世でもやっぱり双子だ……
血は繋がってない他人同士なのに……
「お前、何食ったんだ?」
「え、えっと、私がタルトで、海夜がパンナコッタです」
「じゃあ俺もタルト」
「では私がパンナコッタにしますか」
「おし、解決
今日は珍しくすんなり決まったな」
「いつもは決まらないんですか?」
「こいつが結構、優柔不断でな」
「どれも美味しいので、つい迷ってしまって」
「わかります、どれも美味しいですもんね」
「そうなんですよ!
チーズケーキひとつとっても、チーズのしつこさがなくてさっぱりとした甘さですし!」
「すごい分かります!
海夜がレアチーズ苦手なのに、ここのチーズケーキは食べられるんですよ!」
「安房殿も甘ったるいのは嫌いなんですけどね、ここのショートケーキは美味しいと!」
「チョコケーキも甘すぎなくて美味しいですよね!
私ここのチョコケーキが大好きで!」
「夕華様もでしたか!
私もここのチョコケーキが好きなんです
先日までの限定の、抹茶のロールケーキは食べられましたか?」
「食べましたー!
あれ常設のメニューにしてほしいってお願いしたんですけど、断られて──」
という会話まで発展して、ハッとする
そして互いに目の前の相手に顔を向けると
二人とも頬杖をついて、同じようなむすっと顔でこちらを見ていた
「わ、わぁすごい」
「見事に同じ顔してますね……」
「あなた、今日誰とここにいるんでしたっけ?」
「み、海夜さんです」
「お前確か、俺とここに来てるんだよな?」
「そうです……予約までしてました……」
そう言った瞬間
私は海夜から制裁のデコピン
原田さんは制裁のチョップを食らった
「じ、地味に痛い……」
「加減してやったのよ」
「安房殿は一切手加減なしでしたよね」
「手加減とかいらねぇだろ」
……ある意味では対照的な二人だ……
いや、私に甘いという意味ではやはり同じか……
周りのせいでダメ人間になりそうだ
自衛しよう
そのとき、店員さんが成実さんサイドの飲み物を持ってきた
「はい、お待たせー
成君がコーヒーで、原田さんがココアね
それからこれが新作ふたつ」
慣れたように二人の前にケーキを置いていく店員さん
これが常連への対応……
私の記憶が正しければ、お二人は「いつもの」としか言っていない
しっかり好みを把握されてるんだな……
「あっ、知らない男の人が隣のテーブルでごめんね
うちの常連さんなんだけど……
もしかしてお知り合い?」
「知り合いというか……」
「知り合いも知り合いというか……」
ねぇ?という顔であいまいに笑って見せる
前世で全員なんだかんだで身内ですとか言えない
「あっ!
そういえば成君、彼女ができたって言ってたじゃない?
どんな子?
やっぱりかわいいの?」
うおおおおい!
なんでそんな話を店員さんに!
そしてなぜここでその話題になる!
「あー……
そうだなぁ……」
腕を組んだ成実さんが、天井を見上げて
「めっっっっっちゃ、可愛いです」
そう断言した
穴があったら入りたい
「そうなの!?
写真とかは?」
「そういえば撮ったことないな……」
そういえば撮ったことなかったな……
自撮りとかお互いしないからなぁ
「そっかぁ、今度連れてきなさいよ
どんな子なの?」
「んー、まぁ可愛いっていうのはそりゃ勿論なんだけど……
すっごい優しいんですよ、ほんとに」
「誰にでも平等に接してくださいますしね」
原田さんが口添えしだした……
これは乗っかるしかないと判断したのか……
「あら、原田さんもお知り合いなんですか?」
「ええ、昔からご縁があるお方で
とても素直で良い方ですよ、成実君にはもったいないくらいです」
原田さんって、外では成実さんのこと「成実君」って呼ぶんだ……
まあ「安房殿」って呼んでても変か
ってそんなことはどうでもいいんだった
「まあ、正義感の強い子でもあるから、一人で抱え込んじゃったりが多いですけどね
向こう見ずな性格はお兄……従兄弟さんそっくりだし」
「あら、海夜ちゃんも知ってる子なの?」
「同級生なんです
有名ですよ、彼女」
へぇー有名なんだ私、へぇ
いやあの、もう恥ずかしすぎて死ぬんですけど……
「夕華ちゃんは?
その子のこと知らないの?」
「へっ!?
え、えー……」
視線を逸らした先に、成実さんと海夜がニコニコしていた
ああ……元双子のニヤついた顔が腹立たしい……
新しく来店してきた二人組を見て、私と海夜は同時にそれぞれの反応を示した
「えええ!?」
「……は?」
私の声に気付いた二人が、こちらを振り向く
すると、そちらもそちらで、別々の反応を見せてきた
「おあああ!?」
「ん?
あっ、夕華様?」
「はい、私です……じゃなくて!
なんでお二人がここにいるんですか!?」
「いやそれはこっちのセリフなんだけどな!?
てかお前らなに、ここのこと知ってたのか?」
「偶然ですね、ここは私と安房殿しか知らない隠れた名店だと思っていたんですが」
そう言いながら、原田さんが私たちの隣のテーブルに座る
よく見ると、そこにも予約席のプレートが……
「成実さん……」
「俺は予約した覚えなんざねぇぞ」
「はい、私が先日、マスターにお願いしておいたんです」
「うんまぁ、お前だろうなとは思ってたよ……」
ため息をつきながら、成実さんが原田さんの前に座る
そういえば成実さんも意外と甘党だったな……
忘れてたけど、この双子は現世でもやっぱり双子だ……
血は繋がってない他人同士なのに……
「お前、何食ったんだ?」
「え、えっと、私がタルトで、海夜がパンナコッタです」
「じゃあ俺もタルト」
「では私がパンナコッタにしますか」
「おし、解決
今日は珍しくすんなり決まったな」
「いつもは決まらないんですか?」
「こいつが結構、優柔不断でな」
「どれも美味しいので、つい迷ってしまって」
「わかります、どれも美味しいですもんね」
「そうなんですよ!
チーズケーキひとつとっても、チーズのしつこさがなくてさっぱりとした甘さですし!」
「すごい分かります!
海夜がレアチーズ苦手なのに、ここのチーズケーキは食べられるんですよ!」
「安房殿も甘ったるいのは嫌いなんですけどね、ここのショートケーキは美味しいと!」
「チョコケーキも甘すぎなくて美味しいですよね!
私ここのチョコケーキが大好きで!」
「夕華様もでしたか!
私もここのチョコケーキが好きなんです
先日までの限定の、抹茶のロールケーキは食べられましたか?」
「食べましたー!
あれ常設のメニューにしてほしいってお願いしたんですけど、断られて──」
という会話まで発展して、ハッとする
そして互いに目の前の相手に顔を向けると
二人とも頬杖をついて、同じようなむすっと顔でこちらを見ていた
「わ、わぁすごい」
「見事に同じ顔してますね……」
「あなた、今日誰とここにいるんでしたっけ?」
「み、海夜さんです」
「お前確か、俺とここに来てるんだよな?」
「そうです……予約までしてました……」
そう言った瞬間
私は海夜から制裁のデコピン
原田さんは制裁のチョップを食らった
「じ、地味に痛い……」
「加減してやったのよ」
「安房殿は一切手加減なしでしたよね」
「手加減とかいらねぇだろ」
……ある意味では対照的な二人だ……
いや、私に甘いという意味ではやはり同じか……
周りのせいでダメ人間になりそうだ
自衛しよう
そのとき、店員さんが成実さんサイドの飲み物を持ってきた
「はい、お待たせー
成君がコーヒーで、原田さんがココアね
それからこれが新作ふたつ」
慣れたように二人の前にケーキを置いていく店員さん
これが常連への対応……
私の記憶が正しければ、お二人は「いつもの」としか言っていない
しっかり好みを把握されてるんだな……
「あっ、知らない男の人が隣のテーブルでごめんね
うちの常連さんなんだけど……
もしかしてお知り合い?」
「知り合いというか……」
「知り合いも知り合いというか……」
ねぇ?という顔であいまいに笑って見せる
前世で全員なんだかんだで身内ですとか言えない
「あっ!
そういえば成君、彼女ができたって言ってたじゃない?
どんな子?
やっぱりかわいいの?」
うおおおおい!
なんでそんな話を店員さんに!
そしてなぜここでその話題になる!
「あー……
そうだなぁ……」
腕を組んだ成実さんが、天井を見上げて
「めっっっっっちゃ、可愛いです」
そう断言した
穴があったら入りたい
「そうなの!?
写真とかは?」
「そういえば撮ったことないな……」
そういえば撮ったことなかったな……
自撮りとかお互いしないからなぁ
「そっかぁ、今度連れてきなさいよ
どんな子なの?」
「んー、まぁ可愛いっていうのはそりゃ勿論なんだけど……
すっごい優しいんですよ、ほんとに」
「誰にでも平等に接してくださいますしね」
原田さんが口添えしだした……
これは乗っかるしかないと判断したのか……
「あら、原田さんもお知り合いなんですか?」
「ええ、昔からご縁があるお方で
とても素直で良い方ですよ、成実君にはもったいないくらいです」
原田さんって、外では成実さんのこと「成実君」って呼ぶんだ……
まあ「安房殿」って呼んでても変か
ってそんなことはどうでもいいんだった
「まあ、正義感の強い子でもあるから、一人で抱え込んじゃったりが多いですけどね
向こう見ずな性格はお兄……従兄弟さんそっくりだし」
「あら、海夜ちゃんも知ってる子なの?」
「同級生なんです
有名ですよ、彼女」
へぇー有名なんだ私、へぇ
いやあの、もう恥ずかしすぎて死ぬんですけど……
「夕華ちゃんは?
その子のこと知らないの?」
「へっ!?
え、えー……」
視線を逸らした先に、成実さんと海夜がニコニコしていた
ああ……元双子のニヤついた顔が腹立たしい……
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