閑話一
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大森伊達家に嫁いで数ヶ月
現代でいう新婚旅行から帰ってくると、成実さんはいつも通り執務と視察に追われる日々へ
対する私はお城の中で、仙台から一緒に来てくれた喜多さんから、当主の妻としての教養を叩き込まれていた
「──では、少し休憩いたしましょう」
「は、はい……」
喜多さんが小姓を呼んで、お茶とお菓子を持ってくるよう伝える
うう、武芸が出来ても作法がてんでダメだった
そりゃそうだ、今までだって作法のお勉強は喜多さんに鍛えてもらっていたけど、それは姫としての作法だし
……乳母などがいない私にとっては、喜多さんは最高の先生だった
「ご安心くださいませ、夕華様
私が指導を始めました頃より、随分見違えたように上達いたしましたよ」
「本当ですか!?」
「はい、私は嘘は申しません
分家でお育ちになったのは幼き頃まで
武家の者として身について然るべき作法を知らぬのも道理
今から身につけてゆけば良いのです」
「……はい、精進します」
喜多さんの微笑みに頷き返して、小姓を待っていると、小姓がお茶とお菓子を乗せて戻ってきた
「さ、お茶とお菓子が参りましたよ」
「あ!
これって城下の春田屋さんのお菓子ですよね?」
「ふふ、よくお分かりで
春田屋からの菓子は成実様への献上品なのですが、こちらは夕華様へということで」
「そうなんですね、いただきます」
教えていただいた作法に則って、和菓子を口に運ぶ
とは言っても、やっぱり喜多さんの方が所作は綺麗なので、まだまだだなと思う日々だ
「……あの、喜多さん」
「はい、何でございましょう」
「喜多さんのお話を聞いてもいいですか?」
「私の……と、申しますと?」
「喜多さんは兄様の乳母なんですよね?
ということは、喜多さんにも旦那さんとお子さんがいたってことなのかなって……」
「ああ、そのことでございましたら、私は独り身でございます」
「……へ?」
「ふふ、政宗様の乳母というのは言い過ぎでございます
私は政宗様の養育係……とでも申しましょうか
政宗様に兵法や帝王学を教えておりました」
「そ、そうだったんですか!?」
てっきり喜多さんにもお子さんがいたんだと思ってた……
早とちりしちゃったな
「とはいえ政宗様もご立派に成長なされ、私がお教えすることも無くなってしまい……
城務めを辞そうかと思ったときに、政宗様より女中頭の職を賜りまして
以来、米沢城、そして青葉城の女中頭を務めておりましたら、あなた様がお戻りになられたという次第でございます」
「そうだったんですか……
やっぱり、私が来た当初は変なのが現れたって思いました……?」
「ふふ、変わったお方であるとは思いましたけど、お育ちの良さは何となく伝わっておりました
ですので、尚のこと早くお帰りになられないと、周囲の方はきっとご心配されるのでは、と
そのような心配は杞憂でございましたけど」
「……私、喜多さんが私の側にいてくれて良かったって思います」
心からそう伝えると、喜多さんは嬉しそうに微笑んだ
「夕華様は、私の誇りです」
「喜多さん……」
「美しく気高く、けれど民にも私のような者達へも、分け隔てなく優しく……
あなた様は、伊達家自慢の姫君です」
「言い過ぎですよ……
私はただ、そんな身分差がはっきりした時代で生きてこなかったから……」
「いいえ……
幾年経とうとも、あなた様はお変わりなくいらっしゃいます
それが嬉しいのです」
何だか気恥ずかしくなって、お茶を飲んで誤魔化す
お茶とお菓子を全て胃に収めたら、再びお稽古の時間
これからはお琴の練習だ
これは青葉城にいた頃から続けているので、喜多さんもあんまりダメ出しすることがない
そういえば成実さんって楽器は何かできないのかな
「ただいまー」
不意に成実さんの声が聞こえてきて、足音が迷いなくこちらへ向かってくる
どうやら視察から帰ってきたらしい
「お、喜多姉
邪魔した?」
「お帰りなさいまし、成実様」
「お帰りなさい」
爪を外して成実さんを出迎えると、成実さんがちょっとだけ目を見張ったように見えて
「……?」
「ああ、悪い
……なんつーか、お前がどんどん綺麗になってくなって……」
「え……」
うかかーっと頬に熱が溜まっていく
言った本人まで顔を赤くしてしまうので、部屋の入口で二人して顔を赤くしたまま立ち尽くしてしまった
「ふふ、まだまだ初々しいご夫婦ですわね」
「き、喜多さん!」
「あー……そうだよなぁ……」
そっぽを向いた成実さんが手の甲を頬に当てる
耳まで赤いなんて珍しい
私はしょっちゅうだけど
「それより、喜多に鍛えてもらってだいぶ上達したんじゃねぇか?」
「あ、はい
まだまだだと思いますけど……」
「そっか……
仕草が綺麗になったのかな、洗練された感じがする」
「し、成実さん!
もうその位にしてください……!」
「ははっ、分かったよ
今日の稽古が終わったら、俺の部屋来れるか?」
「はい、それは構いませんけど……」
「ん、じゃあ待ってる」
私の肩を叩いて成実さんが来た道を戻っていく
その姿をお辞儀をして見送ってから、喜多さんともう一度稽古に戻った
現代でいう新婚旅行から帰ってくると、成実さんはいつも通り執務と視察に追われる日々へ
対する私はお城の中で、仙台から一緒に来てくれた喜多さんから、当主の妻としての教養を叩き込まれていた
「──では、少し休憩いたしましょう」
「は、はい……」
喜多さんが小姓を呼んで、お茶とお菓子を持ってくるよう伝える
うう、武芸が出来ても作法がてんでダメだった
そりゃそうだ、今までだって作法のお勉強は喜多さんに鍛えてもらっていたけど、それは姫としての作法だし
……乳母などがいない私にとっては、喜多さんは最高の先生だった
「ご安心くださいませ、夕華様
私が指導を始めました頃より、随分見違えたように上達いたしましたよ」
「本当ですか!?」
「はい、私は嘘は申しません
分家でお育ちになったのは幼き頃まで
武家の者として身について然るべき作法を知らぬのも道理
今から身につけてゆけば良いのです」
「……はい、精進します」
喜多さんの微笑みに頷き返して、小姓を待っていると、小姓がお茶とお菓子を乗せて戻ってきた
「さ、お茶とお菓子が参りましたよ」
「あ!
これって城下の春田屋さんのお菓子ですよね?」
「ふふ、よくお分かりで
春田屋からの菓子は成実様への献上品なのですが、こちらは夕華様へということで」
「そうなんですね、いただきます」
教えていただいた作法に則って、和菓子を口に運ぶ
とは言っても、やっぱり喜多さんの方が所作は綺麗なので、まだまだだなと思う日々だ
「……あの、喜多さん」
「はい、何でございましょう」
「喜多さんのお話を聞いてもいいですか?」
「私の……と、申しますと?」
「喜多さんは兄様の乳母なんですよね?
ということは、喜多さんにも旦那さんとお子さんがいたってことなのかなって……」
「ああ、そのことでございましたら、私は独り身でございます」
「……へ?」
「ふふ、政宗様の乳母というのは言い過ぎでございます
私は政宗様の養育係……とでも申しましょうか
政宗様に兵法や帝王学を教えておりました」
「そ、そうだったんですか!?」
てっきり喜多さんにもお子さんがいたんだと思ってた……
早とちりしちゃったな
「とはいえ政宗様もご立派に成長なされ、私がお教えすることも無くなってしまい……
城務めを辞そうかと思ったときに、政宗様より女中頭の職を賜りまして
以来、米沢城、そして青葉城の女中頭を務めておりましたら、あなた様がお戻りになられたという次第でございます」
「そうだったんですか……
やっぱり、私が来た当初は変なのが現れたって思いました……?」
「ふふ、変わったお方であるとは思いましたけど、お育ちの良さは何となく伝わっておりました
ですので、尚のこと早くお帰りになられないと、周囲の方はきっとご心配されるのでは、と
そのような心配は杞憂でございましたけど」
「……私、喜多さんが私の側にいてくれて良かったって思います」
心からそう伝えると、喜多さんは嬉しそうに微笑んだ
「夕華様は、私の誇りです」
「喜多さん……」
「美しく気高く、けれど民にも私のような者達へも、分け隔てなく優しく……
あなた様は、伊達家自慢の姫君です」
「言い過ぎですよ……
私はただ、そんな身分差がはっきりした時代で生きてこなかったから……」
「いいえ……
幾年経とうとも、あなた様はお変わりなくいらっしゃいます
それが嬉しいのです」
何だか気恥ずかしくなって、お茶を飲んで誤魔化す
お茶とお菓子を全て胃に収めたら、再びお稽古の時間
これからはお琴の練習だ
これは青葉城にいた頃から続けているので、喜多さんもあんまりダメ出しすることがない
そういえば成実さんって楽器は何かできないのかな
「ただいまー」
不意に成実さんの声が聞こえてきて、足音が迷いなくこちらへ向かってくる
どうやら視察から帰ってきたらしい
「お、喜多姉
邪魔した?」
「お帰りなさいまし、成実様」
「お帰りなさい」
爪を外して成実さんを出迎えると、成実さんがちょっとだけ目を見張ったように見えて
「……?」
「ああ、悪い
……なんつーか、お前がどんどん綺麗になってくなって……」
「え……」
うかかーっと頬に熱が溜まっていく
言った本人まで顔を赤くしてしまうので、部屋の入口で二人して顔を赤くしたまま立ち尽くしてしまった
「ふふ、まだまだ初々しいご夫婦ですわね」
「き、喜多さん!」
「あー……そうだよなぁ……」
そっぽを向いた成実さんが手の甲を頬に当てる
耳まで赤いなんて珍しい
私はしょっちゅうだけど
「それより、喜多に鍛えてもらってだいぶ上達したんじゃねぇか?」
「あ、はい
まだまだだと思いますけど……」
「そっか……
仕草が綺麗になったのかな、洗練された感じがする」
「し、成実さん!
もうその位にしてください……!」
「ははっ、分かったよ
今日の稽古が終わったら、俺の部屋来れるか?」
「はい、それは構いませんけど……」
「ん、じゃあ待ってる」
私の肩を叩いて成実さんが来た道を戻っていく
その姿をお辞儀をして見送ってから、喜多さんともう一度稽古に戻った
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